2010年6月29日 (火)

閃光のナイトレイド第13話(最終話)感想

#13「せめて、希望のかけらを」

高千穂は、死んだトワへの愛惜ゆえに、新型爆弾による未来の悲劇を阻止したかったんですね。
預言を無理強いし、彼女の死期を早めてまで、聞き出した未来。
何としても、無駄にしたくなかった。そんな真情が、見え隠れしていました。

預言者である静音が、最後の最後で、高千穂に背いた。
葛が、「納得できません!」と叫んで、やはり高千穂を離れました。
これも想定内でしたね。

ただ、高千穂は、軍国日本の走狗とか悪人ではなかったにしても、武官としての桎梏から、やはり逃れられなかったようです。
雪菜ちゃんの兄ということもあって、彼には同情的だったのですが。
上海を標的に選び、それを変えなかった時点で、思想的背景を喪失してしまったのでしょう。
何も語らないまま死亡したのは意外でした。雪菜に、いろいろ胸の底を吐露してから大往生、かと思っていたので。

そして、桜井が、またしてもやってくれちゃいました!二転三転の背信漢っぷりです。
組織の非情さや不条理感を演出したのでしょうけれど、ね。
単純明快だったスパイ冒険小説(『十三階段』)が、複雑な世界情勢を反映したエスピオナージュ(『ディミトリオスの棺』『寒い国から帰ってきたスパイ』)に進化したように。
確かに予想外だったけど、底知れない不気味さというより、唐突さが先に立ってしまったのは残念でした。

この後は、一気呵成の展開。
総花的ではあったにしても、爽やかな結末を用意してくれました。

葵が、新型爆弾を虚空に飛ばし、そのまま消息を断つ。
ひとり、新京に戻ってきた雪菜が、店を構えるまでになった風蘭と再会。
葛とも、しばらく会っていないと。
繁盛する店内に飾られた、葵の撮影したメニュー写真。
その中に、皆で撮ったポートレートが。葵、棗、雪菜、風蘭…。
そこには、葛の姿もあった!
「葛の写真ならあるから、合成しよう」との、葵の言葉を思い出した雪菜。
そのとき、懐かしい、下手くそなヴァイオリンの音色が。
思わず路上に飛び出した雪菜だが、そこには、泥沼に向かう軍国日本を象徴するかのように、関東軍の行進が…。

大団円よりも、現実の割り切れなさを意識した、鮮やかなエンディングでした。
名作映画で、同じようなラストシーンを見たような気がするけれど、残念ながら思い出せません。

えーと、せっかくなので、ちょっとツッコミ入れさせてください。

高千穂「降りたのか?神託が」
預言者「もう、ここまでといたしましょう」
だ、だったら、何のためにお籠もりしたんですか静音さん!?
(たぶん、雪菜を預言者とする神託が降りたので、沈黙したのかもしれません)

桜井「汚れ仕事ばかりだよ」
てゆーか、やっつけ仕事のような…。
桜井の、明日はどっちだ!?

市ノ瀬「ボクの計算中で、いちばん信頼できる組み合わせで」
ただの当てずっぽうかよ!ホントに爆発するのか!?

桜井が、壱師に記憶を消された!
「どこなんだ、ここは…」
狸オヤジから、ただのボケ老人に降格!?

ここからは、締めくくりです。

桜井の手駒と見えた壱師が、実は最強の監視者だったのには驚かされました。影の大物だったんだ。
ワーキングの松本麻耶じゃないけど、壱師が、最終回で初めて喋った!
CVは…海外の方だったんですね。だから、公式では「?」だったんだ。最後の最後まで、正体を明かさないために。

江戸川乱歩好きとしては、葵の『屋根裏の散歩者』の引用に惹かれました。
高千穂が、預言者をとおして見た未来は、しょせんは、屋根裏から見た狭い世界(可能性の一つ)だったのではないか
おもしろい視点です。
すべては、歴史の審判と評価を経てみないと分らない。万物流転。
それがナイトレイド全編の示した結論でした。

意欲的な問題作でした。あともう一つ、もう一つだけ欲しかったかな。隔靴掻痒…。
でも、最後まで引き込まれて視聴したのは確かです。
スタッフの皆さん、力作をありがとう!お疲れさまでした!

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2010年6月22日 (火)

閃光のナイトレイド第12話感想

#12「夜襲」

「上海に、超弩級の新型爆弾を落とす」
Σ(゚Д゚;

新型爆弾の抑止力による「恐怖の均衡」。
それが齎す世界平和の可能性を示唆してみせたにもかかわらず。
欧米列強はもとより、搾取されているはずの東の国々さえも、動こうとしない。
高千穂勲は、最後の決断を下しました!

帝国と国体の護持、という台詞もありましたが、最終回直前の今でもなお、高千穂の真意を測りかねています。
しょせん、帝国軍人としての思想に掣肘されていただけなのか?それとも?

リットン調査団を瞠目させた新型爆弾は、やはり高千穂が見せた幻影でした。
市ノ瀬によれば、信管の位置などの解が算出できないため、爆弾はまだ完成していないといいます。
けっきょく、爆弾の完成は、預言者に頼るしかない、とも。

新月(月の蝕)と、郊祭式典が重なる日が、決起の日。
(何となくハガレンを思い出すのは気のせいですよね?)
満州国の首都、新京は、風水思想により設計された、魔的都市だった!
預言者の静音が、卑弥呼めいた巫女の姿で地下に入り、神託を受けようとします。

高千穂の真意は?
預言者は、何を告げようというのか?
そして、葵や葛や雪菜の運命は?

仮に、高千穂が、帝国主義の走狗に過ぎない悪人だったとしましょう。
すると、考えられる結末は。
①預言者の静音が、最後の最後で、高千穂の意にそむいた預言を行う。
②高千穂の決断を首肯できなかった葛が、最後の最後で、葵たちと合流して、計画を阻止する。
どちらもアリだとは思うのですが…。

「核と平和」というキーワードで思い出すのは、故・石森章太郎の傑作中篇『大侵略』です。
かなり古い作品で、詳細は忘れてしまったのですが。
ある老科学者が「逆爆発装置」というものを開発し、アメリカを初めとする核保有国に、無条件降伏を迫ります。
応じなければ、アメリカが国内に保有する核を、遠隔操作により爆発させる、というのです。
狂人の戯言と一笑に付したホワイトハウス首脳の眼の前で、じっさいに核を爆発させてみせ、アメリカを、世界中を震撼させます。
結論をいうと、老人の真意は、まったく違うところにあったのです。
CIAのエージェントとなっていた、老人の孫息子ケンが、老人を、世界征服を企図するマッドサイエンティストと誤認して射殺してしまうのですが。
老人の、最期のことば。
「やったぞ、ケン!わしは、世界中の核を無力化することに成功した!」
逆爆発装置の完成形とは、すべての核を遠隔操作で無力化することにより、世界に平和をもたらすことだったのです

せめて、希望のかけらを
暗示的で、いいサブタイですねえ♪
エヴァの「せめて、人間らしく」を想起したけど、それはともかくww
雪菜ちゃん予告によれば、大団円らしい。
これは、単なる希望というか願望なのですが
どうしても悪人という気がしないのです。高千穂勲のことを。
上海に爆弾を、という高千穂の言葉は、本意ではないのかも?
欧米も東の国々も自分の考えについてきてくれない!という焦燥が為させた、偽悪的発言?
石森の『大侵略』をわざわざ引用したのは、そんな気持ちがあったからなのです。

雪菜ちゃんの兄が、ただの極悪人であってほしくない、という判官びいきめいたものもあるのかもしれませんねww
いずれにしても、最終回を刮目しつつ待ちたいと思います。

次回(最終話)「せめて、希望のかけらを」

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2010年6月16日 (水)

閃光のナイトレイド第11話感想

#11「闇の探索」

高千穂勲、静音、そして葛が降り立った地に先回りしていたのは。
「やあ、元気そうで何よりだ」
まさかの桜井
Σ(゚Д゚;

不意打ちでした。まったくの予想外。
ここで、おっさんを持ってくるとは…。
こうなると、英国のMI6について「規模は違うがね」と、さりげなく語った桜井の言葉が、かえって気になります。
MI6は、いまや超有名な世界的諜報機関なので、桜井が卑下したのかとばかり思っていたのですが。
桜井機関って、もしかして、能力者を傘下に要する世界的な諜報機関だったのか?

預言者絡みで、柳田國男という名が初登場しました。
柳田については、『遠野物語』以外は、日本の先住民族に関する研究のこと程度しか知らなかったので、検索したところ。
柳田國男?宮澤賢治?北一輝?甘粕正彦?
それらの名を繋ぐのは、『北神伝綺』というコミック作品でした。
ナイトレイドは、『北神伝綺』からインスパイアされているんでしょうか?
北神伝綺は未読なため、どなたか教えていただけると幸いです。

北一輝については、右翼思想家で二・二六事件に連座したとして処刑された、という史実のほかは、三島由紀夫の『北一輝論』経由でしか知らなかったのですが。
妻の言寄せ(預言)を記録したという『霊告日記』などの著作も、あるようです。
高千穂勲のモデル(の一人)は、北一輝だったのでしょうか?
勲、預言者、そして日本と亜細亜の未来。
『ナイトレイド』という作品のミッシング・リンクをつなぐ鍵として掘り下げてみたいのですが、今夜はちょっと余裕がないので、またあらためて語りたいと思います。

冒頭で、百家争鳴する独立運動家たちを前に、勲が呟いた重い言葉。
「決断しなければならない時期かもしれないな」
新型爆弾を、「預言者であるトワが命を賭して告げた具体的な未来」を基に、物理学の鬼才、市ノ瀬の協力により、実用レベルまで引き上げたらしい勲。
彼の決断とは?
まさか、新型爆弾を?威嚇としてではなく?

次回「夜襲」

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2010年6月 8日 (火)

閃光のナイトレイド第10話感想

#10「東は東」

葛が、高千穂勲を炎から救って逃走した!
律儀そのものだった葛が、仲間を裏切るとは…。驚愕の展開です。
1925年の過去回想で、陸軍士官学校予備門での石原莞爾の講演にインスパイアされた葛の姿が描かれていましたね。
これが伏線だったのか。
軍人は軍人、ということなんでしょうか。国を憂え、忠国を尽くすのが、軍人の本分という事なのか。
若いころに心酔した物からは、結局逃げられない、ということなんですね。

私とアニメが、そうでした。
小学生のころ、寝ても起きてもアニメとマンガだった私。ついに、見かねた親から、戒厳令を敷かれてしまいました。視聴禁止を喰らったのです。
中学生から高校生にかけて、完全なるアニメからの断絶。アニメ大暗黒時代でした。
もともと文学も好きだったので、渇を癒すために、詩や小説や評論のたぐいを、大量に読み散らしていました。
しかし。
大学生になって独り暮らしを始め、念願のテレビを購入。
たまたま放映されていた某有名ロボットアニメを、何の気なしに見たら。
はまったーーー!!!
依存症のフラッシュバックみたいな激烈さで、のめり込んでしまいました。
隔離期間が長かっただけに、それはそれは激しい妄執でした。
妄執が度を過ぎた結果、アニメ感想ブログまで開設してしまったほど…。

「そして、アニメの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
 今でもまだ燃えています」
(宮澤賢治『よだかの星』より。ウソですww)

閑話休題。

高千穂勲が見せたのは、幻覚なのか、現実なのか?
想像の産物としては生々しすぎる。
市ノ瀬の「未来からの一言によって」が気になります。
「ターミネーター」のような、未来からのタイムリープも連想したのですが、ここはやはり、預言者の一言、と解釈すべきでしょうね。
葛が目撃したのは、ウラン濃縮施設。
現実の日本でも、原爆開発計画は、1940年代に始まっていました。
陸軍による二号計画(ウラン235の熱拡散による濃縮)。そして、海軍によるF計画(遠心分離による濃縮)。

石原莞爾の「最終戦論」にすごく興味をひかれましたが、たぶん多数のブロガーさんたちがコメントしていると思うので。
ここでは、勲が引用した、キプリングの「東は東」に食いついてみます。

ラドヤード・キプリング(1865-1936)は、英国の作家・詩人。
「ジャングル・ブック」は、私の、子どもの頃の愛読書でした。
狼に育てられた野性の少年、モーグリが、動物社会と人間社会のはざまで懊悩する物語。
どちらにも所属し切れないモーグリの苦悩に、当時、共感したのを覚えています。

高千穂勲の引用では、「東も西も国境も家系も育ちも血統もない」が強調されていて、まるで東西融和、人間平等起源論のような理想を具現化しているように聞こえたのですが。
原詩「東と西の物語」を確認したところ、そこまで壮大な内容は包含してないみたいです。
偉大な二人とは、盗賊カマールと、国境斥候隊の大佐の息子。
闘争を通じて、二人がついに理解し合うという内容の、叙事詩でした。
ナイトレイドでは、東と西の偉大な二人を、勲と葛に譬えていましたが。
どうやら、本来の詩の内容から、言葉が一人歩きしているらしい
そして、キプリング自身は、少年時代のインド体験による東への理解にもかかわらず、「白人の責務」という言葉にも見られるように、白人優位思想からついに脱することができなかったようです。
まあ、保守的なヴィクトリア朝の英国人として、無理もないのですが。

次回「闇の探索」

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2010年6月 1日 (火)

閃光のナイトレイド第9話感想

#9「新しい京」

棗は、吉蔵(きちぞう)だったんですねww

冗談はさておき。
高千穂勲の狙いは何か
物語も終盤に入り、ナイトレイド最大の謎と関心は、この一点に収斂されてきました。

奉天のティールームで、雪菜に見せた未来の映像。
10数年後に、ヒロシマ、そしてナガサキを襲った、あの悲惨な原爆の予知図で、間違いないでしょう。
高千穂は、泥沼の太平洋戦争を未然に防ごうとしているのか?歴史を、穏健な方向に修正しようとしているのか?
答えは、YESであり、同時にNOである。そう思います。
理由は、こうです。

「戦争はいかんでなあ」という、単純なメッセージだけではない、と私は考えています。
日本が辿った道が誤りだったとしても、欧米列強と極東の植民地との歪んだ関係は、正すことが可能だったのではないか?
高千穂の理想は、やはり、弱者たる東の国々の統一と共存にあるのではないか?
とはいえ、欧米に比較して、まだまだ軍事も経済も脆弱な東洋。
だからこその、核の抑止力ではないでしょうか。
現実にはまだ存在しない大量破壊兵器の幻像がもたらすイマージュ力を利用して、列強を「均衡」に持ち込もうと目論んでいるのでは?

そんな自由な想像をめぐらせながら、歴史のIFを楽しんでいます。
(フィリップ・ディックの名作SF『高い城の男』は、ナチスが勝利した世界を描きました。
ナイトレイドは、そこまでIFを突き詰めることはしないでしょうけれど、近い地点まで迫ってくれるのではないかと、ひそかに期待しています。)

あらためて問います。
高千穂勲の狙いは何か?

雪菜が、上海事変が7000人の死者を出した事を憂えたとき、いつも忠実な棗が、静かに言い返しました。
「日照りが続くだけで、人が死ぬ場所もあります」
貧しさから抜け出せるなら、銃を取ることも厭わない。そう断言する棗。
断片的な過去映像から窺えるのは、彼が貧農の出身らしい、ということです。
1932年当時の日本といえば、中央が国威発揚を掲げる一方で、地方の農村や都市のスラムでは、民衆はまだまだ貧困に喘いでいました。
繁栄と貧困との、典型的な二重構造。現在の北朝鮮や中国の一部と、かぶる部分もあったかも。
高千穂勲は、無謀なまでのテロ行為により、目的を果たそうとしています。
棗のような人々が、彼を支える思想的背景として、機能していたのかもしれません。
物言わぬ民衆の無言の支持を、彼はひしひしと背中に感じていたのではないでしょうか?

思い出すのは、宮澤賢治の、あまりにも有名な『雨ニモマケズ』。
1933年に没した彼の、遺稿として残されたこの詩には、次のようなくだりがあります。
「日照りのときは涙を流し、寒さの夏はおろおろ歩き」
日照りのために餓死する人々が、現実にいた。
賢治の詩は、当時の惨酷なレアリテを、ありのままに写し取っていたのです。
『現実』を知っている棗だからこそ、敬愛する雪菜に、あえて諫言したのかもしれません。

…ビールで微醺を帯びているくせに、結構マジメに考察している自分に驚いていますww
最後に、いつものエロい小ネタで帳尻を合わせますねって何の帳尻なんでしょうかwwwww

「あなたが覚えている幼い妹ではないのですよ?」
「おまえの××に傷をつけてしまうことになる。無理じいはしない」

Σ('∀`;)

お兄さまったら鬼・畜

次回「東は東」

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2010年5月25日 (火)

閃光のナイトレイド第8話感想

#8「凍土の国で」

先般のWORKINGにおいて、温泉回というふれ込みにもかかわらず、我々は山田やぽぷらの足湯姿しか見る事ができませんでした。
視聴者たちの切ないまでの期待は、無慙にも裏切られたのです。
ところが!
温泉回でもないのに、今回のナイトレイドでは、桜井をはじめ、葵や葛、棗たち男どものおヌードを、これでもかとばかり見せつけられた。
まったく、誰得?と叫びたいほどの恐るべき光景でした。

あ、忘れてた。
雪菜ちゃんも、控えめな艶姿を披露してくれたんでしたねww
ラムネのぶっかけとか、お色気担当を精一杯務めさせていただいてます、という姿が、初々しくてそそりました。
(ノ∀`)

えーと。
こんな変化球な感想を書いているのも、ナイトレイドのように、エピソードをじっくりと積み上げ、重厚に語っていくタイプの作品では、部分だけを切り取ってツッコミ入れるのが難しいからなのです。
フィクションとはいえ、現実の歴史に深く立脚しているため、空想の翼を無限に羽ばたかせるには、どうしても制約が付きまといます。
いくら『歴史を解釈し直すものではない』と宣言しても、傾向的な見方をされること自体は不可避です。
困難にあえて挑戦したスタッフの決意を賞賛すると同時に、物語として大きく飛翔できないもどかしさを感じるのも、やむを得ないのかもしれません。

高千穂勲は、リットン調査団を誘拐しました。
リットン卿たち欧米各国の要人が、満州国を調査に訪れたこと自体は現実にあった出来事ですが、誘拐事件は、もちろんフィクションです。
100万ドル以上の身代金を巻き上げ、組織のための資金を調達。
さらに、リットン卿たちに、1932年当時にはまだ例を見ない、半径500m以内の建造物を全て消滅させるという大量破壊兵器の威力を誇示してみせました。
高千穂の狙いは何か?
核の抑止力により、欧米に支配されている植民地の、世界同時解放?
「この画期的な破壊兵器が、自国にもたらす利益の意味に気づかないはずがない」という彼の読みは、後の、欧米やソ連、中国が先を争って行った核開発競争で実証されています。
彼の未来予知の深さは、怖ろしいほどです。

高千穂には、予知能力が備わっているんでしたっけ?
預言者と呼ばれる女性を利用して、歴史の誤謬を修正しようとしているのかもしれません。

リットン卿たちに原子爆弾の幻影?を見せたタクラマカン砂漠は、現実にも、原子爆弾に深く関わりのある土地です。
中国政府は、タクラマカン砂漠東端、新疆ウイグル自治区のロプノール湖を核実験場とし、1964年から1996年までに、45回に渉る核爆発実験を行っています。
この実験により、現地に居住するウイグル人の19万人が被爆の影響により死亡している、と指摘する学者もいるようです。

次回「新しい京」

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2010年5月18日 (火)

閃光のナイトレイド第7話感想

#7「事変」

いま、配信見ました
なるほど…。
何て直球な、満州事変秘話。
ナイトレイドの主人公たちは、誰も登場しません。淡々と、事変の裏話が語られるばかりです。
かろうじて、終り近くの、「預言者」こと日傘の少女の登場が、フィクションらしさを垣間見せただけ。
実に地味な、ノンフィクション戦記アニメとも見紛う、実直な仕上がりでした。

なぜ、この本編がストリーミング配信に回され、地上波が、総集編というか0話とのハイブリッドになったかといえば。
上海万博に遠慮したというより、「このまま放送しては商売にならない!」と上の人たちが判断したんでしょうね。

それにしても、すごいなスタッフ。
あまりにも重厚なコレを、軽佻浮薄ないまの時代に、地上波に乗せようとしたなんて。
まさに、アニメノチカラというべきか。
作中、何度か「決断」という台詞が使われていました。
思わず、タツノコプロの異色軍記ものアニメ「決断」を思い出しましたよ。
まあ、1971年制作ということで、さすがの私も断片的にしか知らない伝説的アニメなんですけど。

預言者の少女は、古来より、わが国の未来を左右する存在だった。
全てを明らかにせず、ただ行く末を指し示すのみ。
鎌倉幕府とか元寇の時代から、脈々と存在するらしいです。
安土桃山時代から存在した地獄少女を思わせますね。
「いっぺん、死んでみる?」www

次回「凍土の国で」

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2010年5月11日 (火)

閃光のナイトレイド第6話感想

#6「乱階の夜」

雪菜の兄、高千穂勲が本格登場!
その風格は、まさに、帝都物語の加藤保憲を彷彿させます。軍人萌えには嬉しいラスボスですね。

時代背景が理解しづらいという視聴者の要望に応えて?1931年当時の亜細亜情勢の説明回。
きっちりフォローするには、残念ながら、今日も酔いすぎてます。
機会があれば、あらためて考察するかも知れませんが、今日のところは、さわりだけ。

右翼の大立者の老人のモデルは、たぶん頭山満(とうやまみつる)。
愛国主義団体の草分けである「玄洋社」の総帥として、明治から昭和にかけて隠然たる影響力をほしいままにした、右翼の巨人です。
亜細亜主義を掲げて、中国の孫文や蒋介石、インドのボース(中村屋のカリーライス伝授者として有名)、ベトナムのファン・ボイ・チャウなど、亜細亜各国の独立運動家を支援したことでも知られています。

高千穂は、そんな老人の、気に入られたようですね。
彼が説くのは、独立運動家たちにすら理解不能な、遠い理想郷。
日本を担いだ亜細亜主義に捉われず、全てを平等なものとして内包する国体、らしいのですが。
葵にわざと会合を目撃させて、仲間にならないか?と誘ったところから推察すると。
能力者など優れた人類をリーダーとした、少数の選良による貴顕政治?
この辺の考察については、政治学とか歴史学が得手な方に譲りたいと思います。いまは、ほろ酔いでアタマがついていきませんww

とはいえ、アニメ好きとして見たいのは、能力者同士の手に汗握る戦闘です。
久世のテレポートは、葛のように回数制限がない代りに、移動位置に制限がある。
葛と棗との共闘により、それを見破るという趣向自体はおもしろいのですが、効果が単発に終っています。
やはり、レールガンやハガレンみたいな、二段構え、三段構えのタメが欲しいところです。
そして、能力と制約という発想自体はイイのですが、もう一つ踏み込んだ工夫が見たい。
HUNTER×HUNTERのような、すぐれた先達があるのだから。

次回。地上波とネット配信の二本立てらしい。
上海万博に配慮したんでしょうか?
それとも、逆に、ネット配信により、中国の方たちにもアピールしたいとか?それはすごいww

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2010年5月 4日 (火)

閃光のナイトレイド第5話感想

#5「夏の陰画」

葛の過去にふれるエピソードでした。
ここでも、「傷」という象徴手法が使われていましたね。
ソラノヲトから続く、映像表現へのこだわりも、強く感じられました。並木道に落ちる影の美しさとか。
まさに「夏の陰画」にふさわしい話数でした。

葵が撮影した写真に、偶然写っていた葛の旧友、西尾。
ひたすら、友の行方を追う葛。
浮かび上がってきたのは、共産主義を信じ、共産党の間諜として、国民党と戦う西尾の姿。
何故そこまで西尾にこだわるのか、はっきりとは描かれないのですが。
風蘭が、葛の足の傷に気づきました。
「子どもの頃、割れた竹を踏んだ。遊んでいたときにな。友人と」
友人とは、西尾だったんですね。

愛玲(アイリン)と西尾を結びつけていたのも、傷でした。
事故で、体に大きな傷を負った彼女。
そのとき、西尾は同じ傷をつけたのだと。
傷を共有するのが、愛の証明?

取引現場での、つかのまの邂逅。一瞬すれ違って、再び離れていく葛と西尾。

結末は、暗殺者によってもたらされた、唐突な死でした。
もんどりうって窓から落下し、地面に横たわって血を流す西尾。降りそそぐ雨飛沫。
足のクローズアップ。
そこには、葛と同じ傷が…。

最後の最後で、二人の友情と傷の謎が明かされる手法は、名画『市民ケーン』の「薔薇のつぼみ」を思わせます。
うーん、さりげなさ過ぎますねえ。
もっと強調してもよかったかも。

唐突で不条理な死、という手法も、映画には多く例があります。
アメリカン・ニューシネマに顕著でしたね。
イージー・ライダー』(バイクで大陸横断旅行中の二人の若者が、農民のショットガンで吹っ飛ばされる)
俺たちに明日はない』(夫婦のギャングが、無数の弾丸を浴びて斃れる)
明日に向って撃て!』(二人のガンマンが、包囲する騎兵隊の前に飛び出して、一斉射撃を受ける)
あと『センチュリアン』という警官映画も印象に残ってます。正義感に溢れる主人公の警官が、夫婦喧嘩の仲裁に入って、夫の方に拳銃で撃たれて死ぬという、不条理で無意味な死。
70年代以降の邦画も、これらの影響を受けた作品が多いので、結構使われていると思います。

えっと、ただの引用遊びなので、興味のない方は読み飛ばしてくださいねww

ブロガーさんたちの記事を読むのが、ちょっと怖い。かなり否定的に書かれていそうで。
それとも、否定される前に、切られちゃうかな?
アニメノチカラ枠には、頑張ってほしいのだけれど。

愛玲は、遠藤綾さんでした。フィリシアさんとか馬超とかシェリル・ノームとか♪

次回「乱階前夜」

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2010年4月27日 (火)

閃光のナイトレイド第4話感想

#4「カメラと包子(パオズ)と野良猫と」

事件といえば、重要フィルム?を入れたポーチを、何者かに持ち去られたこと。
ジャーマンレストラン(ウェイターがドイツ語なので)テラスでティータイムしているうちに、気がついたら足元から消えていた。

息抜き回ですね。
雪菜が見抜いているように、性格が水と油ほども違う葵と葛は、実はいいコンビだという事。
同時に、上海の闇社会を垣間見せた、というところでしょうか。

能力者が二人がかりで、猫も捕捉できないとは。
猫ラブな棗の証言がなかったら、どうなっていたか。心もとない話です。やれやれだぜ
真の芸術家は、料理写真を撮るにも全力をつくす!らしいww
大皿に!(葵)とか、量を知らすために小皿に分けて!(葛)とかリクエストが細かい。
葵と葛の、性格の違いが如実に表れています。

風蘭が騒ぎまくってましたね。
ちっちゃくてカワイイけど、キャラ立ちはもう一つかな。
物語の本筋に関わってくるのか来ないのか。貴重な女子成分なので、上手く生かしてほしい。
次々と運ばれる中華料理が、豪華でした~。

東京や大阪で流行り始めた食品見本が、上海にも。
旭日屋食堂。いかにもな屋号ですが、食品サンプル、確かに美味しそうです。カレーもオムライスも本物そっくりです。
我がニッポンの技術はァァァァァァァァアアア!世界一ィィィイイイイ!
(ノ∀`)

次回「夏の陰画」

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