2017年12月21日 (木)

このはな綺譚第12話(最終話)

柚「椿さんに、あたたかな家ができますように」

女将(椿)「ああ、お帰り」

女将さんが屋根裏に秘めた巻物には、願い事が記されていました。
神の道に迷い込んだ柚を帰してくれたのは、神の眷属である椿さんの、つまり女将さんの願いの力だったのですね。
時空を超えて繋がり、成就される願い事。そんな奇跡のお話でした。

宇迦之御魂神は、いわゆるお稲荷さん。伏見稲荷大社の主祭神。
古事記や日本書紀にも登場する、由緒ある神さまです。
この女神さまが温泉を所望し、椿さんが手伝って、此花亭が誕生したのですね。
だとすると、此花亭開祖のきっかけは柚ちゃん?あれ?
ちょっとしたタイムパラドックステーマのSF気分を味わえるのも、このはな綺譚ならではの愉しみです。
そして、女神さまは桑島法子さん
法子さんファンの私には、まさに「大晦日の奇跡」でした。

狐は、稲荷の神さまの眷属として古来から務めてきたんですね。だから、神の道に迷い込んだ柚ちゃんも眷属だと間違えられたのか。
宿屋の下働きだろうが、まだまだ新米の役立たずだろうが、柚ちゃんの帰りたい処は此花亭しかありません。
だって其処は、心をかよわせた、一期一会の懐かしい人たちが居る場所なのだから。

縁起でもない話ですが、最近、たまさか考えるようになったことは。
『死んだら、どこへ行くのかな』
死後の世界が、芥川龍之介の短篇「六の宮の姫君」で、哀れな最期を迎えた姫が視たような怖ろしい世界だったらどうしよう。ただ冷たい風だけが吼えたける、真っ黒な闇だったらどうしよう…。

「人が死んだら何処へ帰るのか」
「生まれる前に」
古代ローマの哲学者セネカの箴言で、かろうじて気持ちを慰めていたのですが。

此花亭は、現世と来世を繋ぐ、かりそめの宿。
いつか、私も此花亭へ行くときが来るのでしょう。
そのとき、柚ちゃんが暖かく迎えてくれるのかな?
いらっしゃいませ、お客さま。此花亭へようこそ
そうしたら、少しは幸福な気持ちで来世への橋を渡ることができそうです。

「このはな綺譚」は、2017年の掉尾をかざる美しいアニメでした。
巷でささやかれた、「超重量級の萌えアニメ」とは、誠に云い得て妙です。こういう作品に出逢えるから、アニメ視聴はやめられないんですよね。
『ご視聴、ありがとうございました』
「こちらこそ!」
思わず、心の中で返してしまいましたよw

もうすぐ、リアル大晦日。新たな年を迎えます。
2018年も、また素敵なアニメに出逢えるといいなあ。

新しき年の初めの初春の 今日降る雪のいやしけ吉事
(新しい年の初め、初春の今日降る雪のように、良い事もたくさん積もれ)(『万葉集』より)

スタッフの皆さん、お疲れさまでした!良いお年を!

女将(椿)  緒方恵美
宇迦之御魂神 桑島法子

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2017年12月14日 (木)

このはな綺譚第11話

神様の休日は、夜を徹しての酒池肉林。いや、肉林は少なめだったかな。
おねえ神に舐められる棗も、ちょっと見たかったかも(笑)。

今回も、脇を固める声優さんが豪華でした。
戦の神は、大塚昭夫さん。重鎮っぽい使われ方だから、まだ問題はないのですが。
芸能の神Aは置鮎龍太郎さん。芸能の神Bは草尾毅さん。
おねえな演技が大爆発です。悪ノリに近いほどの熱演です。
何という置鮎さんと草尾さんの無駄遣い!
思わず慨嘆してしまったのは私だけではあるまいw
でも、お二人とも楽しそうに演じているのが印象的でした。

「このはな」を視聴し終わったあと、いつも心に残る「何か」。
それは、物語としての、骨太のメッセージです。

昔はいくさが多くて、祭りも多くて、活気があった。
弁天さまにも紛う美女に化生した女将が、往時を懐かしみます。
とはいえ、ハロウィンみたいな仮装行列だって悪くはないし、戦争など起こらないに越したことはない。
戦神が無聊をかこつ太平楽な世の中も、決して捨てたもんじゃない。
だけど、もっと日本古来の、固有のものを、みつめ直すべきなんじゃないか。大事にしてもいいんじゃないか。
Aパート「神様の休日」のエピソードには、原作者のそんな深い想いが込められている気がします。

同じことが、Bパートの、お菊ちゃんとリリィのエピソードにも云えます。

ラスト、持ち主の女の子に見出され、幸福そうに微笑むリリィちゃん。
「よかったね、リリィちゃん」と、すなおに落涙することもできるでしょう。
でも、そんな感傷だけでは終らない「何か」が、このエピソードにはあるのです。

菊「これからは、思う存分人間を呪っていいのよ」
リリィ「あなた、人間が憎いの?」
菊「あんな量産型の人形に乗り換えやがって!」
分ります!ガンダムがグフに乗り換えられたほどの口惜しさなんですよね!(違

それは冗談ですが、お菊ちゃんの狂態を笑いながらも、何処か落ち着かない気分にさせられるのは。
彼女の呪詛が、実は、われわれ自身の呪詛に他ならないからです。
お菊ちゃんは「わたしはお菊じゃない!」と繰り返し訴えて、誰にも聞き入れてもらえません。
思わず笑ってしまうのですが、考えてみれば、われわれの名前だって親が勝手につけたもの。自分で選んだものじゃありません。
なのに、一生付き合わなければならない。不条理といえば、これほどの不条理はないでしょう。
だから、お菊ちゃんを笑えないのです。

『人形は、人間に愛されなくなったら、それが寿命』
捨てられたリリィは、静かに呟きます。彼女の諦観が、われわれの心を打ちます。何故でしょうか。
人間だって同じだからです。
人が一所懸命生きようと努めるのは、畢竟、この世界に居場所が欲しいから。つまり、「世界に愛されたい」からに他なりません。
しかし、人間も結局は、リリィと同じ運命を辿ります。
だから、心が壊れてしまう。
世界なんかに最初から期待しなければ、心が壊れる辛さを味わわずに済みます。
でもそれは、とても寂しい人生になるでしょうね。

リリィちゃんが、あの子に愛された想い出だけを抱いて、ひっそり街の片隅で消えていくラストだって、作者は選べたはず。
でも、リリィちゃんにもお菊ちゃんにも、暖かな救いが齎されました。
これだけの伏線を張っての上だからこそ、感傷に堕すことのない感動が現前するのですね。
「このはな」という作品の、腕の冴えを感じる瞬間でした。

 

次回「大晦日の奇跡」

戦の神(大塚昭夫)
芸能の神A(置鮎龍太郎)
芸能の神B(草尾毅)
リリィ(前田玲奈)
少女(白城なお)
彼氏(中村太亮)

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2017年12月 7日 (木)

このはな綺譚第10話

皐「気づけば人の輪の中心にいる。まったく、いやなひとだよ」
柊「母上は、頭がよくて問題も起こさない皐を此花亭に勧めたんだ」

天才と努力家、最後に勝つのはどっち?
古今東西を通じた、永遠の命題です。名作映画「アマデウス」でモーツァルトとサリエリが戦わせた精神的闘争も、印象に新しいところです。
今回「このはな」が見せてくれたのは、この命題への究極の答え「どっちも勝てる」でした。まさに、コペルニクス的発想の転回といえます。

妹の皐は天才肌の柊を羨み、姉の柊は此花亭の仲居を器用にこなす皐を羨んでいたのですね。
二人とも、相手を尊敬し合っている。しかも、お互い気づいていない。
奇妙で幸福な姉妹関係。柊は妹を巫女に推挙する気満々らしいので、皐ちゃんが巫女になる日も、そう遠くはなさそうです。
序にいえば、柊ねえさまが今でも九九を云えないのも、つまりは天才のあかしということでw

今回の収穫は、巫女のあやめさんでした!
清楚感ただよう正統派眼鏡美少女。そのうえ、実に佳い体をしておられますw
「背中流していただける?」
お流しいたしますともあやめさま!何なら綺麗なおなかも洗ってさしあげ
「こらSIGERU、わらわのおなかを流したいと申したのは戯れだったのかえ?女神の怒りは怖ろしいぞよ」
これは沫那美(アワナミ)さま!ご無礼つかまつりました!
不肖SIGERU、女神さまの尊き仕置き、謹んで頂戴いたしまする!(ギャグ使い回しw

遡ってAパート。
薬で縮んでしまった皐と、柚ちゃんにまつわる百合百合テイストなコントも自体も味がよかったのですが。
山を越えてきた旅人さんに関する柚ちゃんの名推理に、ミステリ者としてのマニア心が擽られました。
「杖をお持ちでしたし、それに、足元が汚れていました」
ここで、「あの土は、地質分析的に山の土なのだよワトソン君」とでも喝破してくれれば、柚はシャーロック・ホームズの域にも達したのに!残念!(笑)

次回「神様の休日」

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2017年11月30日 (木)

このはな綺譚第9話

お色気担当女神さま出現!
沫那美(アワナミ)だけに、肌の白さや美しさは完璧。しかも、すっごくいやらしい体をしております。

今回は、伊耶那岐・伊耶那美の孫であらせられる沫那美さまにまつわる、「古事記」由来のやんごとなきエピソードでした。
女神も訪れる此花亭って、もはやミシュランガイド五つ星を超えてますね。

最上級の神である沫那美さまは、うたかた(泡沫)を統べる女神さまとのこと。
うちのブログ名は「うたかたの日々」なので、沫那美さまに統べられるべきブログということになります。まことに光栄であります(笑)。
手形をお渡ししますので、当ブログをぜひご訪問いただきたく、その際には、ヘチマタワシでお背中をお流ししたいと愚考いたします。
何でしたら、おなかを流してさしあげても…(ゲス妄想w

わたつみの宮(竜宮城)から来た亀が、宮沢賢治「注文の多い料理店」よろしく、桐さんたちの奸計によって下ごしらえされそうになるエピソードは、実はお話の枕に過ぎず、沫那美さま登場とは直接の関係はなかったようです。
沫那美さまが浴場で無数のチビ泡になったのは、蓮ちゃんのせいではなく、生まれ直しの儀だったのですね。
神の再生という神聖儀式なわけですが、「街を散策していたら催した」って生理作用ですかw

泡のなかで柚ちゃんが視たのは、イザナギ・イザナミの国生みの場面。壮大です。
お菊ちゃんが云っていた「腐った女たちが追いかけてくる」は、黄泉の国に去ったイザナミを追って行ったイザナギが、黄泉醜女(ヨモツシコメ)たちに追いかけられたエピソードですね。

「古事記」は愛読書の一つ。蓮田善明訳で読み、今は池澤夏樹訳で読んでいるところです。
神典なのに、けっこうやばいエピソードが満載で、おもしろいんですよね。
劈頭の国生みエピソードからして、もろに男女のセックスの暗喩が込められています。
イザナギがイザナミに「婚(よばい)の儀」を呼びかけるときの台詞が、何とも直截的ですごいです。
「わたしの余った処を、そなたの足りない処に刺し塞いで、国を生もうと思う」ですからね。

そして、「このはな」名物の名台詞も健在でした。
女神さま消滅の罪を被ろうとした柚ちゃんに、蓮ちゃんが云った言葉。
「黙っててとはいったけど、罪をかぶってくれなんていわなかった。いくら共犯といっても、そういうのは違うと思う!」
「はい、わたし間違ってました。やっぱり蓮ちゃんはステキな女の子です」
「そういう恥ずかしいこといわないの!」

恥ずかしくて素敵な台詞がいえる柚ちゃんも、ステキな女の子だと思いますよ!



次回「姉上襲来」
皐ちゃんの巫女の姉上のことかな?

沫那美(豊口めぐみ)
亀(ヤスヒロ)
咲耶姫(森なな子)
火遠理命(兼政郁人)
猿(白城なお)

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2017年11月23日 (木)

このはな綺譚第8話

アクロバティックな構成の妙
AパートとBパートとに有機的な繋がりを見出せないまま視聴していたところ、驚くべきサプライズエンディングが!
この結末は全く予測できませんでした。文学史上、ショート・ストーリイのお手本とされているO・ヘンリーの名人芸を想起しましたよ。
こういう驚きがあるから、アニメはやめられないんだよなあ。

Aパート、いきなり海辺のシーンから始まります。いつもの「このはな」と、何だか雰囲気が違います。
水着のコが倒れています。仰向けなので、水着の上からでも、綺麗なおっぱいのかたちが看て取れます。
その子、礼ちゃんは、眼が覚めるや否や、沖で難破したとかはぐれた人魚だとか、次々と空想設定を開陳して、信じやすい柚ちゃんを振り回します。視聴者の我々も、この流れをどう受け取めていいのか分らないまま、お話は進みます。
『おっぱい大きいなあ。このコ、レギュラーになればいいなあ』
礼ちゃんのひそみに倣い、私も妄想空想を垂れ流しながら視聴していたわけですが。
いいオトナが、そんなたわけた妄想ばかりで生きているのは悲しいことですよ?」
そんなふうに柚ちゃんに優しく叱られそうです。
むしろ叱られたいです柚ちゃんお願いプリーズw

さて、現実世界の礼ちゃんは、空想物語を繰り広げ過ぎて、周囲から孤立してしまった孤独少女でした。
誰も自分を認めてくれない。そんな礼ちゃんの悩みに、柚ちゃんは賢者の言葉で応えます。
「騙すというのは、それで物を盗ったり人を傷つけたりすることです。
私は今日一日で、遭難した旅人と迷子の人魚と、そしてあなたに出逢えました。
おねえさんの空想はたのしいです!」

妄想も空想も、全部含めて現実なのにね」
礼ちゃんは、柚ちゃんの言葉によって、ようやく自分を認めてあげることができたのですね。
もしかするとこれは、このはなの作者自身の感慨なのかもしれません
アニメという空想世界に未だこだわっている我々の心にも響いてくる、ステキな言葉でした。

自己承認の欲求。これは、人間にとって根源的な欲求の一つです。
マズローの有名なモチベーション理論「五段階欲求説」によれば、人が自分を承認してもらいたいと求めるのは、第四段階の高次な欲求。
礼ちゃんは、柚ちゃんの言葉で承認欲求が満たされたので、最終の第五段階である「自己実現欲求」(自分の能力を引き出して創造的な活動をしたい)の達成にまで至ることができたのですね。
それは、Bパートのラストで明らかになります。

Bパート。
ショタのカイトくんと、此花亭に長逗留のおっさんのお話。

金髪ショタくん颯爽登場!
いよいよ「腐寄り」に擦り寄ってきたかな?NIYANIYAしながら視聴していたのですが、どうも設定が腑に落ちない。
カイトくんは、里子に出されたりとか、自分にしかできない大事な仕事があるとか、問わず語りに語ります。
やんごとなき坊ちゃんが帝王学を学ぶために在野に出されて、いよいよ実家の豪邸に戻らなければならなくなったとか?
それにしては、高橋さんとかいうおっさんの存在が、豪邸にふさわしくないし…。
些少の違和感を感じつつ、視聴していました。
成長したカイトくんは、家族ができたと報告に。
ああ、誰かいい人と結婚でもしたのかなと思ったら、違いました。

何と!盲導犬
そうです、カイトくんは犬だったのです!

事故で失明したあのおっさんと、実は犬だったカイトくんは、現実世界で主人と盲導犬というコンビを組むことになったのです。
そして、部屋にはさりげに絵本が。「うみべのこぎつね 作:まつもと礼」。
空想少女の礼ちゃんは、美術の学校へ行って、絵本作家になったのですね。
ここに至って、AパートとBパートとは有機的な繋がりを見せ、物語として見事に収斂しました。

結末に大いなるサプライズを用意し、しかも人情味まで漂わせてみせる。
まさにO・ヘンリーの塁を摩するような、上質の味わいをもった作品世界です。

現実世界と彼岸世界の「幽冥のあわい」を描く「このはな」。
エンディングのキャストを眺めていたら。
佐々木望さんと天野由梨さん!
幽☆遊☆白書コンビじゃないですか!浦飯幽助雪村蛍子ですよ!
幽冥のあわいから、幽☆遊☆白書へ。何とも粋なはからいです。
お二人は、この物語の中で、いい夫婦を演じています。
こういう視聴者へのサプライズが、また嬉しい。「このはな」の、もう一つの優しい味わいです。

礼(上田麗奈)
カイト(伊瀬茉莉也)
礼の母(天野由梨)
男(佐々木望)

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2017年11月16日 (木)

このはな綺譚第7話

「本気になったときのなっちゃんの瞳は、宝石みたいだと思う」

櫓の上で、勇ましく太鼓を叩く棗。
その姿をみつめる蓮ちゃんの瞳こそが、本当の宝石だと感じました。
彼女の棗への慕情は、もはや天国的な美しさに達しています。

夏祭り二題。

Aパート。
夏祭りに浮かれ出た、此花亭の人々。先発隊は、柚・皐・櫻の三人です。
はしゃいでいるうちに二人をロストしてしまった柚が、天然っぷりを発揮。
「わたしのせいで、お二人が迷子に」
「おい、迷子」
むかついてる皐ちゃんが何ともw

盆踊りがたけなわ。
皐「今日は霊たちが帰ってくる日だからな」
盆踊りの輪に加わりたいと云う柚に、皐は、二人で行ってと送り出します。
踊ることに逡巡がある?
巫女である姉への羨望は、まだ吹っ切れていないのかもしれません。

死者たちの行進を幻視した柚が、彼岸に誘われかけて、あの女子高生に救われます。
救われし者が、誰かを救う。これもまた、美しき永劫回帰。
まさに「情けは人のためならず」です。
「ためにならないので、情けをかけてはいけない」と誤用されがちな諺ですが、本来の意味は「人に情けをかければ、いつかは自分のためになる」というものです。
人の情けを忘却する人さえいる、薄情無情な世の中。
そんな世相にあっても、人の心やぬくもりは大事にしたい。そんなメッセージが伝わってきます。

留守居の桐さんたちに、お土産を買っていきましょう。
提案する柚に、黙って指差す皐。その先には、一升樽を傍らに、泥酔しまくる連中の姿が。
柚ちゃん、思いっきり引きました。
「たぶんものすごく喜ばれるでしょうが、もっと情緒のあるものがよいかと」
お酒は人のためならずw

Bパート。
蓮と棗の、抒情的なエピソード。あふれる慕情に癒されました。
肩車からの蓮ちゃんの太腿にハッとさせられ、思わず「棗ちゃん、ちょっとその頭どけて!」って叫んでしまったのはヒミツだけれどw
夜空に煌めく花火のように、蓮の想いがいつか耀くことを祈りたいと思います。

櫻ちゃんがお土産に選んだのは、ガラス細工みたいに繊細な、飴細工のキツネ。
でも、いそいそと此花亭に持ち帰ってみると、キツネは溶けてしまい、何やら得体の知れないものに。
桐「イカ?え、ちがうの?」
せっかくのキツネをイカ呼ばわりされ、ふくれる櫻ちゃんが可愛かったですねえ。
二人で、一つの飴を嘗め合うシーンが、何とも知れん色っぽかった!
イカよりも何よりも、もっとやばいものに視えたのはナイショですw

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2017年11月 9日 (木)

このはな綺譚第6話

「おまえが送った彼女、あれがお化け、悪霊」
「それ、三途の川よ」
柚ちゃん気づいてなかったのかw
でも、気づいてないからこそ、不幸な悪霊さんを最後まで看取ろうとした柚の優しさが輝くのですね。

EDのキャスト眺めてたら、いきなり「文豪さん」(天乃咲哉)が。
原作者のご降臨!だけど、どのシーンに?
いえ、ごちそうさまです」ってあの台詞か?
蓮ちゃんと棗(お化け)とのキスシーンにいきなりキツネ面で登場した、あの人?
確かに、百合百合でおなかいっぱいですからね。

第6話「此花亭怪談」は、メインの怪談譚に絡めて、百合風味濃厚なAパートと、柚と比丘尼さまのなれそめ、此花亭への奉公のきっかけを描く過去回との混淆でした。

Aパート。みんなで怪談をしていたら本物のお化けが。
百物語の趣向ですね。百話目に本物の「怪」が現界するというアレです。
友だちが欲しいのに、誰からも相手にされない孤独な少女。
自分を消して、好きになってもらえる「他の何か」になろうとして、結局、お化けになってしまった。

お化けが巻き起こす騒動が、百合百合で愉しかったなあ。
棗のお化け「蓮、ボクのこと、好き?」
蓮『この背徳感がまたいいかな』
蓮ちゃんの心の呟きが、何とも知れん色っぽかったっす。

櫻ちゃんのダブル(分身)まで登場。もはや片手にハサミが常態と化しています。ジェイソンみたいです。悪霊より怖いです
さらに桐ねえさんのダブルまで。本物はどっち?
「脱がせば分るんじゃない?自分の体にイタズラするのもまた一興」
「おまえが本物だ」
本物判定に吹いた(笑)

過去譚の、柚と比丘尼さまとの心の交流が素敵でした。

口の悪い与平さんを大キライな柚を、比丘尼さまは優しく諭します。
「言葉ではなく、その裏のまごころに気づけるとよいですね」
「はい…」

桜の樹が美しい花を咲かせるのは、生殖のため。でも、花は人々の心をなぐさめ、感動させている。
「あの花は役立たずだと思いますか?」
比丘尼さまのこの台詞は、フェリーニ監督の名画「」ですね。
自分は役立たずだと泣く主人公のジェルソミーナを、仲間のサーカス芸人がなぐさめる有名なシーン。
「ほら、道端の石ころだって何かの役に立ってる。空の星だって役に立ってる。君だって、きっと」

柚の賢察は、比丘尼さま譲りなのですね。

お化けの少女「わたしを好きになってくれる?」
柚「あなたは誰が好きなんですか?」
少女「わたしは…」

真実の愛とは、愛されることでなく愛すること。
孤独な少女も、「好きになってほしい」ではなく「あなたが好き」って発想を転換できれば、もっと幸せになれたのかもしれません。
柚の心を覗いた少女は、全てを見て、全てを知りました。みんなの優しさや、花の美しさを。
「次は、わたしも花を咲かせたいな」
少女は、微笑みながら三途の川を渡っていきました。
柚ちゃんの浄化力すごすぎ。このまま、スレイベガにもなれそうですw

次回「夏祭りの夜」

文豪さん(天乃咲哉)原作者!
少女(白城なお)
比丘尼(大原さやか)元祖あらあらまあまあ

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2017年11月 2日 (木)

このはな綺譚第5話

機(はた)音はお囃子の調べ。

人形のお菊から機織りの少女まで、どちらかと云えば淡彩のエピソードで構成された第5話。
「梅雨送りし」のタイトルどおり、蕭条と降る梅雨を背景に、水墨画めいた画面が続きます。
それは、お菊や機織りの少女の心象風景を象徴するための技巧です。

寒色の情景から、少女がはためかせた虹の布が煌めいて、一転夏の空へ。
今回のエピソードは、この一瞬の映像美を演出するために構築されたといっても過言ではありません。
梅雨も、もう終わりです

梅図かずお先生もビックリの人形ホラーで始まった今回。
「地獄少女」なら、一期17話みたいに、人形の呪いまっしぐらのお話にするところでしょうが、そっちには行かないのが「このはな」たる所以。
櫻ちゃんを経て、蓮の卓越したシザーテクニックと着付けにより、匠が造り上げた典雅な日本人形が、プリキュア風いまどきドールに生まれ変わりました。
供養というか、完璧キャラ変ですな。
お菊ちゃんは、瓜乃介とともに此花亭のマスコット的存在になってくれそうです。

Bパートは、天津神に仕える機織りの姉妹エピソード。
庵に籠って、一心不乱に機を織るメガネ美少女。名前はまだないw
彼女も、皐や蓮と同じに、姉たちにコンプレックスを抱いている。

上の姉さまは私より速く織った。下の姉さまは私より綺麗に織った。
だから私は、姉さまたちよりもっと速く綺麗に織らなくてはならない。

あのお、そこ突っ込んでよかとですか?
それって、スピードとテクニック双方において姉さまたちを完全凌駕して圧倒して機織り女王に私はなる!って意味になりますよね?
ささやかなコンプレックス解消というには、あまりに巨大すぎる野望だと思いますw
いや、私が云わなくても、柚ちゃんがさりげに軽いツッコミ入れてましたね。さすがは此花亭の賢者さんです。

機織りの少女は、食事を殆ど摂りません。
心配した仲居頭さんの好意で、おむすびが用意されました。
サンドイッチは、カードゲームの手を止めたくないサンドイッチ伯爵が、プレイしながらつまめる食事として考案したもの。機能的なファストフードの元祖。
そして、おむすびは。
「あまり根を詰めないでくださいね。おなかが空いたら食べて。疲れたら休んで」
そう、おむすびこそは、忙しい貴方への優しい贈り物。子を思いやる母親の心遣いが籠った、日本が誇るあたたかいファストフードです。

次回「此花亭怪談」。
お菊ちゃん以外に怪談噺のネタが?

お菊(渡辺明乃)
機織りの少女(高本めぐみ)ハガレンのウィンリィですね

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2017年10月26日 (木)

このはな綺譚第4話

蓮ちゃんご懐妊!タマゴはなっちゃんの子?

ある朝、気がかりな夢から目覚めたとき、蓮は自分が一つのタマゴを宿しているのを発見した。
フランツ・カフカの名作「変身」みたいですなw

ドタバタ騒ぎからスタートしたエピソードのサブタイトルは「夢の浮き橋」。
何気に深みのあるお話でした。
此花亭は、この世とあの世とを繋ぐ「夢の浮き橋」でもあったのですね。

謎のタマゴは蓮から皐へ、次々と寄生していきます。
どうなることかと思ったのですが、やがて生まれたのは、瓜坊の瓜の助。
瓜坊といえばイノシシの子ですが、悪夢を食べるという伝説の神獣、獏の子なのかもしれません。蓮と皐の悪夢を食べてくれたのかも。
此花亭のマスコットとしてデビューなのかな?

昔の子は、七歳までは神の子。育たずに夭折する子が多かったからなのですね。そのためか、若くして亡くなった娘のために、人形に花嫁衣装を着せる風習があったと云います。
此花亭に突然出現した幼女は、あっという間に成長していきます。どうやら、宿泊客の老婆の娘、志乃らしい。
何もかもを心得顔に、この騒ぎを眺めていた仲居頭の桐が、人形の風習のことを告げた後、ぽつりと呟きます。
「柚、あんたはどう思う?ここにいない人と過ごすあのご婦人、可哀そうだと思う?」
「お客様が望まれたのなら、お客様に視えるものが真実です」
しずかに微笑む桐。柚ちゃん冴えてます。もはや「賢者」の風格があります。

若くして亡くした娘を、此花亭でただひとときよみがえらせたい。七五三の着物から始まり、花嫁衣裳までを縫い上げて、娘が嫁に行く姿までもう一度見届けたい。
冷静な観察者から見れば、そんな老婆の心情は、殆ど狂気に近いと思われるかもしれません。
でも、桐が云っていたように、数百年を生きる者から見れば、此花亭でのつかのまの夢も、人の一生も何ら変わりはない。
心暖まるお話でありながら無常観さえも纏綿する、さすがの作劇でした。

一期は夢よ。ただ狂へ」(「閑吟集」)
室町時代の有名な歌です。中世の無常観を背景に、人の生の意味を端的にうたった秀歌。
狂うというのは、発狂するという意味ではありません。
この世はどうせ一期の夢、夢まぼろし。真面目くさって生きてどうする。
それよりは、夢中になれ。仕事であれ享楽であれ恋であれ何であれ、何かに没入して、一心不乱に生きてみろ。
そんな思想的背景すら想像させる、今回のこのはなエピソードでした。

とはいえ、Aパートの、座敷で反物をいじっているばあちゃんの姿は、何処か尋常ではない雰囲気を漂わせていたのは事実。
地獄少女一期で「あい…」って呟く、障子に影だけ映るばあちゃんを想い出して、最初ビビってしまったのはナイショですw

志乃(加藤英美里)
老婆(谷育子)

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2017年10月19日 (木)

このはな綺譚第3話

ステキ蓮ちゃん回でした!
ボーイッシュな棗への秘めた思慕。実は棗の方も蓮に満更ではなかったという百合百合エピソードを絡めた、味のよいお話でしたね。

腹黒枠と云われていた蓮ちゃんが、嫉妬したり逆上したり、とっても可愛らしい一面を見せてくれました。誰だ腹黒なんて云ったのは(笑)
彼女のイメージカラーはピンク。楚々とした風情で、たおやかな物腰がとっても可愛くて。でも実は性格歪んでるという「ねじけカワイイ」さんなのではないか?
新参の柚ちゃんに対する態度が微妙だったので、京都女にありがちな「早く帰ってほしいわあ」と腹の中では思ってるくせに「ぶぶづけ召し上がります?」って訊いてくるような、あの陰にこもった腹黒ちゃんなのかと曲解していました。
本当の彼女は、外見どおり可愛らしくてすなおな女の子だったのですね。

奔放な棗に振り回されて、蓮ちゃんも結構大変です。八方美人タイプなので、いろいろ溜まるストレスもあるでしょう。その鬱屈を、新参者の柚ちゃんをプチいぢめることで解消したり、いけない子になりかけていました。
それでも耐えられないときは、井戸に向かって日頃の憤懣をぶちまけます。童話「王様の耳はロバの耳」ですね。時代感が出ていて、この辺りの機微も巧いです。

Aパート。
「このはな」は、お仕事アニメとしての要諦も、しっかり押えています。
女の子が接客業に携わるとき、避けて通れない鬼門。すなわちセクハラ。
酔客にお尻を触られた蓮ちゃんが、お約束のお客様ぶっ飛ばしをかまして、場は騒然。
すかさず棗が男前を見せ、もののけ女将が毅然とした態度でお客をたしなめる。見事な連携です。
そして、しゅんとした座をフォローするために柚ちゃんが踊りパフォーマンスを披露し、棗が加わって、上手く場をまとめる。これぞ接客の極意ですね。

Bパート。
「さみしかった」がキーワードでした。
棗にベタベタ付きまとうお客の葵ちゃんに嫉妬する蓮ちゃん。
遠回しのたとえ話で、柚に悩みを打ち明けます。
天然のくせに妙にカンの良い柚ちゃんは、阿吽の呼吸で蓮の本心を察知し、謎かけのような示唆を与えます。
「さみしいのではないのでしょうか」
柚の言葉は、蓮ちゃんの心に響いたようです。この辺りの頓智問答めいた洞察も、「このはな」に深みのある味わいを添えています。

仲居(蓮ちゃん)は見た!女の子同士が全裸で抱き合っている衝撃のシーンを!
「あたしのだからさわっちゃだめー!!」
絶賛パニック中の蓮ちゃんが、思いっきり葵ちゃんを突き飛ばした!
でも実は、褌姿も凛々しいショタくんでしたとさ。
将来は力士になりたい葵くんは、同じく細身なのにパワー溢れる棗アニキの強さに惚れ込んだのですね。
アニキはアネキだったけどさw

今度は、可愛くて気さくな蓮ちゃんに熱いまなざしを向ける葵くん。このコ気が多いな。
多情なショタくんに、棗はビシッと言い含めます。
「だめだよ。蓮はだめ。だめなものはだーめ♪」
百合、いただきました!大変おいしゅうございました!

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