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2017年12月16日 (土)

キノの旅第11話

なるほど!キノはこうして「誕生」したんですね!

「紅い海の真ん中でa・b」
「大人の国」

紅い花で溢れた野に、伸び伸びと横になっているキノとエルメス。
aは現在、bは過去。画面を埋めつくす真紅が、時を超えて照応し響き合う構成が象徴的でした。

この物語には先代のキノがいて、大人の国で殺害されたのか。
それも、少女(キノ)を大人の暴力から護ろうとして、刺されて死んだ。
そんな因縁があったとは…。

少女と先代キノとの出逢いは、偶然でした。
宿屋の娘である少女は、旅の若者に興味津々です。
『仕事は何をしてるの?』
少女の素朴な問いかけに、若者は、旅をしてるよと答えます。旅をしてると楽しいことの方が多いから、とも。
少女は云います。
「仕事はイヤなもの。楽しいのなら、それは仕事じゃない」
大人たちの受け売りでしょうが、怜悧な口の利きようは、後年のキノを髣髴させます。
ナマイキともいうけれどw
手術を受ける前からこれほど洗脳されていたら、危ないところでしたね。

この国では、子供はすべて12歳になると、イヤな仕事に適応できるよう、脳手術を施す決まり。
ロボトミー手術ってヤツか。いくら国の事情とはいえ、とんでもない話です。
長居は無用と、早々に退去を決めた先代だったのですが。
「門を出るまで安全を保障します。ここは大人の国ですから」
しかし、先代キノが振り向くと、父親が包丁を構えていた!
「そこの娘を処分するためですよ。子供は大人の所有物です。失敗作を処分する当然の権利があります」
大人の国って、ヤバ過ぎる大人の国でもあったのです。

先代キノは優しかった。そして弱かった。
少女を庇おうとして身を挺し、凶刃に斃れて、敢えない最期を遂げる。
そんな不条理きわまる惨劇を、眼の前で視てしまった少女キノ。

強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない
レイモンド・チャンドラーの名作「ロング・グッドバイ」における、探偵フィリップ・マーロウの至言を、ゆくりなくも想起しました。
少女の心には、若者の優しさとともに、「強くなければ生きていけない」現実の過酷さが、深く刻まれたはず。
だからこそ、外へ飛び出した彼女は、師匠に附いて射撃などの技術を学び、自分を護るすべを身に着けたのでしょう。

「これから、どうするの」
「いつかと同じさ。何処かへ行こう」
「そうだね」
先代の自由な精神を受け継ぎ、しかも生きる強さも身に着けた、いわば進化形の「旅人キノ」が、ここに誕生したのです。

ラスト、紅い曠野に流れるキノの歌が、レクイエムのように聴こえました。
恩人である旅人への、そして、弱い少女だった自分への鎮魂歌として。

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