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2018年2月11日 (日)

ヴァイオレット・エヴァーガーデン第5話

プリンセスの恋

可憐愛すべきお伽噺、メルヘンのような恋の顛末に、うっとりです。
シャルロッテの「愛してる」は、ダミアン王子に届きました!
届かなかったアイリスの「愛してる」に対比させ、しっかり届いた姫さまの想いを丁寧に描破したエピソード。まさに、止揚の物語です。
もちろん、恋が成就したのは、ヴァイオレットの美麗な文に満足せず、姫さまが自分の言葉で手紙を書き続けたのが功を奏した結果。「わが胸の底のここには」じゃないけれど、赤心から迸り出た言葉こそが、人の心を掴むのですね。
テーマに篤実に沿ったエピソードです。制作側の意図は、よく伝わってきます。

さて。
5話まで感想を書き続けてきて、何だか自分がヴァイオレット教の敬虔な信者のように思えてきたのですが、まあ実際そうなのですが(笑)、盲目的に信奉しているわけじゃないという証左として、あえて異を立ててみます。一種の思考実験です。

映像詩を描かせれば京アニはほぼ無敵なのですが、リアルな物語を追求しようとすると、微妙に齟齬が発生することがあります。
例えば「たまこまーけっと」のあの奇妙な鳥。商店街の回生という現実的な物語と、鳥をめぐるお伽噺めいた要素とが上手く溶け合わず、隔靴掻痒感がありました。
今回のエピソードの中心を為す「公開恋文」という設定は、空想的に見えて、王侯貴族の恋物語の伝統をきちんと押えています。
男女の手紙のやりとり自体が、恋の神髄。「源氏物語」など平安時代の物語を読むと、手紙のやりとりが実に頻回に行われており、当時の貴顕貴族の雅な恋のたくみの実相がよく伝わってきます。
ただそれでも、ふつうの男女でなく、やんごとなき王族の恋をメインに据えたために、何処かお伽噺っぽさが纏綿してしまうのです。
シャルロッテの幸福過ぎる恋の物語に対比させられたアイリスちゃんが可哀想、とまで思ってしまいました。
もし仮に、シャルロッテのお相手がエイモンのようないけずなら、どうだったでしょう?
「ごめん。通りすがりの泣き虫お姫さまにしか思えない」と、完全玉砕していたかもしれません。
相手が、闊達自由な性格のダミアン王子だからこそ、ストレートな手紙の真実が伝わった。そうも云えます。
事ほどさように、男女の出逢いと恋の行方は、玄妙にして一期一会なのです。
思考実験のつもりが、アイリスちゃん擁護の恨み節みたいになってしまいましたねw

代理について。
実の母のように自分を取り上げ、育ててくれたアルベルタ。
彼女は、ほぼ姿を見せない王妃の代理ですが、シャルロッテをして「少なくとも、わたしはおまえのものよ!」と叫ばしめるほど、大事な大事な存在でした。
代理も代筆も、いわば「贋物」なのに、人の心を深く搏つ。不思議な自家撞着の世界です。
「Fate stay night」において、衛宮士郎が英雄王に叩きつけた痛快極まる「まがい物が本物に勝てないなんて道理はない!」を想い出しました。

姫と王子との式当日、船でドロッセルを離れるカトレアさんとヴァイオレット。
「よい結婚日和です」
おお、ヴァイオレットちゃんの透明な笑顔が!こんな美しい笑顔は初めてかも。

視聴者をホッとさせたのも束の間。港で待っていたのは、憎悪のまなざしを向ける一人の男でした。
「ディートフリート・ブーゲンビリア…」
「手紙か。多くの命を奪ったその手で、人を結ぶ手紙を書くのか?」
ブーゲンビリア海軍大佐。第2話で登場し、ヴァイオレットをギルベルト少佐に託した、ブーゲンビリア家の長男ですね。
戦場という桎梏は、未だヴァイオレットを解放してくれてはいなかったのです。

ギルベルトとディートフリートの容貌や髪型が似ています。顔の傷や、眼つきの悪さで見分けがつくレベル。兄弟だから似ているのはあたりまえっちゃあたりまえなのですが。
ディートフリートは孤児のヴァイオレットを最初に見出した人物でもあるし、この二重像(ダブルイメージ)には深い意味があるのかな
巧みな引きですね。次回が気になります。

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