ソ・ラ・ノ・ヲ・ト第12話(最終話)感想
#12「蒼穹ニ響ケ」
オリジナル作品でアニメノチカラを示すという、高邁な理想を掲げて始まった『ソラノヲト』。
後続の作品のためにも、玉砕とかコケるとかは許されません。
手堅くまとめてくれてよかった!というのが、最終話を視聴し終わっての、率直な感想です。
次回作『閃光のナイトレイド』も、充分期待できそうです。
タケミカヅチが出動。
カナタのアメイジング・グレイスが響き渡り、停戦を促す。
危機一髪でリオが駆けつけ、救国の乙女として存在感を示す。
全て予想の範疇でした。と記すブログさんが多いだろうことは想定内。
物語の伏線自体が、かなりあからさまに手の内を明かしていたので、それも当然かと。
予想外だったのは、ヘルベチア側にホプキンスという好戦的な軍人を配して、メフィストフェレスの役割を振ったことでしょうか。
ローマは、決して好戦的な国ではなかったのですね。
特に、印象に残った台詞を列記します。
見えない死神を復活させてしまった、と自らを責め苛むノエルに。
ユミナ「そう思うなら、奪った以上の命を救ってください、ノエルさん」
重いですね。戦争における贖罪の道とは、それしかないのかも。
ホプキンス「戦争こそが、文明と科学を推し進める。私は取り戻したいんだよ、かつての人類の栄光を」
戦争が、文明や科学を爆発的に進化させる。ホプキンスの思想的背景が透けて見えました。
こういう考え方をする科学者や軍人が、悲しいことに、現実にも後を断ちません。
でも、終末に向かっているというソラヲト世界で、何の意味があるのでしょうか?
世界は終ってしまった、という台詞もありました。
だとすると、この停戦は、ひとときの凪にしか過ぎないのか?
エントロピーの極大化=世界の熱死状態は、粛々と進行しているのでしょうか?
その辺りは、わざと伏せられていましたね。
あと、スタッフ自身の自己評価も聞いてみたい気がします。
手堅いということは、一歩間違うと、平均的の同義にもなるので…。
作家の村上春樹の言葉ですが。
『どこか一点、突出したものさえあれば、作品全体のレベルを引き上げることが可能になる。
平均的な作品は、それ以上、手の施しようがない』
タイトルが似ているため、冗談で引き合いにも出した『そらのおとしもの』。
一点突破的な作品の、典型だと思います。だからこそ、強烈なインパクトを視聴者に与えることに成功した、とも言えます。
ソラヲトは、確実な作画描写と、何よりも内容が良心的。
そらのおとは、ただのおぱんつアニメ、悪ふざけ。そんな声も聞こえてきそうです。
ごもっとも、と思いつつ、心のどこかで、いわゆる良心的なるものに反発したがる天邪鬼な自分がいます。
エセ関西弁でいうと、こんな感じ。
ハチャメチャでええやないか!ちんまりまとまらんで、ガツンといったれや!
まあ、二兎を追う者は一兎をも得ず。ないものねだりをしても仕方ないのですけどね。
世界観の大きさと伏線の多さは、第2期や劇場版をも視野に入れたのかもしれません。
傷ついた天使を庇い、溢れ出る血を止めようとした炎の乙女たち。首を切り落とされて、谷底に封印された天使の化石。
この寓話の意味も、十全に説明されたとは言いがたいのです。
終り数話で物語が緊迫したものの、高い技術に支えられた癒し作品として、ずっと楽しませてもらいました。
個人的には、クレハがよく動いていて、好きでした。
リオ不在の状況で、ともすれば迷走しそうなカナタやノエルを護ろうと、一人気を張っている姿が健気。
フィリシアさんも好きだなあ。良いおっぱい眼鏡、っちゃ失礼ですけどww
ノエルも良い無口さんでしたが、終盤、パニクり過ぎみたいに見えてしまいました。
アカデミーの天才だった過去をもっと掘り下げれば、さらに感情移入できたかも。
ともあれ、オリジナルの良作に感謝です。
スタッフの皆さん、お疲れさま!
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