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2018年2月17日 (土)

ヴァイオレット・エヴァーガーデン第6話

書を捨てよ、町へ出よう(寺山修司)
青年は荒野をめざす
(五木寛之)

観終わってすぐ、そんなメッセージが脳裡に浮かびました。
前者は、書を通じた知の獲得よりも、積極的に町へ飛び出して「世間」という巨大な書物から学ぼうという行動主義を慫慂したもの。
後者は、大学進学を捨てて世界へ雄飛し、人生を学ぶという冒険を撰んだ青年の物語です。
今回の愛すべきエピソード、ヴァイオレットとリオンとの一期一会の邂逅を表すのにふさわしいメッセージと感じました。

シャヘル天文台写本課のリオンは、美少女と見紛うばかりの長髪の若者です。いや実際、チラ見したときはヴァイオレットちゃんと美少女との絡みのお話かとカン違いしました。
リオン君、挙措は狷介孤高なくせにちょっとかなりマザコン気味なのが、またそそりますなw
旅芸人の母と、文献蒐集家の父。文献蒐集のために大陸へ出奔した父親を追って、母親も当てのない旅に出てしまうという、何とも空想的な設定です。
命を落とすかもしれないとか、文献蒐集ってそれほど危険きわまる冒険だったのか。まるでHUNTER×HUNTERの世界ですね。

映像について。
ロープウェイでしか到達できない山巓の、閉ざされたシャヘル天文台の描写を積み重ね、リオンの告白を経て、一転、光芒を引いて流れる彗星と、空を覆いつくすほど雄大で美しいオーロラの描写へ、一気に視界が開ける。
静から動へ。感動のクライマックスへと誘う視点の動きが巧みでした。

「彗星だ!おれたちはもう、二度とあれに出逢うことはできない。人生でたった一度きりの出逢いなんだ!」

ただひとときの
そんな言葉も脳裡をよぎりました。
触れれば崩れてしまう古書も、200年周期でしか地球を訪れないアリー彗星も、二人の出逢いも、全てが一期一会。
ただひとときの、唯一無二の出逢いを通じて、リオンは、母親が父を連れて帰ってくるのを待ち続けるという消極的な生を脱却し、大陸へ飛び出して文献探しの冒険の旅をするという積極的な生を選択することができました。
彼は、町へ出て荒野をめざすのですね。

どこかの星空の下で。珠玉のエピソードでした。

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