世紀末オカルト学院第13話(最終話)感想
#13「マヤの文明」
どうしても結末を直接見届けたくて、翌日の仕事の事など忘却し、深夜の視聴を敢行しました。
しかも、それだけの見返りがあった!
これほど牽引力のある、熱と力とがはっきり感じられる最終話は、本当に久しぶりです。
知的な構成に秀でた、しかも爽やかな余情が漂う、稀にみる後味のいい最終話でした。
「パズラー」と呼ばれる古典的ミステリが、大好きです。
よく組み立てられたパズラー(クイーン『オランダ靴の謎』とか)の、ピースがカチッカチッと音を立てながら、あるべき箇所へ納まっていくあの無上の快感を、オカルト学院で味わえるとは思いませんでした。
最終話予想で、複数の時間軸論やタイム・パラドックスに基づく予想を試みたのですが、さらに上を行ってくれました。それも快感でしたね。
魔法力で2012年の未来に飛ばされたマヤパパが、未来を破滅に導くノストラダムスの鍵の正体を探るために、アベミノルたちを次々と1999年に派遣。
しかし、6人目として派遣した内田文明が、過去の文明少年と接触することによって齎される次元の歪み。それこそが、ノストラダムスの鍵だった!
なるほど!
思わず、膝を叩いてしまいました。見事な伏線の回収です。
特筆すべきは、構成力だけではありません。
その、強引なまでの突破力!
文明が、自らの人生を呪縛していた象徴である一本のスプーンに、ラマチャンドラン・フィッシャーの予想?により生じた膨大な歪みエネルギーを集中させて、異界からの宇宙人を消滅させ、「アンゴルモアの大王」を封印した!
視聴者への心理的伏線として、白魔術師VS黒魔女の魔法対決を布置しておいて、ぐいっと捩じ込んできたクライマックス。
全てをカタルシスに導いた力業は、賞賛に値します。
私の予想とは違って、大人の文明は生き残れなかったけれど。
しかし、流されるまま生きてきたことを絶えず後悔し、自分がキライだった文明にも、一抹の救いを与えた演出には泣けました。
「マヤ!オレを、頼んだぞ!」
「自分の脚で、立ちなさい」
そして、13年後。
「内田」という表札が掲げられた家で、文明(ふみあき)とマヤパパの帰りを待っているかのように並べられた3皿のカレーライス。そして、スプーン。
マヤと文明との交情を、このワンシーンにありったけ込めた演出に、思わず涙したのはヒミツです。ww
よく考えたら、この最終話って、かなり情報量が多いんですよね。
なのに、窮屈とか拙速とかを微塵も感じさせないのは、よく練られた脚本と演出、淀みないカット割りとが生み出した相乗効果。
萩尾望都の「マンガに、無駄なコマなんて一つもありません」という名言を思い出し、ひとり頷いていました。
各所を回ってみましたが、ほぼ好評を以って迎えられているようです。1話からずっと応援してきた一人として、何だか嬉しい。
まさに、アニメノチカラの掉尾をかざる力作であり、傑作でした。
スタッフの皆さん、ありがとう!そしてお疲れさま!
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