魔法使いの嫁第12話
父や母との、やさしく穏やかな想い出。
母親に殺されかけた悪夢でなく、幸福だったころの夢が視られるようになったのは、闇落ちしていたチセの心が救われかけている証左。
そしてそれは、エリアスと過ごす日常が影響しているのは間違いありません。
稚いころから「怖いもの」が視えていたチセ。
そんな異能を母に疎まれて、殺されかけたのでしょうか。依然として分明ではありません。
視聴者に想像の余地を思いっきり残すのが、まほよめの作劇なのでしょう。
「おいしい」
エリアス、ルツ、シルキーと囲む穏やかな食卓の描写で、今回は終わりました。
でもCパートは、何やら不穏な雰囲気が漂っています。
「わたしは、今のあなたの傍にはいられない」
See you in JANUARY 2018.
まほよめは続くんですね!
だから、悠久の時を刻むような緩やかさでも平気だったのか。
つまりは、生存戦略に勝ち残った者の余裕ということでw
老いたドラゴンのネヴィンが、チセに「救い」について語ります。
『自らを貶めることは、チセに救われた者たちを軽んじることだよ』
説得力があります。
あるのですが、ただやはり、大事なことが全て台詞で語られる処に「木に竹を接ぐ」的な齟齬が纏綿してしまう。
しかし、原作者のインタビュー記事を読んで、ようやく得心が行きました。
2014年の、ヤマザキコレさんへのインタビュー記事より引用(「ダ・ヴィンチニュース」)。
「私は本当は、もっと救いのない、重い話が好きなんです。
ただ、救いがないと、読んでくださる方も描くこちらもしんどいですよね。
もちろん、救いのある話もない話もどちらも楽しいのですが、今は現実社会にあまり余裕がないように思われるので、せめて本の中だけでも、ある程度の救いが必要な気がして。
『確かに大変なことも多いけど、世界には美しいものもたくさんあるんだよ』というメッセージが、少しでも伝わるといいな、と思っています」
なるほど!
原作に込められた意図やメッセージが理解できました。
本来は、もっとダークなお話になるところに、「救い」の要素を点綴していたのか。
読者の心情に配慮し、バイアスチェンジが行われている。そう考えると、悲劇と救いとの狭間に横たわる微妙な齟齬も、しっくりきます。
同人誌から誕生した「魔法使いの嫁」で、たまたま通りかかった編集者に見出され雑誌連載が決定したのは、まったくの偶然。
創作同人誌即売会用にもっとダークな作品を予定していたが纏まらず、急遽、以前からあたためていた「魔法使いの嫁」を掲載。それが幸運を齎したというのです。
ヤマザキさんの他の作品は寡聞にして知らないのですが、このコメントを見る限り、おそらく重い作品なのでしょうね。
次回以降語られる、チセとエリアスの新たな救いの物語に期待します。
羽鳥智花(井上喜久子)
羽鳥一樹(川田紳司)
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (5)
最近のコメント