2017年12月23日 (土)

キノの旅第12話(最終話)

羊A 浅野真澄
羊B 小林ゆう
羊C 金田朋子
羊D 松田利冴

本気でやばいじゃないですかこれw
道理で不穏だと思ったんだよなあ、戦闘時の羊たちのウォークライ(雄叫び)が。
まさか、ますみんに画伯、かねともさんという恐るべきオールスターキャストだったとは…。
物言わぬ羊たちのキャスティングにさえも手を抜かない。全力をつくす。
キノの旅スタッフの本気を見た思いです。

羊たちの沈黙。
あの名作映画のタイトルを想起させる、怖いエピソードでした。

前回が、実質の最終回でしたね。
今回、最終話が羊たちの殺戮に終始するとは予想外でした。パニックホラーを観るつもりでドキドキを愉しむのが吉かと。
不気味に肉薄してくる羊をホロコースト。キノの本気の戦闘力を、あらためて知ることができました。
それにしても、ジンギスカンが喰いづらくなった。
あの羊たちのカオや声が浮かんできそうで…。

ラストは、野辺でのんびりハンモック。
ここで旅は終わり。目覚めたとき、たまたま選んだのが旅なら、それは新しい旅。
難しいことを考えると眠くなるってキノは云ってたけど、かなり哲学的に深い思弁です。
マラルメ「骰子一擲」や、サルトルやハイデガーの「自己投企」などを思わせます。

永遠の午睡?本当に永遠に眠ってしまった「吸血姫美夕」の最終話を想い出して、不吉な気分になったのですが。
キノは無事に目覚め、エルメスとともに、新たな旅を始めました。

永遠の旅人」キノの冒険譚と、ひとまずここでお別れです。
スタッフの皆さん、アニメ版あとがきを寄せてくれた原作者さん、お疲れさまでした。

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2017年12月16日 (土)

キノの旅第11話

なるほど!キノはこうして「誕生」したんですね!

「紅い海の真ん中でa・b」
「大人の国」

紅い花で溢れた野に、伸び伸びと横になっているキノとエルメス。
aは現在、bは過去。画面を埋めつくす真紅が、時を超えて照応し響き合う構成が象徴的でした。

この物語には先代のキノがいて、大人の国で殺害されたのか。
それも、少女(キノ)を大人の暴力から護ろうとして、刺されて死んだ。
そんな因縁があったとは…。

少女と先代キノとの出逢いは、偶然でした。
宿屋の娘である少女は、旅の若者に興味津々です。
『仕事は何をしてるの?』
少女の素朴な問いかけに、若者は、旅をしてるよと答えます。旅をしてると楽しいことの方が多いから、とも。
少女は云います。
「仕事はイヤなもの。楽しいのなら、それは仕事じゃない」
大人たちの受け売りでしょうが、怜悧な口の利きようは、後年のキノを髣髴させます。
ナマイキともいうけれどw
手術を受ける前からこれほど洗脳されていたら、危ないところでしたね。

この国では、子供はすべて12歳になると、イヤな仕事に適応できるよう、脳手術を施す決まり。
ロボトミー手術ってヤツか。いくら国の事情とはいえ、とんでもない話です。
長居は無用と、早々に退去を決めた先代だったのですが。
「門を出るまで安全を保障します。ここは大人の国ですから」
しかし、先代キノが振り向くと、父親が包丁を構えていた!
「そこの娘を処分するためですよ。子供は大人の所有物です。失敗作を処分する当然の権利があります」
大人の国って、ヤバ過ぎる大人の国でもあったのです。

先代キノは優しかった。そして弱かった。
少女を庇おうとして身を挺し、凶刃に斃れて、敢えない最期を遂げる。
そんな不条理きわまる惨劇を、眼の前で視てしまった少女キノ。

強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない
レイモンド・チャンドラーの名作「ロング・グッドバイ」における、探偵フィリップ・マーロウの至言を、ゆくりなくも想起しました。
少女の心には、若者の優しさとともに、「強くなければ生きていけない」現実の過酷さが、深く刻まれたはず。
だからこそ、外へ飛び出した彼女は、師匠に附いて射撃などの技術を学び、自分を護るすべを身に着けたのでしょう。

「これから、どうするの」
「いつかと同じさ。何処かへ行こう」
「そうだね」
先代の自由な精神を受け継ぎ、しかも生きる強さも身に着けた、いわば進化形の「旅人キノ」が、ここに誕生したのです。

ラスト、紅い曠野に流れるキノの歌が、レクイエムのように聴こえました。
恩人である旅人への、そして、弱い少女だった自分への鎮魂歌として。

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2017年12月 9日 (土)

キノの旅第10話

評判が悪い国を訪れたキノは、思いがけない歓待を受けました。
クールなキノをして「もっと滞在したい」と云わしめるほどの心地よさでした。
しかし、その優しさには秘密があったのです。
「優しい国」とは、火砕流による滅びが定められた国だった。それが真相でした。

さくらちゃんの健気さに落涙しそうになりつつも、視聴後、私の心に去来したのは、複雑な感慨でした。
この「優しさ」って、実は何なのだろう?

数日後の滅亡が確実なのに、逃げようとはしない。むしろ、愛する国の悪評を払拭したい。
だから、偶然に訪れた旅人のキノを歓待した。優しい国だったという記憶を外に伝えていってほしいから。
いわば、形を変えた愛国心です。

しかし、裏を返せば、滅ぶというきっかけがなければ、この国の人たちは悪評の上に胡坐をかき続けたことになります。
喩えていえば、ずっと悪人だった人間が死を間近にして、人に悪く思われたまま死にたくないと急に思い立ち、改心してせっせと善行に励む。
そんな身勝手さが、何処かに纏わりついているのです。
善行には変わりないのだから、って割り切る方途もあるでしょう。
でも、釈然としないんですよね…。

釈然としないのは、キノも同じだったようです。
さくらちゃんの手紙で、すべての真実が氷解した場面の描写に、それが表れています。

「私が持っていても仕方ありません。あなたのです。お気をつけて。わたしたちのことを忘れないで。さくら」

手紙によって、さくらちゃんもまた「運命を知り、受け入れていた」ことに気づいたキノが、彼女の真心に心揺さぶられながらも、思わず吐露した台詞。
「さくらちゃんをむりやりにでもお預けされなくて助かった。ホッとしている」
「だろうね」
「エゴだよ。これはエゴだ」
エゴ。厳しい言葉です。
初見時は、キノ自身に向けたものかと速断したのですが。
この言葉はむしろ、さくらちゃんをも含めた「優しい国」の人々へ向けた鋭い批判の矢ではなかったでしょうか?
だからこそ、以下の台詞が続くのだと思うのです。
「いい国だったね」
「ああ。文句の云いようもないさ」
文句の云いようもない。キノの台詞には、ある種の苦さが滲んでいます。

感動を提供しながらも、視聴後に奇妙な「割り切れなさ」を遺す。
やはり「キノの旅」は、端倪すべからざる作品です。

今回のエピソードは、さくらちゃん役の子とか、銃砲店の親爺の正体とか、2003年版キノに繋がる由来がいろいろあるみたいですね。

さくら(天野心愛) あまのここあと読むようです。リアル13歳の、可愛らしい女優さんです。

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2017年12月 2日 (土)

キノの旅第9話

ED後半には、何と作者のアニメ版あとがきが!

「夢があったら語ろう!口に出して言葉にして、実現のためにコツコツと、できることから頑張っていこう!
いつかどこかで、多くの人間の理解と力を借りて、その夢が現実になることだってある!
皆さんがいま見ているものが、まさにその証拠なんです!」
作者の自恃と想いとが伝わってくる、熱いあとがきでした!
「ここまで読んでくれてありがとう」とあったので、まさかの最終回かと思いきや、次回もちゃんと放映されるんですね。ホッとしました。

いろいろな国
今回は、ショートエピソード集。料理でいえばアラカルト。美味しいレシピでしたよ。

山賊達の話
ヘラヘラした男と長い髪の女って、師匠と弟子か!相手が悪かったんですね。
さすが長老、相手の力量を測る能力にたけています。こういうのを「慧眼」というのでしょう。
でも、この長老、慧眼すぎて二度と人を襲えそうもないなw

徳を積む国
徳ポイント制の国。善行を積むと増えていき、犯罪をおかすと減る。マイナスになると有罪で収監される。
「いい人が悪いことをすると」云々の不公平さは、私も常々感じていました。錯覚あるあるってヤツです。某横綱の事件などを想起しました。
男は発明家で元大統領。人々に尽くすことによって、前代未聞のポイントを貯めることに成功しました。
そのポイントの大きさとは…
「人を一人殺せるくらいさ」
この徳高い男は何と、人を殺してみたくてせっせとポイントを積んできたのです!ポイント制を理解した子供の頃から!
そして今、苦悩しています。殺したい相手がいないことに。
若い母親「この子が、閣下のように立派な人間になれますように」
男「私のように、人生を失敗した男にならないように」
目標のために邁進するのは尊いけれど、誤った目標を立てて生きれば、きっと後悔する。人生の大いなる皮肉です。

料理の国
鶏肉のキノ焼きはとんでもない激辛メニュー。
改良してマイルドをつくったのは、果たして誰だったのかな?

ティーの願い
役にも立たない行為だから、みんなの願いがかなうように願ったって、ティーも人が悪いですねえw

美しい記憶の国
滞在中の記憶を薬によって消す。
旅人をもてなしたいけど知られたくはない。二律背反の解消なのですね。
本当に美しい想い出は、本人も気づかないほどの心の奥底に秘められているのかもしれません。
とってもステキな夢を見たけれど、どうしても内容が思い出せない。でも、心地よい想いだけは残っている。そんな感じでしょうか。
味わい深い余韻が漂うエピソードでした。

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2017年11月25日 (土)

キノの旅第8話

#8「電波の国」
not guilty。罪に非ず。象徴的な英語タイトルでしたね。

安住できる国を探すシズたち一行が立ち寄った国は、経済は安定、移民歓迎、役所は親切という、良い事づくめの理想社会。
穏やかで良い国かと安心したのもつかのま、そこは何と「電波の国」だったのです。
電波が人を狂わせ、犯罪を誘発する。だから、犯人を裁くことはできない。この国に犯罪はあり得ない。

「平和の幻想」ってヤツでしょうか。全ての凶事を電波のせいにしてしまえば、人が人を憎む事もない。
性善説が皮肉られている気もするし、現実を受け入れられない事なかれ主義を揶揄しているとも解釈できます。
政府の全体化施策かと思ったら、署長を初めとして、人民たちは心から「電波塔の寓話」を信じ込んでいるらしい。
ここまで来ると、もはや狂信の域。善にせよ何にせよ、極端に偏る思考は怖いよというアレゴリーなのかもしれませんね。

「電波を最大出力にしてきた」」
シズが署長に仕掛けたフェイクが、吉と出るか凶と出るか。
「明日以降何も起きないとして、電波の影響などないって信じてくれるでしょうか?」
陸の台詞は、「電波の嘘」に人々が気づく契機となることを、あるいは犯罪抑止力となることを期待しているように受け取れますが、さて?
タガが完全に外れて、大量殺人や凶悪犯罪だらけの国になったりしてw
今まで以上に電波のせいにできますからね。人の心は測り難いものです。

国に関するエピソードは、いつもに比べ、あっさりと終わらせて。
むしろ、ティーと陸が心を通わせるさまが、じっくりと描かれていました。
いきなり手榴弾を出すプッツンは健在にしても、ピザやクロワッサンを黙々と食べる姿には、微笑ましいものがありました。
彼女の心象風景は、未だ分明ではありません。心を開いたようにみえて、まだまだ抱え込んでいる何かがありそうです。
黒い影を踏みながら歩き続ける。影が尽きたとき、「」も終わる。
「これで安心だ」
ティーが行ったメルヘンめく心的儀礼は、彼女の心の闇を表象しているのかも。
陸やシズとの交感をとおして、ティーの闇はいつか完全に払拭されるのでしょうか。
その瞬間を見たいものです。

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2017年11月18日 (土)

キノの旅第7話

時計塔からずっと
ボブ・ディラン「見張り塔からずっと」を、もじってみました。特に意味はありませんw

「テロリストのメルヘン」ともいうべき寓話。
反権力・反体制のために、高い塔に立て籠もって戦い抜き、勝利を収める。
敵が、腐敗し切った警察権力ということもあって、視聴者にとってもカタルシスたっぷりの痛快な物語でした。
今回も、キノ自身の物語ではなく、師匠の過去譚でしたね。前回と趣向は同じで、最初と最後にキノが登場し、お話を纏める構成です。

メルヘンだと云ったのは、仮にも一国を相手にして、たった二人の叛逆者が武力で圧勝してしまったから。
いくら火器や弾薬が潤沢に使えるにしても、です。
実際、二人と警察との対決は、スラップスティックなギャグとして描かれていました。
視聴者の皆さん、ここは笑うところですよ
そんな制作側の意図が透けてみえる演出と作画でした。

もちろん、時計塔の最上階を撰んで陣取り、戦いを挑んだ戦法自体はリアルで、師匠の作戦勝ちです。
古来、あらゆる戦場において、高所に陣を確保するのが圧倒的に有利な戦法とされています。
弓矢や銃、砲撃などを使える場合は猶更です。
最近でも、ラスベガスにおいて、高層ホテルの上階からイベント会場に向けて銃を乱射し、大量虐殺をおこなった犯人がいました。遮る物とてない広場で高所から狙い撃ちされたら、逃げ場のない人々はひとたまりもありません。それと同じ理屈ですね。

「歴史のある国」というタイトルも、大いなる皮肉です。
二人の叛逆者は、時の流れの中で、腐敗した国を正常化した二人の勇者として石碑まで建立され、顕彰されていました。
この国の歴史を誇らしげに語ってくれた老人は、松葉杖を突いています。
目ざといキノは、老人がかつて、師匠たちに脚を撃ち抜かれた警官たちの一人だと看破し、問わず語りに揶揄します。
図星をさされて慌てる老人が滑稽で、しかも哀しい。
人間なんて、こんなもんさ。
そんな声が聞こえてくるようです。

醒めた世界観と、的確きわまる人間観察。それを具体化する演出力とヴィジュアル。
それらが相俟って「キノの旅」の魅力を支えているのですね。

師匠(Lynn)
相棒(興津和幸)
老師匠(沢田敏子)

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2017年11月11日 (土)

キノの旅第6話

この少女奴隷を虐め抜いて手足を撃って腹を断ち割って殺したい!
人を殺すのに躊躇しないように!男は強くならないと!

ほざく小僧が鬼畜すぎて吹いたw
死んでざまあと思える連中は久しぶりです。これも描写力が齎す功徳ってやつですな。

狂信の国から来た奴隷少女メインのエピソードでした。キノは、通りすがりの傍観者さんに徹していましたね。
この少女、商人たちに非道な目にあわされているのに、達観しております。誰も恨もうとしないのです。
美しきイノセントさんなのか?しかし、眼には狂気が光っています。

女たちが摘んできた草をスープにして、全員でお食事。
少女は気づきます。それが怖ろしい毒草だということに。
皆に危険を伝えようとして失敗した少女は、自分も毒草スープで死のうとしますが、例の鬼畜小僧の邪魔によって、それもかなわず。
偶然に偶然が重なり、結果、商人キャラバンは綺麗さっぱり全員死亡。唯一生き残ったかに思われた護衛のおっさんも、少女の手を借りて自死しました。

人間万事塞翁が馬、因果応報、天網恢恢疎にして漏らさず。
こういうときに便利な諺が、世の中には沢山あります。

独りぼっちになった少女に話しかけてきたのは、モトラドのソウ。緒方恵美さん、懐かしいです。
「教えて。どうやったら、わたしは死ねるの」
「簡単さ、生きればいい。生きれば、生き物はいつか死ねる」
ソウの至言が転機となって、一人と一台の旅が始まります。

そして○年後的な画面に切り替わって。
牧歌的なカントリーハウス。陽を浴びた室内で、モトラドのソウが、満足げに語りを終えます。
カメラマンになった少女には、フォトという名がついていました。

「あいつほど数奇な運命をたどった人間を知らない」
ソウのナレーションを聞いた瞬間、彼女がのちのキノだったかと早とちりしそうになったのはヒミツですw

フォト(水瀬いのり)
ソウ(緒方恵美)

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2017年11月 4日 (土)

キノの旅第5話

Aパート。「旅人の話
モトラドの深き孤独。

エピソードは、記念館から始まります。
この国を救った偉大な旅人のメモリアル。旧い歪んだ政治体制を打倒して初代大統領になった彼は、まさに立志伝中の人物というわけです。
記念館には、彼の偉大さを示す陳列品の数々が。女性の案内人が、得意げに説明を披瀝します。
「彼が使っていた園芸用のスコップ。花を植えて廻っていたのでしょう」
スコップはトイレ用。
「彫刻入りのすばらしいナイフ」
お土産用の大量生産品。チープな幸運ナイフ。
伝説って、こうやって捏造されるのですねw

喋るモトラドはレジェンドのあかし。
しかし、エルメスの問いかけに応えて、老いたモトラドは意外な台詞を。

ここは地獄だ。モトラドは、走るために生まれたのに。
ここから連れ出して走らせてほしい。さもなければ、破壊してほしい。

キノは静かに告げます。
どちらもできない。この国の人に憎まれて、僕が壊されちゃうから。

まさに、地獄よりも地獄的な状況です。でも、不幸なモトラドに、一掬の救いが暗示されました。

キノに憧れる少年。宿屋を継ぐのでなく、外に出てみたい、旅人になりたい。どうすればなれますか?
「記念館のモトラドに同じ質問をしてみるといいですよ。ひょっとしたら、答えをくれるかもしれない」
少年は、記念館を訪ねたのか?モトラドに話しかけたのでしょうか?
結末は明示されませんが、視聴者の心に委ねられた「開かれた結末」がすてきでした。

案内人(櫻井浩美)ABのゆりっぺが懐かしい
モトラド(斧アツシ)レクリのブリッツさん。相変わらずシブいな

Bパート。「嘘吐き達の国
嘘の幸福。幸福の嘘。

城門の外で、旅に出たという恋人の帰りを待つ男は、元革命派の実行部隊リーダー。本来なら建国の英雄なのに、うらぶれた姿は何故?
男は、革命の日に、逃亡を図る国王一家の馬車を手榴弾で爆破した。
ところが。
死んだ王女は、農家の娘に身をやつした恋人だった。男は、恋人を自らの手で殺してしまった。
以来、気がふれた男は、森の小屋で家政婦に扶けられつつ、恋人が帰ってくるのを待つだけの日々を送っている。
しかし、家政婦こそは、実は恋人である元王女だったのです!

素朴な疑問。
彼女が家政婦として雇われ、初めて再会したとき、どうして恋人だと判らなかったのか?別に整形したわけでもなさそうなのに?

その疑問は、すぐに氷解しました。
彼もまた、佯狂のふりをしつつ、嘘をついていた。家政婦の彼女が恋人だと知っていて、気づかないふりを続けていたのです。
彼も彼女も、互いに嘘をつきながら、死ぬまで暮らすのでしょう。それが幸福。嘘の上の幸福。
エルメス「嘘吐きだね。ここの国の人たちは、みんな嘘吐きだ」
されど、優しさゆえの嘘は赦されるのではないか?

真実は耳に痛い。真実は人を傷つけたりもする。
我々もまた、ささやかな嘘をつきながら、何とかかんとか日々を送っているのかもしれません。

キャスト、盤石の二人です。
男(石田彰)
女(名塚佳織)

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2017年10月28日 (土)

キノの旅第4話

船の国の、無口なティーちゃん。
寡黙さといい眉毛の感じといい、誰かを思い出させるんですよね。
そう、プリプリのちせ殿です。
プリプリ終了後、「ちせロス」に陥っていた自分にとって、ティーちゃんは一服の清涼剤でした。いろいろロス多いな自分w

塔のてっぺんの黒子独裁者たち(実は人工知能の化身?)を斃して、船の国を陸につけたシズ。
ところが、長老ほか子供までが、船に戻ろうとします。あと数年で沈んでしまう国なのに。
小魚しか食べられない最低限度の生活でも、安定は捨てられないという庶民の性(さが)が哀しい。
いや、他人事ではありません。
アベが牛耳るわが国こそは、極東の海に浮かび、浸水だらけで蹌踉とさ迷う「船の国」なのです。
不安なのは、輓近の国際情勢に鑑みて、わが船の国が数年どころか一年もつかどうかということ。
北のリトルロケットマンの脳が煮えて火を噴かなければいいのだが…。

閑話休題。
船の国が出航し、ティーちゃんだけが浜に残りました。
微笑みながら、抱き留めようとするシズ。
ナイフ出していきなり刺した!
「帰るところなんてない」
ティーちゃんの怨嗟は分るけど、だからって刺すかふつう?病んだちせ殿の再来?
「置いていかないで」
いきなり手榴弾出した!シズと無理心中の勢いDeath!
この子、隠れヤンデレだったのか!ぜんぜん隠れてないけど!(笑)
ナイフや手榴弾を常時携帯とか、アーミーさん顔負けですな。

キノのお蔭で、どうにか落ち着いたシズとティー。
シズは、流浪の元王子。ティーは家なき娘。
寄る辺ない二人が、これからは寄り添って生きていくのですね。
シズは剣の達人。ティーちゃんは武装錬金。最強コンビの誕生です。
二人の前途に祝福あれ。

ティー(佐倉綾音)
黒子の長(飛田展男)⇒カミーユ・ビダンの人です。
長老(沢木郁也)⇒名脇役のベテランさんです。名探偵コナンでも見かけました。

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2017年10月21日 (土)

キノの旅第3話

迷惑な国」とは云い得て妙でしたねw

まさに「ザ・タワー」ともいうべき堅牢きわまる城塞塔を造り上げ、世界を移動している国。
ただ移動しているだけの平和な国と思いきや、行く手を阻む物は赦さない。邪魔物を切り刻むレーザーまで実装している超軍事力の国でもあります。
女性大統領は、優雅にお茶しながら、指令を下していきます。
優雅なのはいいんだけど、やってることは「サーチ・アンド・デストロイ」に近い。
「世界で唯一の超大国」と自ら嘯くあの国を想起させますね。
まあ、平野部をすべて壁で囲い込み、通行税を取り立てようとするせこい国と、傲慢なのはどっこいどっこいなわけですが。

キノがスナイパーを買って出たのも、移動国のイデオロギーに賛成したわけじゃない。
一宿一飯の恩義って感じでしょうか。あるいは、必要以上に犠牲を出さないという姿勢にプチ共感しての行動。それ以上でも以下でもないということで。

「キノの旅」は「大人の寓話」という気がします。
空想的な世界を描きながら、その空想の根幹を支えているのは、ビターきわまる世界認識。
「これが世界なのさ」
そう呟きながら、醒めた眼で世界の実相をみつめつつ、旅を続けるキノ。
傍観者であろうとして傍観者になり切れず、結局は関わらざるを得ない姿は、時に冷たく時に人間的で、とっても魅力的です。
この物語が、多くのファンを得ているのもよく分ります。

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