異国迷路のクロワーゼ第12話(最終話)感想
#12「屋根の上の猫」
屋根の上の湯音。
「焼けたトタン屋根の上の猫」といえば「どうしようもない焦燥状態」という謂いになりますね。関係ないけどww
この作品は二重写しや暗合を多用しますが、ここでも、ジャンの転落死と湯音の転落が、二重写しの技法により照応されていました。
不幸な体験ですが、事故は事故なので、誰のせいにもできない。クロードは、どうやって超克すればいいのか?
少年マンガなら、グランマガザンででっかい仕事をやってのけ、父の無念を晴らすという強引なやり方もアリなのですが。
サトジュンさんだと、それはあり得ないかww
湯音の本当の希みは、何だったのか?
姉の汐音は、後ろ髪をひかれる思いの湯音を、こう励まして送り出したのでしょう。
「異国へいきなさい。そして、私の代りに見てきてちょうだい。私と同じ、碧い瞳の人々ばかりが暮らしている街を」
結局、ギャルリから外へ出ることはありませんでした。むかしの少女アニメだと、「キャンディ・キャンディ」にしろ「花の子ルンルン」にしろ、あるいはまた「ナージャ」にしろ、各国をめぐって冒険する、というパターンが多く見られたのですが、クロワーゼは、徹底して「街」に限定した世界を描き切りました。
汐音の願いは、あるいは、広い世界を見てきてね、だったかもしれないけれど、湯音は湯音で、必死だったのです。
遠い異国に、ジャポネーズ(異人さん)としての根拠を確立すること。
クロードの家に、そしてギャルリに居場所を見出すこと。
湯音の希みは、美事にかなったのですね。
「迷路」に当たる負の側面を、もっと鋭く剔抉してほしかった気持ちもあるけれど、それは過大な要求というものでしょう。
ぬくもりに充ちた、ステキな作品だったと思います。スタッフの皆さん、お疲れさまでした!
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