このはな綺譚第12話(最終話)
柚「椿さんに、あたたかな家ができますように」
女将(椿)「ああ、お帰り」
女将さんが屋根裏に秘めた巻物には、願い事が記されていました。
神の道に迷い込んだ柚を帰してくれたのは、神の眷属である椿さんの、つまり女将さんの願いの力だったのですね。
時空を超えて繋がり、成就される願い事。そんな奇跡のお話でした。
宇迦之御魂神は、いわゆるお稲荷さん。伏見稲荷大社の主祭神。
古事記や日本書紀にも登場する、由緒ある神さまです。
この女神さまが温泉を所望し、椿さんが手伝って、此花亭が誕生したのですね。
だとすると、此花亭開祖のきっかけは柚ちゃん?あれ?
ちょっとしたタイムパラドックステーマのSF気分を味わえるのも、このはな綺譚ならではの愉しみです。
そして、女神さまは桑島法子さん!
法子さんファンの私には、まさに「大晦日の奇跡」でした。
狐は、稲荷の神さまの眷属として古来から務めてきたんですね。だから、神の道に迷い込んだ柚ちゃんも眷属だと間違えられたのか。
宿屋の下働きだろうが、まだまだ新米の役立たずだろうが、柚ちゃんの帰りたい処は此花亭しかありません。
だって其処は、心をかよわせた、一期一会の懐かしい人たちが居る場所なのだから。
縁起でもない話ですが、最近、たまさか考えるようになったことは。
『死んだら、どこへ行くのかな』
死後の世界が、芥川龍之介の短篇「六の宮の姫君」で、哀れな最期を迎えた姫が視たような怖ろしい世界だったらどうしよう。ただ冷たい風だけが吼えたける、真っ黒な闇だったらどうしよう…。
「人が死んだら何処へ帰るのか」
「生まれる前に」
古代ローマの哲学者セネカの箴言で、かろうじて気持ちを慰めていたのですが。
此花亭は、現世と来世を繋ぐ、かりそめの宿。
いつか、私も此花亭へ行くときが来るのでしょう。
そのとき、柚ちゃんが暖かく迎えてくれるのかな?
「いらっしゃいませ、お客さま。此花亭へようこそ」
そうしたら、少しは幸福な気持ちで来世への橋を渡ることができそうです。
「このはな綺譚」は、2017年の掉尾をかざる美しいアニメでした。
巷でささやかれた、「超重量級の萌えアニメ」とは、誠に云い得て妙です。こういう作品に出逢えるから、アニメ視聴はやめられないんですよね。
『ご視聴、ありがとうございました』
「こちらこそ!」
思わず、心の中で返してしまいましたよw
もうすぐ、リアル大晦日。新たな年を迎えます。
2018年も、また素敵なアニメに出逢えるといいなあ。
新しき年の初めの初春の 今日降る雪のいやしけ吉事
(新しい年の初め、初春の今日降る雪のように、良い事もたくさん積もれ)(『万葉集』より)
スタッフの皆さん、お疲れさまでした!良いお年を!
女将(椿) 緒方恵美
宇迦之御魂神 桑島法子
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