2012年3月24日 (土)

ブラック★ロックシューター第8話(最終話)感想

#8「世界を超えて」

傷つくことでしか、現実を認識できない。
リストカットの血と痛みとで、ようやく現実を実感できる。そんな若い女性たちが、確かにいます。
現実喪失の感覚は、れっきとした統合失調症の症状。病める心の表象。
だから、「あの世界」も、自我を喪失した少女たちが造り出したものなのでしょう。

心が傷つくことは、動物にはない、人としての特権なのか?
子どもは、傷つき、超克することでしか、成長できないのか?避けられない通過儀礼なのか?

夭折した漫画家、三原順の名作「はみだしっ子」には、心に遺る台詞が溢れています。
破滅へ突き進む子供たちを救いたいのに、何もできない。
渠(かれ)らを心から案ずる女先生が、思い余って、悲痛に叫びます。
子供ってキライよ!傷つくことだけ一人前で!
もちろん、この「嫌い」は反語だということを読み取らねばなりません。
余談に亙りますが、デビュー当時から短い生涯を通じて「少年の心」を追った三原順の作品は、今でも読むに値するものだと思っています。

烈しい争闘の果てに、少女たちの日常が帰ってきました。
マトが、ヨミが、カガリが、笑顔を交わします。
転校生のユウが、マトたちに、にっこり微笑みます。
穏やかな時が流れて…。

そして、ストレングスは、ブラックロックシューターは、どうなったのか?
実はまだ「あの世界」で、永劫の戦いを戦い続けているのですw
心の不思議がある限り、彼女たちの劫は消えない。そんな世界観でした。

「テルマエ・ロマエ」を受けて、変則1クールのBRS。駆け抜けた、という印象です。
スタッフの皆さん、お疲れさまでした。

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2012年3月16日 (金)

ブラック★ロックシューター第7話感想

#7「闇を駆ける星に願いを」

「私たちのあの子」すなわち本物の神足ユウは、現実を遁れて、観念世界に逼塞していました。
そこで、ストレングスとして無限の苦痛を享けながら、永劫の戦いを続けていたのです。
何故なら、現実の不定形な苦痛よりも、遥かに耐えやすいから。
分りやすい痛み…。

前回、コトバノチカラについて苦言を呈しましたが、今回はよかった。
ユウが、瀕死のストレングスに語りかけた詞(ことば)。
あなたが、死ななくてよかった。
もしここへ来て、あなたがいなかったら、あたし、どうすればいいの?

(/_<。)

救いを求むる人々。(スタンバーグ監督の名画)
あの寂しい人たちを見てごらん。(Beatles「エリナー・リグビー」)
汚れっちまった悲しみは 懈怠のうちに死を夢む(中原中也の詩)

ゆくりなくも、そんな美しく哀切な言の葉たちを想い起しました。

どんなとき、心は壊れるのか
マウスの生体実験でも、証明されています。
今までは通れた通路に、電流を流す。マウスは驚駭し、他の通路を駆け抜ける。
次には、さっき通れたはずの「他の通路」に電流を流す。
それを繰り返していると、マウスは竟に発狂するというのです。
物理的な苦痛にはある程度耐えられても、不定形な苦痛、例えば環境の激変には、精神が耐えられなくなる。
進学、就職などの節目に、鬱病に罹る人が多いのも、その説を裏書きしているように思えます。

ヨミは、痛みとともにマトを、友だちを想い出した!
そしてカガリもまた…。
痛み」は「悼み」。
少女たちの壊れてしまった心に、痛みという名の悼みが還ってきた。
そのときこそ、甘いかなしみに癒された心は、再び甦るのでしょう。

現実世界に改変が生じ始めました。
少女たちの不幸な心は救われるのでしょうか?

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2012年3月 9日 (金)

ブラック★ロックシューター第6話感想

#6「あるはずもないあの時の希望」

君よ忘却の河を渉(わた)れ

「あちら側の世界」で敗北し、全てを忘却することにより、永遠のアタラキシア(平穏)を得られる。もう何も怖くない。
カガリが、ヨミがそうでした。
現実の葛藤が昂じて心が壊れかけていた彼女たちですが、アタラキシアを得た結果、ふつうに、何事もなかったかのように、クラスに復帰しています。世はすべて事もなし。

だけど、それでいいの
徒(いたずら)に苦しんでいただけの心かもしれないけれど、それでも「あなたの心」だったんじゃないの?それを弊履のように棄ててしまうの?

偽りの安寧に異議申し立てを行うのが、黒衣マト=ブラックロックシューター。

そしてどうやら、「あちら側の世界」を創造したのは、「かつての」神足ユウと、納野サヤらしい。
「現実」の痛みを全て引き受けてくれる、きわめて暗喩的かつ観念的なシステムです。
黒衣マトは、そうした平穏システムを否定する存在。すなわち破壊者。
二人して眼を醒まさないマトの心配をしているが、破壊者としての、つまり本然のマトを心配しているわけではないだろう。
なぜなら、サヤたちが本心から護りたがっているのは「あたしたちのあの子」なのだから。
そして、「あの子」とはもちろん…。

こんな感じかな?

ちょっと面白くなってきました。
けれど、コトバのチカラがまだ足りない。
「この世界より、生きていくのがつらい世界なんて、どこにもない」
薄い。薄っぺらいんだよなあ…。

言の葉は、力を入れずして、天地(あめつち)をも動かす。
そう謳ったのは、古今和歌集を編纂した歌人、紀貫之です。
言葉は、世界を構築するだけの力を持っている。私自身も、そう信じています。
ただし、言の葉のレアリテを保障するのは、表現された現実に担保される「勁さ」。
その勁さが、虚構世界の構築が、「ブラックロックシューター」は、まだまだ稀薄。

試みと志(こころざし)は買いたいと思います。がんばって!

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2012年2月24日 (金)

ブラック★ロックシューター第4話感想

#4「いつか夢見た世界が閉じる」

『マトの、友達…』
何なの?何なの?何なの?
だいじょうぶかメガネちゃんww

依存さんはヨミだったのか…。
意外とまではいかないが、墜とし方は巧いですね。なかなかしんどい流れだ。

逆上したヨミさん、なりふり構わず、カガリに突進します。
「カガリはあたしを必要としてくれる!」
しかし。
「ちゃんとお返ししないと、ヨミ、カガリのこと手放してくれないと思った」
Σ(゚Д゚;
どうして好きだったのか、よく覚えてないけど
カガリちゃん、「忘れて」いる?
アラタさんも忘却してるっぽいし、何かありそうです。
すべてはサヤの掌の上

日本の私小説には、ダメ男やダメ女を扱う系譜があります。つまり、共依存がテーマ。
映画化もされた「浮雲」(林芙美子原作)は名作です。
「あなたの正体、ぜんぶ分っちゃった…」
そう自虐しながら、それでも男を追いかけずにいられない女の業に、鬼気迫るものがありました。

アドレッセンス期における少女たちの共依存を扱った作品は、ラノベ辺りに多そうですね。
桜庭一樹「少女には向かない職業」は、そうかな?

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2012年2月17日 (金)

ブラック★ロックシューター第3話感想

#3「こらえた涙があふれそうなの」

観念世界は続くよどこまでも。(ノ∀`)

あえて、困難な隘路に踏み込んだという印象のBRS。
この抽象的なテーゼをアニメ表現において完遂するためには、相当な膂力が必要でしょう。
観念的抽象的世界を扱った先行テレビアニメ作品で、印象的だったものといえば。

「lain」(1998)
「ブギーポップ」(2000)
「.hack」(2002,2006)
とりわけ忘れがたい名作「灰羽連盟」(2002)
観念世界と現実世界とを折衷したのが、「ハルヒ」(2006,2009)と「エヴァ」(1995-96)
あと、「攻殻機動隊」(2002ほか)もこれに含めていいかな。

さるにても、錚々たるラインナップですね。
BRSは、これら偉大な先達たちに比肩することができるでしょうか?

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2012年2月11日 (土)

ブラック★ロックシューター第2話感想

#2「夜明けを抱く空」

「ヨミが悲しくならないように、彫ってあげる
彫る、か。ピンドラの、彫刻家だったゆりパパを想起させるエピソードです。
刻みつける傷。依存する心。希求するエクソダス。
エヴァのあの「呪文」が、ゆくりなくも甦ります
「痛いでしょう?心が、痛いでしょう?」

初手から作品構造を顕かにしたのは、評価に値します。潔いです。
ただし、世界観が分っている以上、単調に堕する危険も。
何処かでこの「予定調和感」を裏切らないと、一気に失速しかねません。
手練れのスタッフなので、いずれ到来する変化を期待したいところ。

世界風景と戦闘描写は、異常に漲ってますね。
マカロン大量投入とか、ガトリングガン連射とか。ちょっと、マミさんのマスケット銃思い出したりww
やっぱり、アニメの人は作画に淫したいんだなあと思った次第です。

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2012年2月 3日 (金)

ブラック★ロックシューター第1話感想

#1「あとどれだけ叫べばいいのだろう」

黒衣マトは「WORKING!」を観ていないんですね。
小鳥遊を「ことりあそぶ」とか謂ってます。
「タカナシくんはタカナシくんだよ!」(ぽぷら)
アニメはチェックしておかないとね。教養が身に付きませんよ
(´∀`*)

「テルマエ・ロマエ」に続くノイタミナ枠。
ローマ人風呂に3回喰われているので(笑)全8回の放映です。

基本的に女子しか登場しません。
そして、現実世界の動きに雁行するように、殺伐とした戦いが繰り広げられる「精神世界」(?)が描かれます。
久々に見る、コテコテのセカイ系作品。「とんがってる」という評語が相応しい。
カウンセラーのサヤさんが「本当に傷つくことはない」と、何故かマトの胸をさわりながら述べていました。
痛みを、精神世界で転嫁しているのか?ここは、代償的な世界なのか?
もしそうなら、聊か安易な処理ですね。

「海に映るは空の青、絵空の青の空の海、絵空の青に空の涙、涙の青に小鳥飛ぶ」
レトリックには、慥か(たしか)に感性が光っていますが、感性だけで8話分は維持できません。

黒衣マト⇔ブラックロックシューター
小鳥遊ヨミ⇔デッドマスター
出灰カガリ⇔チャリオット

デザインから、こういう布置だろうと想像はつくのですが。
カガリのチャリオットに一方的にいたぶられるブラックロックシューター=マト。
不思議ないろを放つ瞳のかなたに、彼女たちは何を見るのか?
そして、マトとヨミの愛惜してやまない絵本「ことりとり いろいろのいろ」が、物語にどのように作用していくのか?
伏線をすべて回収する必要はないのですが、種を蒔くなら、実りの秋をぜひ迎えてほしいところです。

次回「夜明けを抱く空」

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