« 2018冬期アニメ随感 木曜の深夜(10) | トップページ | 2018冬期アニメ随感 木曜の深夜(11) »

2018年3月22日 (木)

ヴァイオレット・エヴァーガーデン第11話

武器よさらば」は、ついに叶わぬ夢だったのか?

故郷へ手紙を送りたい。そんな一兵卒の願いを叶えようと戦場へ赴いたヴァイオレットを待っていたのは、無慈悲な現実でした。
戦場における自分は、未だ「ライデンシャフトリヒの少女兵」。畏怖されるべき殺戮人形。
背を向けた筈の戦場は、決して彼女を忘れてはいなかったのです。

今回、「手紙」の扱われ方が気になりました。

「息子を返してくれて、ありがとう」
「いいえ、いいえ、いいえ。護ってあげられなくて、ごめんなさい。死なせてしまって、ごめんなさい」
エイダンの母親が息子からの手紙を読み、涙を流しつつヴァイオレットに感謝する。これまでの流れで云えば、ここでテーマは完結したはず。
ところが今回、ヴァイオレットは自らの行動を否定しました。護ってあげられなくてごめんなさい、と。
このとき、彼女の脳裡に去来していたのは、おそらくは少佐の面影。護れなかったゆえの忸時な想いが、深い後悔の言葉を云わせたのでしょう。それは想像に難くありません。
しかしながら、彼女の言葉を字義通り受け取るなら、「手紙では人を救うことはできない」という事になります。これまで積み上げてきたテーマの全否定にも繋がりかねません。
これは一体どういうことなのか。

全否定ではなく、一つの「楔(くさび)」なのかもしれません。綺麗すぎる物語に打ち込んだ、脚本側の戒めの楔。いわば自己批判。
いったん手紙の無力を謳っておいて、物語をさらなる高みへと止揚させるための「揺り戻し」の技法?
ロラン・バルトが頻回に使った「前言取り消し(パリノード)」のメタ手法?
そう解釈したいところです。

ともあれ、ひとたび疑問を抱いてしまったヴァイオレットは、今後どうするのか。どう生きていくのか。
少佐を護れなかった悔いを払拭するため、再び戦場に戻り、敵兵を殺戮するのか?
第7話において「私は誰かの、いつかきっと、を奪ったのではないですか」という苦悩を表明した彼女ですから、そんな行動は矛盾であり、何の解決にもなりません。

残りは2話分。どう纏めるのか。
もう、誰も死なせたくない
ヴァイオレットの平和への祈りは、どのように具現化され、どのように昇華されるのでしょう。
これまでの流れに準拠するならば。
戦場の兵士たち一人一人に家族の手紙を届ける?
ヴァンダル社の航空機の手を借りて、平和へのメッセージを込めた手紙を戦場に撒き、戦争終結を促す?

物語の着地点が気になる処です。



映像について
Aパートは、暗い色調に終始。戦場という非日常を重く描くことに、ひたすら注力していました。
「脆弱だな」
「穏健派は腰抜け揃いだからな」
エイダンたちを襲撃したのは、敵兵ではなく武闘派の兵士たち。つまり内戦だと示唆しているのも、悲惨さを煽っています。
「死にたくない」「置いていかないで」「俺は帰るんだ」
少年兵エールの死から、這いずり廻って生き延びようとするも、狙撃されてしまうエイダン。
絶望へと叩き落とされた彼の末期の眼に映じたのは、大天使のように舞い降りてくるヴァイオレットの姿でした。
この辺りの映像は、重苦しいエピソードにおいて、一掬のカタルシスと成り得ています。
至近距離から浴びせられた弾丸の雨をことごとく避けてみせたのは、アニメならではのご愛嬌ということで。

余談ですが、マリアさんの豊満過ぎるお胸が気になって仕方ありませんでした。
物語のトーンからいって、視聴者サービスしている場合じゃないと思うのですが、これは何なのだろう。
エイダンがあれほど帰りたがった故郷の象徴、母性的なるものの映像表現だと思いたいのですが、制作側の意図や如何w

|

« 2018冬期アニメ随感 木曜の深夜(10) | トップページ | 2018冬期アニメ随感 木曜の深夜(11) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/103873/66525543

この記事へのトラックバック一覧です: ヴァイオレット・エヴァーガーデン第11話:

» ヴァイオレット・エヴァーガーデン TokyoMX(3/21)#11 [ぬるーくまったりと 3rd]
第11話 もう、誰も死なせたくないカトレアとホッジンズが依頼を確認して仕事を割り振っていた。戦場からの依頼は多いが危険なので全て断ってきた。うちのドールは誰も戦場には向かわせない。クトリガル国メナス基地からの依頼も存在した。かつての敵国で、戦争を継続したい者たちの仕業で内戦が勃発中。仕事終わりのヴァイオレットが偶然にも聞いてしまった。翌朝、依頼のハガキを持って勝手に向...... [続きを読む]

受信: 2018年3月22日 (木) 15時04分

» ヴァイオレット・エヴァーガーデン【第11話 もう、誰も死なせたくない】感想 [だいたいこんな感じで -アニメ感想日記-]
☆第11話 もう、誰も死なせたくない  クラウディアとカトレアが依頼の内容を検討しているのを立ち聞きしてしまったヴァイオレット。依頼主がいるのは内戦の最前線で、クラウディアは自社のドールを戦地に送るわけにはいかないと言う。でも、そんな最前線にいる兵士だから…... [続きを読む]

受信: 2018年3月22日 (木) 16時44分

» 白い息と赤い血の生む涙――「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」11話感想 [Wisp-Blog]
 エイダンが浅沼晋太郎なのに全く気付かかった…… [続きを読む]

受信: 2018年3月22日 (木) 17時46分

» ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第11話 [ぷち丸くんの日常日記]
ホッジンズ(CV:子安武人)の郵便社に、ドールの仕事の依頼がやって来て、カトレア(CV:遠藤綾)と仕事を振り分けていました。 その中に、北部のメナス基地からの依頼があり、未だ内戦中の国にドールを派遣する訳にはいかないので、依頼は断ろうと言う話になっていました。 その話を立ち聞きしていたヴァイオレット(CV:石川由依)が一人で仕事の依頼を引き受けてしまいます。 しかし、メナス...... [続きを読む]

受信: 2018年3月22日 (木) 19時06分

» ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第11話 「もう、誰も死なせたくない」 [夢幻の灰色帝国]
クトリガル国メナス基地からドールの依頼があるが ホッジンズさんは危ないからと断るつもりでした ヴァイオレット危険な依頼を受けてしまうつもり? 恋人の写真を眺めるエイダン、彼がドールの依頼人みたいよ ... [続きを読む]

受信: 2018年3月22日 (木) 22時12分

» ヴァイオレット・エヴァーガーデン #11 「もう、誰も死なせたくない」 [ゆる本 blog]
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の第11話。 ドールの依頼、しかしそれは内戦真っ只中の基地の中からということで 危険すぎると受け付けない事にするクラウディア。 しかしその依頼書がなくなり姿を消したヴァイオレット、海路、陸路と渡り 最後に郵便屋を訪れて自分を送って欲しいと依頼する。 受付が困惑していると親方が現れて話を聞くことに。 しかし道は完全封鎖されているいわば陸の孤島...... [続きを読む]

受信: 2018年3月23日 (金) 02時04分

» ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第11話「もう、誰も死なせたくない」 [いま、お茶いれますね]
第11話「もう、誰も死なせたくない」 ドールとして人の想いに触れ、感情を知ったヴァイオレットは戦場をどう感じたんだろうか? [続きを読む]

受信: 2018年3月23日 (金) 12時22分

» ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第11話 「もう、誰も死なせたくない」 感想 [キラシナのアニメ・ゲーム時々教育の百戦錬磨日記]
プライベートヴァイオレット・エヴァーガーデン [続きを読む]

受信: 2018年3月23日 (金) 20時47分

» ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第11話 『もう、誰も死なせたくない』 マリアの胸が凄過ぎて。 [こいさんの放送中アニメの感想]
今度の出張先は戦場!ある意味ヴァイオレットにうってつけ。実はホッジンズは断ろうとしたのですが、ヴァイオレット勝手に行っちゃった。問題はかつての敵に遭遇したりしないかってことです。恨まれて襲撃されそう。 戦争が終わったら、内乱が始まるだけさ。誰が言ったのか忘れましたが、そんな状態の国にヴァイオレットが向かいます。パッと見まるで戦場に似つかわしくない今のヴァイオレット。かつて戦場を駆け回っていたなんて誰も思わないでしょうね。多分プロ意識の強い女性だと感心しているんでしょう。 依頼人が絶賛襲われ中。狙撃... [続きを読む]

受信: 2018年3月23日 (金) 21時16分

» 第11話「もう、誰も死なせたくない」 [Old Dancer's BLOG]
 ……………………………ヴァイオレット・エヴァーガーデンの第11話を鑑賞しました。  ……………………………いいえ。  ……………………………いいえ、いいえ。  …いいえ。私は……………私は……………... [続きを読む]

受信: 2018年3月23日 (金) 22時53分

» 遅過ぎた手紙 [マイ・シークレット・ガーデン FC2]
気温の下がったり上がったりが・・++; 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』 第11話 「もう、誰も死なせたくない」 夜遅く? ヴァイオレットが会社に戻るとクラウディアとカトレアの会話が聞こえてきました。 元敵国からも依頼が届いているとのこと。 せっかく戦争が終わったのに内戦状態の、しかも最前線基地から。 社長としてはそんな危険な場所に社員を送るわけにはいかないと断...... [続きを読む]

受信: 2018年3月24日 (土) 01時51分

» ヴァイオレットエヴァーガーデン第11話 戦死を告げる手紙 [アニメとマンガの感想と考察]
ヴァイオレットエヴァーガーデン第11話は、ライデンの敵国クトリガルからの代筆依頼だった。 て事は、代筆屋ってまだライデンにしかないんですかね。 当たり前に世界に普及してるのなら、 わざわざ敵国の代筆屋に依頼せず、 自国の代筆屋に依頼すればいいので。 ところで、第11話の感想を書いた覚えがめちゃめちゃあるんだけど、投稿されてないと気付いた。 下書きのテキストファイルを探しても見つからなかった。 なので、また書き直した……。 初見の感想とは違ってる。 敵国のメナス基地からの依頼があった。 ホッジンズとカ... [続きを読む]

受信: 2018年3月31日 (土) 14時41分

« 2018冬期アニメ随感 木曜の深夜(10) | トップページ | 2018冬期アニメ随感 木曜の深夜(11) »