魔法使いの嫁第8話
日曜出勤から帰宅。明日も仕事なので、急ぎ、感想を記します。
今回、あらためて感じたのは、本作が平衡感覚にすぐれているアニメだということです。
破調を予感させつつ破局には至らない。ぎりぎりの地点で戻ろうとする力が働く。生物学でいえば、ホメオスタシス(恒常性)ですね。
エリアスが魔獣と化し、チセは理を捻じ曲げようとして、互いに危うく踏みとどまった。
魔術師カルタフィルスは、不老不死という「呪い」をかけられ、既に自分の行動原理を喪失している「狂える遊星」のような危険な存在。でも、今回は何故か身を引いた。
そして、魔犬のユリシィことルツは、愛するイザベルと訣別したのち、チセに誘われて共に生きることを決意。
「あなたの帰る処が、私の帰る処だ」
象徴的な台詞でした。
「まほよめ」においては、例えばイザベルの無慙な姿で視聴者を慄然とさせても、すぐに救いが訪れる。予定調和のように帰る場所が用意されている。
つまりは、優しい物語なのですね。
でも、せっかく破調を演出するのであれば、いちどは突き抜けてみてほしい。生半可な救いも及ばない地点にまで、いったんは視聴者を連れて行ってほしい。
それでこそ、「浄化」の美しさがいっそう際立つ。輝きを見せる。それが対比の効果、それがドラマだと思うのです。
名作「鋼の錬金術師」には、それがありました。
チセが、破格の魔法力の片鱗を見せました。この力は、彼女にとって諸刃の剣。チセを活かしもすれば、滅ぼしもするでしょう。
一方的に護られる側だったチセが、強大な能力を発動させることにより、主体的に生きる道を見出しかけている?
保護者を以て任じていた魔法使いエリアスは、スレイベガの彼女を何処まで護り切れるのか?
そもそも、二人の関係性はどうあるべきなのか?
物語の着地点を、ぜひ見届けたいと思います。
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