ヴァイオレット・エヴァーガーデン第4話
愛してる、が届かない。
優しい嘘と、残酷な真実と。
花の名。名に込められた思い。
観終わってすぐ、心に去来した偶感です。検証してみます。
優しい嘘。
アイリスは、故郷の両親に見栄(みえ)からの嘘をついていました。でも、両親は、彼女の可愛らしい嘘をとっくに見抜いていたのです。
「そのために呼び戻したの?嘘までついて!」
「…あなただって嘘ついてるでしょ!ライデン一のドールだなんて!」
優しい嘘が、あわや綻びかけた瞬間。
でも、心がしっかり繋がっていたアイリスと両親は、手紙を介して無事に和解できたのです。
アイリスの嘘はもちろん見栄ですが、同時に、両親を心配させたくない気持ちの顕れ。
わたし頑張ってるから安心して。それは、永遠の子供心です。
両親も、本当は気づいているにもかかわらず、娘の嘘に付き合っていました。
これを、ただの虚偽と切って捨てることはたやすい。でも、優しい嘘が人の心を救うことだってあるのです。
残酷な真実。
エイモン。アイリスを振った男。
「振られた、とは、言い寄ったけど拒絶された。好意を示したけど撥ねつけられた」
あまりにも的を射すぎた読解です。的確すぎて、ぐうの音も出ません。抉りますねえヴァイオレットちゃんw
やめてあげて!アイリスちゃんのライフはもうゼロよ!(笑)
「ごめん。幼馴染としか思えない」
決死の「愛してる」に対して、エイモンのそっけない拒絶。
岸辺露伴の「だが、断る」よりキツイです。アイリスが「もう、消えたくなっちゃった」って嘆くのも分ります。
残酷な真実は、ときに人を傷つける。それも、取り返しのつかないほどに。
届かない「愛してる」に、ヴァイオレットは衝撃を受けました。少佐の気持ちに思い至ったからです。
愛してるを探す旅が、一歩前進した瞬間でした。
真実にまつわるもう一つのエピソード。ヴァイオレットの義手に素朴な反応を示す子供たち。
「きれい!」
「チタン?」
大人たちは、ヴァイオレットの義手に「戦争の惨禍」を看てしまいます。だから、驚いたり気を遣ったりします。
でも、子供は直感で真実を云い当てる力をもっています。「きれい」は、あるいは真実なのかもしれません。
名前について。
父親がくれたアイリスの花束と、車窓に拡がるいちめんの花畑。
アイリスは、ふと呟きます。
この花が満開の時に生まれた。だから、両親はわたしにこの名をつけた。
「私が名前をつけていいか」
ギルベルト少佐は、名を持たない孤児の少女に名前を与えました。
「…ヴァイオレットだ。成長すれば、きみはきっとその名にふさわしい女性になる」
新生ヴァイオレットの誕生です。
孤独な少女と戦争で心を病んだ男の愛と悲劇とを描いた、永遠のオールタイムベスト映画「シベールの日曜日」。その、感動的なラストシーンを想起しました。
ただ一人彼女が心を許して、自分の本当の名を告げた男。その死を知ったシベールの悲痛な叫びが、心を打ちます。
「わたしにはもう名前なんてないの、わたしは誰でもなくなっちゃったのよ!」
さらに特筆すべきは、水にまつわる映像演出。
水たまり。初めと終わりで、アイリスが足を突っ込んでしまう、駅前の泥濘。
終わりのシーンでは、雨上がりとともに水たまりは小さくなっているように見て取れるので、これもアイリスの心の復権を象徴しているのかもしれません。
「あの子に何かあったの?」
傷心のアイリスが駆け去り、茫然とする母親。
このとき、水田に蕭条とふる雨の映像が重なります。アイリスの、そして両親の心の風景を表象しています。
水の演出で名高いのが、映画監督タルコフスキー。彼の芸術映画。
「惑星ソラリス」「ストーカー」などに描かれた水の映像は、もはや象徴の高みへと昇りつめています。
京アニ演出も、塁を摩する巧みさまで迫っています。あとは、象徴の高みにまで昇華できるかどうか。期待が高まります。
多事都合により短評にするつもりが、結構な長文になりました。
やはり、京アニ作品は人をして語らしめるものを持っていますね。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
Doxycycline Next Day Delivery online pharmacy Viagra Y Presion Alta Dosificacion Kamagra Viagra Effetti Benefici
投稿: AryOsteok | 2018年2月 8日 (木) 21時22分
美しく咲いておくれよと https://hasilbertapa.net
投稿: Hasilbertapa | 2018年8月 1日 (水) 02時29分
Ukuraning tresno, dudu bodo, nanging lungiting asmoro http://nggrandong.xyz/
投稿: nggrandong | 2019年2月 7日 (木) 21時41分