夏目友人帳参第13話(最終話)感想
#13「夏目遊戯帳」
「今のおれにとって、人も妖も、ひとしくかけがえのない…」
夏目が手に入れた、それが結論。
「おとめ妖怪ざくろ」も、人と妖とのかかわりに踏み込んだ作品でした。
ざくろにおいては、「組織と個」という図式を定立していましたが、夏目友人帳においては、あらゆる矛盾が夏目個人の問題に還元されています。
個人の運命が世界の運命に繋がっているという意味で、牽強付会すれば、これも「セカイ系」と言えるのかもしれません。
しかし、セカイ系の特徴である鋭い対立は、夏目という作品においては、さほど目立ちません。
ゲルマン的世界ならば「世界苦(ヴェルト・シュメルツ)」や「憂愁(ゾルゲ)」に沈むところを、夏目は、何処かラテン的な明朗さで切り抜けていきます。もちろん、夏目を自然に慕って集う者たちの有形無形のサポートも見逃せません。
夏目友人帳の世界観自体が、ウエットに見えて、実は地中海的な闊達さを体現しているのかもしれませんね。
子どものころは、妖が見えてしまうがゆえに異端視され、人交わりが叶わなわなかった。子どもたちの影踏み遊びにも加われなかった。
しかし今は、人間の友だちも増えてきている。妖との関係性も良好になり、「襲われたりもするけれど、私は元気です」。
中級妖怪たちに「偲ぶ会(笑)」の飲み会にも誘ってもらえるほど、進化しました。
酔って、人間の遊びを共にするまでになったのです。斑とか三篠が参加すると、「本当は怖ろしい影踏み鬼」に変貌してしまいましたがwww
夏目の内面世界では、これまでの齟齬について、折り合いが付き始めています。変化が緩やかに進んでいます。
この世界との和解。改革の形態でいえば、漸進的改革。
第四期で、矛盾がさらに、高次元で統合(アウフヘーベン)されることを期待しつつ。
かくして、第三期もまったりと酒盛りで幕を閉じました。第四期が決定しているので安心だ。
スタッフの皆さん、お疲れさま!四期を鶴首して待ちたいと思います。
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