2012年6月24日 (日)

Fate/Zero第25話(最終話)感想

#25「Fate/Zero」

すべてがZeroになり、そして、すべてが始まる。
「Fate/Zero」の最終話は、冬木市の破滅の具現であり、同時に、「未来の物語」へ架ける橋となりました。

切嗣の令呪により、セイバーが宝具で、聖杯を「破壊」した。
しかし、聖杯は却って、「破壊」そのものとなって顕現。
結果、冬木市は稠滅する。虚ろな表情の切嗣が、まるで悪夢の繰り返しのように、瓦礫を掘り返して空しく生存者を探す。
「世界を救う」は「世界を滅ぼす」のアントニム(反義語)であると同時にシノニム(同義語)。
虚淵世界においては、「沙耶の唄」にせよ「魔法少女まどか☆マギカ」にせよ、おなじ命題が反復されるのですね。

「愛すれば愛するほど、今度は破壊したくなる。もう二度と、それのために苦しめられないように」
今年、物故した、SFの抒情詩人レイ・ブラッドベリ「霧笛」より。

愛するイリヤやアイリを弑してまで、正義の味方になりたかった切嗣の宿望が、結局は破壊を呼び込んでしまうという皮肉。
まさに、愛しすぎた故の悲劇なのかもしれません。

一方、言峰綺礼は、切嗣の惨めな姿に失望します。
全存在を賭けるに足る相手と見込んだ切嗣は、完全に無力化。
「空っぽ」な綺礼の、自らの「生の意味」を問う旅は、さらに続くわけですね。英雄王と倶に。
そのギルガメッシュは、受肉。
華麗なるおヌードを、瓦礫の上で開陳するギルさんのドヤ顔に吹いたw

暗黒の物語にあって、唯一の癒し担当であるウェイバーくん。
アレクセイ(ライダー)を偲びつつ、旅に出る資金を貯めるまで、老夫婦のお世話になることに。
老人の、心得た目配せがよかったですね。

セイバーちゃんマジ悲運w
最後まで、バーサーカー(ランスロット)の死を引き摺ってしまいます。
「これは全て、人の気持ちの分らない王に対して課せられた罰だったのかもしれない」
慈悲の王では、ひとを救えない。
ニーチェ「ツァラトゥストラかく語りき」を想起しました。
キリスト教道徳の根幹である「同情」が、神を殺した。
超人思想を熱く説くニーチェにとって、憐憫や同情という感情は、人をスポイルする弱者の論理にしか過ぎない。
獅子の如くなれ、哄笑せよ、永遠を手に入れよ!

いやそれって、ギルガメッシュさまそのものじゃありませんかw

雁夜おぢさんは、最期まで救われませんでした。
遠坂凛は、魔術師の家系を継ぎます。
イリヤは、アインツベルクの居城に幽閉されたまま、次の聖杯戦争を待つことに。

廃墟から救い出した士郎は、切嗣の養子となり、すくすく育ちます。
「じいさんの夢は、俺が!」
士郎の、未来への力勁い詞に感応し、失意のセイバーが廃墟から立ち上がって…。

そして、世界の存亡を賭けた物語は続く。

冷冽にして鮮烈な「Fate/Zero」の世界に、2クール、酔いました。
スタッフの皆さん、ありがとう!そしてお疲れさま!

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2012年6月17日 (日)

Fate/Zero第24話感想

#24「最後の令呪」

血の色キセキ
('A`|||)

聖杯とは、理非を顕現するものに非ず。
ただ、願望や欲望の器にしか過ぎなかった。
300人を救うために200人を犠牲にし、さらに200人を救うために、100人を犠牲にした。
気がついてみれば、死屍累々の修羅道と化していた。それが、切嗣の辿ってきた道であり、聖杯が実現するのも、同じ修羅道に過ぎない。
その誤謬に気づかされた切嗣は、ある決意をします。

「仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺し、羅漢(らかん)に逢うては羅漢を殺し、父母に逢うては父母を殺し、親眷(しんけん)に逢うては親眷を殺して、始めて解脱(げだつ)を得ん」
(「臨済録」より)

臨済宗の開祖、臨済によるこの公案は、別に、本当に殺せと謂っているわけではありません。
自分を導いた者への執着を断って、透脱自在の境地に至れという訓えです。

あれほど愛したイリヤを弑し、アイリを弑して、切嗣が得た結論とは。
「セイバー、令呪を以て命ずる。聖杯を破壊せよ

しかし、聖杯戦争を戦い抜いてきたセイバーにとって、いくらマスターの令呪と雖も、肯なうことはできない。
何故なら、騎士としての誇りを交し合ったディルムッドや、円卓の騎士ランスロットの犠牲の上で、ここまで辿り着いたのだから。

Aパート。切嗣と綺礼の、壮絶な肉弾戦に眼が離せませんでした。
綺礼マジ燃えよドラゴンということでw
切嗣のダブルアクセルからのインフレ加速も凄まじかった。
決着がついてみれば、僅か8分しか経っていない濃密さに、思わず溜息が出ました。

ライダーを屠ったゲート・オブ・バビロンを、セイバーちゃんへの嗜虐の道具に使う英雄王が、何とも知れん小物臭でしたね。
前回のあの格好よさは何だったのかw
至高の力を誇るギルガメッシュも、セイバーへの執着が、唯一の弱点になるようです。

次回は愈々最終回?
文字どおり、鶴首して待ちたいと思います。
Fate/Zeroか…。
そして誰もいなくなった」?

次回「Fate/Zero」

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2012年6月10日 (日)

Fate/Zero第23話感想

#23「最果ての海」

「最果ての海」とは、オケアノスの潮騒の光景。
覇道の果てとは、畢竟、見果てぬ夢だったのか…。
それでも、索める。求めずにはいられない。それが、覇道の本質。
征服王に合掌。(/_<。)

物量戦と、一騎打ちと。
この対比がくっきりと描かれることにより、瑰麗にして壮麗な映像が顕現されていました。
イスカンダルの「アイオニオン・ヘタイロイ」に、自信満々のギルガメッシュがぶつけてきたのは、乖離剣エア。
そして、エヌマ・エリシュ。いや天地開闢は反則っすよ。

セイバーの剣を、無刀取り?
わたしの剣の間合いを知悉しているとは…。
サー・ランスロット!」
Σ(゚Д゚;
歯を剥き出し啀む、狂気の表情。今にも、URYYYYYY!とか叫びだしそうです。
ジョジョの奇妙な冒険」の、メアリ・スチュアートに仕えた狂える騎士ブラッフォードを想わせる造形ですね。
アーサー王伝説においては、サー・ランスロットは、アーサーの妻ギネヴィアと姦通しているので、実は相容れない仲になっています。
ただ、Fateの場合、アーサーが女性なので、なおややこしい様相を呈しているのですがw
「王として援けるばかりで、導くことをしなかった!」
('A`|||)
セイバーさん責められっぱなしっす。
つくづく、いぢめられっ子なんですね。わが日本国の、世論のボッコに遭って1年ごとに首をすげかえられる総理を視ているようで、不憫ですw

究極のリア充に描かれるアーチャーに、われらが偉丈夫イスカンダルが為すすべもなく敗れたのが、ちょっとかなり悔しい
世界最古の叙事詩「ギルガメッシュ」では、ギルさんは必ずしもリア充ではありません。
ギルガメッシュは、エンキドゥという朋友を喪い、哀しみのあまり永遠の生命を探しますが、失敗に畢ります。
美しく勁い英雄の冒険譚と、その寂しい末路。
わが国の、倭建命の神話と酷似しています。
美少女に仮装して、熊襲を弑した倭建命。
渠(かれ)と、美貌の王ギルガメッシュとは、軌を一にする「青春の王」という気がします

Fateについては、批判もあるやに聞いています。その世界観や人物の扱い方、CGを頻用する作画に、あるいは論難の余地が存するかもしれません。
でも、綜合的な技術(物語、作画、台詞と演出)の高邁さは認めなくては不可ません。
切嗣と綺礼が対峙するときの「われら死のかげの谷を歩みて」の引用も、氛気を醸成するのに的確でした。こうした引用を自在にできるのも、本物ゆえです。

イスカンダルの臣(しん)として生き延び、覇業を語り継ぐ途を択んだウェイバー。
その意を汲んで、踵を返す英雄王も、高潔な魂の何たるかを知っている者でした。
ビッグイベントの終焉。そして次回は、セイバーとバーサーカーにも決着が

次回「最後の令呪」

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2012年6月 3日 (日)

Fate/Zero第22話感想

#22「この世全ての悪」

マスターじゃないにせよ、朋友(とも)だ!」
(/_<。)
ライダーとウェイバー、二人はプリキュアトモダチなんですね!

屋根の上のバイオリン弾き爺ちゃんが、イイ味出してました。グレンさんっていうのか。
「長く生きて振り返ると、命と秤にかけられる事柄なんて、結局一つもありはせんのじゃよ」
滋味あふれる詞です。
若気の至りで、聖杯による自己実現のみを希求しているウェイバーくんも、感じるところがあったようです。
この爺ちゃん、出崎・杉野アニメに登場するキャラそのものですね。穏やかだけど、秘めた勁さがあります。
ウェイバーが令呪を放棄したのも、この老夫婦の孫として生きたいと謂う、ひそかな願望があったのでしょう。
しかし、豪放磊落にして情に篤い征服王は、あくまでも強引です。最後まで見届けろと。
イイですねえ。まさに「相棒」です。

「世界の恒久平和」が希みの衛宮切嗣。そのためには、愛をも切り捨てる。
空虚な言峰綺礼。「空っぽを充たすもの」を、ずっと探究してきた。それは畢竟、「闘争」にしかなかった。
虚と実。陰と陽。剣と鞘。
二人は、そんな関係なのですね。

綺礼の虚無感に、ジョルジュ・クルーゾー監督のサスペンスの名品「恐怖の報酬」を想起しました。
大金と引き換えに、危険きわまりないニトログリセリンのトラック輸送を引き受けた男たち。
爆発したら木端微塵です。一人、また一人、仲間が命を落としていきます。
結末近く、主人公の相棒が、懐かしい少年時代の回想を、瀕死の口から語ります。

子どものころ、町はずれに、壁で囲われた秘密めいた場所があった。
其処に何があるのか、ずっと知りたかったんだ。
主人公は、苦い真実を告げます。
「ただの空き地だったよ。何もなかった」
瀕死の相棒が、かっと眼を見開く。
なにもなかった!?」
そのまま絶命。

('A`|||)

言峰綺礼の最期も、丁度こんな感じになるような予感がしています。

綺礼の「闘う理由」のために、縊り殺されたアイリスフィール。
でも、彼女はホムンクルスにして、「聖杯の器」でした。
アインツベルンの古城には、無数のアイリの形骸が…。
私で三人目どころじゃなかったw
聖杯の底に沈みながら、にやりと嗤う黒アイリが不気味でした。
彼女は、やはり聖杯戦争の鍵を握る存在のようです。

次回は、愈々、英雄王と征服王とのガチンコが観られるのでしょうか?

次回「最果ての海」

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2012年5月27日 (日)

Fate/Zero第21話感想

#21「双輪の騎士」

人は、愛しすぎると、今度は殺してしまいたくなるものなのですね。

間桐雁夜の悲劇。
夫婦のことは、他人には分らない
まさに、俗諺のとおりになってしまいました。
苦難や犠牲の全ては、渠(かれ)が慕情を寄せていた、遠坂葵と、桜ちゃんのため。
そう祈念して、我が身を捧げ尽くした雁夜おぢさんでした。
しかし、時臣の思いがけない死に逆上した葵に責められて、思わず手をかけ、あろうことか、縊り殺してしまった。(死んではいないとの情報もあるけれど)
美しい葵さんの、無惨な顔が印象的でした。
行動動機さえも否定された雁夜の、絶望の闇の深さは、想像するだに辛いものがあります。

ともあれ、アイリさんが人質になっているのは渝りませんので、衛宮切嗣の進退や、バーサーカーとの宿命の対決の行方も気になるところです。

他人の不幸は蜜の味」とはよく謂ったもので、アーチャーと言峰綺礼は、そんな雁夜の狂態を歯牙にもかけず、優雅に極上ワインを傾けています。
この人外めが!と瞋恚をもやしたいところですが、アーチャーはもともと人外かw

劈頭、ライダーとセイバーの頭文字Dで始まったときは、峠をかっ飛ぶ映像にシビれました。
まさか、セイバーがエクスカリバーを放ち、ゴルディアス・ホイールが粉砕されてしまうとは…。
ウェイバーが「アイオニオス・ヘタイロイ」の発動を使嗾しましたが、セイバー誅滅がライダーの希みではないので、それはしませんでしたね。
しかし、ライダーたるもの、脚を喪ったのは非常な痛手です。
磊落な征服王に、まさかの暗雲が立ち込めてきました。イスカンダルのおっさん、好きなんだけどなあ…。

今回も、映像、物語倶々、愉しませてくれたFateでした。

些(すこ)し、話がズレます。アニメ語りではあります。
ツイッターで見かけた、大地丙太郎さんの呟きが、気になりました。
大大大先輩である九里一平さん(タツノコ社長)の「昨今の紙芝居アニメはもうやめてほしい」についての呟きです。
大地さんは、作画の枚数を節約しなければならない業界事情を語っていましたが、実は私は、かつての「フルアニメ」が、理想とか至上とか、必ずしも思っていません。

アニメは、錯覚(イリュージョン)の芸術」。
これは至言です。
フルアニメの極北である、ディズニーの「バンビ」や「白雪姫」を、見事な達成だと観じつつも、あえて省力した日本のテレビアニメの手法もまた、独自の進化を遂げた芸術だと考えます。
丹念に「動き」を追うのが、かつてのアニメの理想郷でしたが、コマ飛ばしによって、逆に「ムーブマン(動態)」を錯視させ、そこに華麗な動きを現前させる。これは、日本ならではの工夫でした。
「貧しさの聖化」とは、昭和の天才詩人、立原道造に捧げられた詞。
緻密に塗り込めた西欧の油彩画も素晴らしいのだけれど、さっと筆で刷いたように視える水墨画もまた、至高の画境を顕している。
同じことが、アニメにも謂えるのではないでしょうか?

勿論、お粗末な紙芝居としか言いようのない作品も、巷間に出回っています。これは擁護のしようもない。
しかし、Fateに代表されるような映像美の在り方は、もっと評価されてもいいと思います

次回「この世全ての悪」

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2012年5月20日 (日)

Fate/Zero第20話感想

#20「暗殺者の帰還」

人と英霊の事情が語られました。

舞弥さん死す。
アヴァロンを返上したアイリの生命は、燃えつきかけて。

前回までに、2話分を費やして、切嗣の事情を詳らかにしました。
今回は、切嗣陣営とウェイバー陣営の事情を、こもごも顕かにしましたね。
聖杯戦争の爛熟に向けて、しっかりと基礎を固めた印象のお話でした。
舞弥の例にみられるように、人物の境遇や性格づけを、さっとひと刷けで一筆書きしてしまうのは、重厚さに欠けるきらいはあります。
ゲーム的ということかもしれません。物足りない人には物足りないかも。
でも、諸要素の総合体であるアニメ作品に於いては、こうした省力的手法もアリでしょう。

●ライダー
「アイオニオン・ヘタイロイ」という大技は、厖大な魔力を費消する。容易に想像がつきます。
ところが、征服王さんは、ウェイバーからの供給に頼らず、自前の魔力だけで大量消費を賄っていた。
それも限界。霊体化して、魔力の回復に努めているのが現状です。
その態度に纏綿してはいたけれど、征服王はやはり、ウェイバーの庇護者を以て任じていたのか。
若輩者を護るのが年輩たる者の努めって心意気を感じます。
しかし、おもしろくないのは、「若輩者」と決めつけられたウェイバーくんです。

●ウェイバー
「こんな僕でも、証明したいんだ!」
サーヴァントに魔力を供給していなかった。今ごろそれに気づいたのかというツッコミはナシの方向でw
魔術師としての矜持を保ちたい。ケイネスら、選ばれし俊英たちを見返したい。
若者にありがちな青臭い希みですが、それを清濁併せのむライダーの器の大きさが心地よい。

●ふたたびライダー
征服王が夢見させた、見果てぬ夢、オケアノス
彼らは、無何有郷を信じたまま、死んでいった。征服王は、それを悔いているのか?
豪放磊落、神経なんかないように見せているライダーも、いろいろ気配りの人だったのですね。
「セイバーを匡(ただ)さないと、いつまでも踏み迷ったままだ」
かつての征服王は、犠牲のうえに成立する「騎士道の理想」には批判的のようです。
まあ、覇業というものは、常に大量犠牲の上に築かれた砂上の楼閣なのですが。
気配りは、同じ英霊であるセイバーにまで遍く至る。ライダーの器量を感じます。
好きだなあ、このおっさん。是非、新宿の思い出横丁あたりで、一献酌み交わしたいw

●アイリ
「聖杯戦争を私たちで畢りにする。そうすれば、イリヤは最後まで人間として生きられる」
アインツベルンのホムンクルスとしての、修正不可避な運命。
切嗣が実現する新たな世界について、理解しているわけではない。
でも、切嗣の夢想の実現のために、一臂の力を捧げたい。
そんな滅私の彼女も、ヒトとしての密やかな願いはある。
それは、娘のイリヤ。娘の幸福…。(/_<。)

●舞弥さん
彼女自身にも定かな記憶がないということで、その出自は結局、闇に沈みました。
ただ、子どもに銃を持たせて云々という詞と、切嗣が涙を涕したことから、何となく推測はできます。
「貴方はやっと、昔の切嗣に戻ったのだから」
空っぽだった自分に、かたちと目的を與えてくれた、切嗣
ヘミングウェイの名品「フランシス・マコーマーの短く幸福な生涯」を想起しました。
妻にさえも侮蔑されるほど、ヘタレで平凡な主人公、マコーマー。
しかし、サバンナでライオンと対峙したとき、彼の秘めた勇気が燃え上がった。それが、「短いが幸福な生涯」。

舞弥さんも、あるいは「短いが幸福な生涯」だったと謂えるのかも。

ライダーが、婦女子を攫ってまで、セイバーを誘き出そうとした?
これまでの渠(かれ)の行動原理に背馳している気もしますが、それだけ必死なのか?それとも?
後ろ姿だけでしたからね。ともあれ、次回が愉しみです。

次回「双輪の騎士」

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2012年5月13日 (日)

Fate/Zero第19話感想

#19「正義の在処」

Fateというより、ファントムとかノワールを観てるような感じでした。
切嗣少年が、如何にして現在の「魔術師殺し」衛宮切嗣となったか。
番外編エピソードの終幕です。

切嗣の眼がどんどん死んでいく…。
当初こそパシリみたいにひっつくだけだった切嗣ですが、暗殺者としての異才を発揮し、有能な片腕として成長していく。
しかし、代償は、人としての心。
かつて、シャーレイに慕情を抱いた事もあった柔らかい心が、どんどん凍えていく。
指先を心から切り離す資質。
暗殺者が何年もかけて会得するそれを、切嗣は初手から備えていた。
だがそれは、人でなしの、ロボットへの道でもあった。
「人の生き方とは程遠い…」
ナタリアは、暗殺者としてみるみる成長していく切嗣に、畏怖のような感情を抱いたのかもしれませんね。

シャーレイのような犠牲者を二度と出さないために、父親を殺し、狩人に身を投じた切嗣。
しかし、救おうとした子どもは、凶弾に斃れてしまう。
憤る切嗣に、ナタリアは語りかけます。
「人助けをしたつもりか?最優先は自分の命だ」

師弟の関係に終止符を打ったのは、人をグールに変える怪物蜂を使役する魔術師、オット・ボルザーク誅殺案件だった。
切嗣の起源弾を応用して、旅客機内でボルザーク瞬殺に成功。
しかし、彼は体内に蜂を匿しており、機内は瞬く間に、グールで埋め尽くされる。
非常着陸の目処をつけ、地上の切嗣と、静かな会話をかわすナタリア。
「失業したら、母親ごっこでもするしかないかねえ」
何という死亡フラグw

地上で、淡々と、「着陸後の対処」を準備する切嗣。
碧落を仰ぎ見る。たなびく白雲、飛翔し去ろうとする旅客機。
母親代わりだったナタリアと、300人の怪物を乗せた旅客機…。
「ナタリア、あんたは本当の家族だ」
ロケットランチャーのごついので、旅客機を撃墜
Σ(゚Д゚;

「ばかやろう!」
ああ、切嗣の眼がダンナ(キャスター)の眼になってるしw
('A`|||)
烈しく慟哭しつつ、シャーレイに「報告」する切嗣。
「やったよ。キミのときのようなヘマはしなかったよ、シャーレイ。大勢の人を救ったよ…」

師を誤らない弟子はない、と謂います。
すぐれた弟子は、師への尊崇から出発するが、やがて師を超克すべき運命にあるというのです。
父親殺し。師匠殺し。それが、切嗣の運命でした。
「青は藍より出でて藍より青し」(「荀子」)
ナタリアの最期の微笑は、あるいは、一匹狼ゆえに「生さぬ人間」だった彼女が、この弟子を育て得た満足感にも似ていたのかもしれません。

次回「暗殺者の帰還」

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2012年5月 6日 (日)

Fate/Zero第18話感想

#18「遠い記憶」

「この人は、逃げればまた死徒をつくる」
「そいつは、子が親を殺す理由としちゃ、最低だな」
「…あんた、いい人なんだな」

衛宮切嗣の「遠い記憶」は、やはり酸鼻なものでした。
魔術の禁忌と、その無惨な結果。父親殺し。
初手から、重い物を背負ってしまいましたね。
セイバーの「おまえもかつて、正義の味方に憧れたはずだ」に、ふだんは見せないナマの感情を剥き出しにした切嗣。
練達の魔術師にして、魔術を疎むというアンビヴァレンツ
その回答が、これだったのか。

南の島で、ひそかに不老不死の研究に没頭していた衛宮父。
魔術師ということで、シモン神父はじめ村民から疎まれている。
ただ、助手のシャーレイだけが、衛宮父を尊敬し、研究の成功を心から願っている。
「あたしはただの助手、先生を継ぐ者はケリー、あなた」
シャーレイと切嗣は、夜の森へ。
蛍か夜光虫が煌めく水面をみつめ、それぞれの想いを辿る。
切嗣は、シャーレイに好意を持っていたのでしょう。

そして、悲劇の誕生
切嗣が目覚めると、いつになく倉皇としている父。
「私の工房へ入ったか?」
「今日は村へは行くな」
無邪気な切嗣は、村へ行き、シャーレイの行方を訊ね歩く。
しかしそこには、鶏の生き血を啜る、変わり果てたシャーレイの姿が!
「証明しようと思ったの!」
蘭に永遠の生命を与えようとしていた衛宮父の魔術研究は、人に永遠の生命を与えようという、禁忌に触れるものだった!
吸血鬼というか、ヴードゥー教のゾンビっぽかったです。
「殺して!今ならまにあう!」
血を吐くような、シャーレイの悲痛な叫び。
だが、切嗣は彼女を殺せなかった。
そのため、島はあっというまに死徒で埋め尽くされてしまう。
聖堂教会と魔術協会の二派が乗り込んできた。島民たちを殲滅し、箝口ということで、村を焼尽する。
まさしく地獄絵図
父を殺害し、ナタリアと倶に島を去る切嗣。
何か遺した物は?と問う彼女に、「何もない」と虚ろに答える。
非情の魔術師殺し、衛宮切嗣の誕生だった。

フリーの「狩人」、ナタリアは、かつて切嗣から「起源弾」を精製したあの人ですね。
ハガレンのエドにとっての、イズミ師匠のような存在か。

それにしても、衛宮パパの「こんなことがあろうかと」は受け狙いなのか?
謹厳実直にみえたけど、あの緊迫した場面で、そんな芸が使えるおちゃめな人だったのか?
気になるう!(ノ∀`)

次回も、切嗣の過去編が続くようです。

次回「正義の在処」

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2012年4月29日 (日)

Fate/Zero第17話感想

#17「第八の契約」

巧言令色鮮し(すくなし)
論語」の、孔子の詞です。
「心にもない巧みな言辞を弄し、他人に気に入られようと取り繕った顔つきをする者に、誠実な人間は殆どいない」という意味です。
今回のFate/Zeroは、まさに孔子が喝破したような状況でしたね。

「退屈な男」遠坂時臣、予定調和的に、言峰綺礼に背後から刺されて憤死です。
峻烈な戦闘場面もなく、ただ気が滅入るような腹の探り合いに終始。「悪い顔」のオンパレードです。

「サーヴァントの前で、マスター(時臣)への背信を語ってよいのか?」
心にもない贅言を弄するギルさんに、綺礼が対価の如く告げた、英雄王も知らない聖杯戦争の真実。
それは、「すべての」英霊を贄にして、大聖杯を顕現させること。
ゆえに、時臣は令呪の使用を嗇(お)しんでいた。何故なら、他の英霊を滅した後で、サーヴァント(つまりギルガメッシュ)を自死させ、大聖杯を手に入れるつもりだったから。
まさに、狐と狸の化かし合い。
大人って穢い!なんちってw

凛(りん)に家督を譲る遺言。後見人には綺礼が指定されています。
つまり、遠坂の家は、綺礼の思うが儘ということ。
これは、雁夜おじさんが黙っちゃいませんね?
バーサーカーを引っ提げて、猛烈なカチコミをかけそうです。
「冷たい方程式」を見せられた後なので、是非に熱い戦を期待します。

次回「遠い記憶」

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2012年4月22日 (日)

Fate/Zero第16話感想

#16「栄誉の果て」

ランサー憤死Σ(゚Д゚;
しかも、マスターのケイネスによって誅滅させられるという、矜持をすべて喪った最悪のかたちで…。
惜しい緑川光を亡くしました。(/_<。)

マスターには騎士の誇りを蹂躙され、セイバーとの一騎打ちによって、ようやく「清々しい風が吹いた」のもつかのま。
天国と地獄。さすが虚淵、やることがえげつないっすw

ソラウも悲惨。
久し振りに登場したと思ったら、「あたしの右手が」という台詞を遺して、即退場。
ラピュタのムスカの名台詞「眼が、眼があああ!」を連想しました。
そして、ケイネスもまた、切嗣の奸計に嵌って慙死。「ボクと契約して」詐欺にはくれぐれも気をつけないと…w
血だらけで重なり合う二人の死体映像は、大島渚「青春残酷物語」やロジェ・ヴァディム「悪徳の栄え」など名画の幕切れの映像を想起させます。フォトジェニックな暗黒ということで。

セイバーは、あまりの切嗣の冥府魔道っぷりに不快を匿せず、まっこうから外道呼ばわり。
それに対して、切嗣は「戦場を地獄よりマシだと考えている」として、英霊たちへの猛烈な反撥を匿そうとしません。
聖杯を得て「畢りなき戦いを畢らせる」のが、目的だと謂うのです。何となく「未来日記」のゆっきーと、考え方が相似です。
戦場は地獄。ことに近代戦においては、相手を認識せずに、瞬時に大量に鏖殺する。人間の尊厳も何もあったものではありません。
とはいえ、古代や、中世騎士道の時代の戦争だって、名もなき雑兵たちの死体の山が築かれるのは同じ。華々しさとはおよそ無縁だったのです。

「おまえもかつて、正義の味方に憧れたはずだ!」
須臾、切嗣は色をなし血相を変えるが、そのまま無言で立ち去る。どうやら、痛いところを衝かれたらしい。

アイリ・スフィールが斃れた!彼女にいったい何が?

次回「第八の契約」

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