偽物語第11話(最終話)感想
#11「つきひフェニックス 其ノ肆」
近ごろ都に流行るもの
怪異 超常 衒学趣味
韜晦 逆説 言語遊戯
そこにエロスとフェティシュの薬味を振りかければ、西尾維新の作品世界の出来上がり。
(ノ∀`)
「次回に續」と、怪しい挙動を示しつつも、「偽物語」は完結しました。
此れはアンチロマンか?反ドラマトゥルギーを標榜?って誤読したくなるほど、カタルシスを潔く回避。
あっさりと、対立者(影縫余弦)は去っていきました。
貝木泥舟と同じ処し方です。さすがは大学の同期生だけはある。
阿良々木くんはボコられ損だったなw
月火を、怪異で偽物だと断じる、美しき陰陽師さん。
フェニックスの怪異、正体は杜鵑。その習性である「托卵」により、母胎に宿された怪異。それが月火ちゃん。
出自そのもの、存在そのものが既に偽物、という論拠なのでしょう。
顕かに分が悪い阿良々木くんですが、愚直なまでに「妹だ」を連呼し、抵抗する。
影縫さんは、それは(人外となった)おまえの理想。他人に押しつけるなやと鋭く畳みかける。
阿良々木は「家族」という根拠により反論。
「他人じゃない、家族だ!だから理想を押しつける。迷惑もかける」
「性悪説か」
ここで、薀蓄・衒学趣味が、滔々と開陳されます。西尾維新の独壇場ですね。
二人の超え難い差異を、性善説(孟子)と性悪説(荀子)で説明してみせたのは、一寸面白かった。
我田引水の気味はあるが、そんな力技も含めて、新鮮でした。
影縫は、「托卵」という出自自体が孕む欺瞞性、すなわち「存在自体」が偽物であることを論難する「そもそも論」を繰り広げる。
一方、阿良々木の反論は、「だって、生まれたんだから!生きてるんだから!」。すなわち「生を得た者にとって、関係性(この場合は家族)こそが本物であることの証左」と考える。いわば実存主義を主張して対抗。
…妹への固着というか執着っぷりの擬装疑惑も纏綿しますが、それはまあ不問に付するとしてww
以上が、衒学趣味や韜晦、言語遊戯の部分です。なるほど西尾維新だw
逆説の例として。
「月火ちゃんにキスしても昂奮しないからやっぱり妹」という阿良々木くんの「逆証明」があげられます。
こういう論理は、「ブラウン神父もの」で知られるチェスタトンなどにも顕著です。
とはいえ、「偽物語」は論文じゃなくて「小説=アニメ」です。
これではあまりに形而上的。喰い足りない読者=視聴者のために、諍いが中絶したことについて、ちゃんとエモーショナル(心情的)なエクスキューズも用意されていました。
陰陽師さんは、この闘いを「人間と怪異の組み合わせ」と表現しました。
阿良々木は、それに気づいたのです。
「こんな状態の僕を、人間とよんでくれた」
だから本気になれなかった。
敏感に察した影縫さんも、敵愾心を喪失。そのまま立ち去ったのです。
総論おしまい。映像論までは手が廻らなかったな。
若干の各論というか、余談をば補足しますね。
殴っても殴っても立ち上がってくる阿良々木くん。ホセ・メンドーサ戦の、あしたのジョーみたい。
「まだ敗けてないよな、わがあるじさま」
「…そうだよ。ボクはまだ敗けちゃいない」
まだやらせるのか!Σ(゚Д゚;
どんだけ鬼畜なんだ忍ちゃんww
ホセは恐怖して白髪と化したけど、さすが影縫さんは余裕です。
しらけたとか捨て台詞を遺して、あっさりと去っていきました。
月火ちゃんとの、和みの会話再び。
「また、キスされるかと思った♪」
…待ってたのかな?(ノ∀`)
火憐ちゃんとの間に、家族戦争が勃発しそうな予感。
お兄ちゃんは、今度、彼女を紹介するのだそうです。
「お兄ちゃん、カノジョいるの!?」
やっぱり戦争だww
海辺で、短髪すっきりの戦場ヶ原さんと邂逅。
余韻を残して、「偽物語」全編の締め括りです。
スタッフの皆さん、お疲れさま!
「またすぐ逢おうねえ。待ってるよ、劇場で!」
ボクはアヘ顔でそう言った。( ´▽`)σ)´Д`)
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