少女終末旅行第7話
チト「何も食べなくても生きていけたらな」
ユーリ「そんなの生きてるとは云わないぜ」
何という生の哲学!
ディルタイやベルグソンも刮目しそうな、ユーリの簡明かつ深遠なマニフェストです。
今回は、探して見つけて調理のみ。他には何の要素もありません。これで一篇を構成しちゃうんだからすごいです。
もはや、ミニマリズムの極北といえますな。
イシイが教えてくれた食糧生産施設に向かって、一路進む二人の少女。
工場内は暗く、迷路さながら。当然のように迷ってしまいます。
迷っちゃったよと嘆くチトに、ユーリは禅問答のような公理で返します。
「わたしたち、いつも迷ってるようなもんだし」
「いつもとは、ちがう」
「ああ、めちゃめちゃ迷ってる!」
めちゃめちゃいただきましたあ!
先ほどチトが捲き込まれかけた巨大機械は、食糧を粉みじんに砕くための粉砕マシーンでした。
「さっきの機械…」
「ちーちゃんも粉になるところだったね」
チト食糧ってかw
サラッと言い放つユーが怖ろしすぎてw
労働者が、事故でセメント樽に捲き込まれ、粉砕されてセメントの一部と化してしまうプロレタリア文学の名作、葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」のような先蹤もあるけれど、このエピソードもなかなかに総毛立たせてくれますね。
偶然から矢印の道しるべを発見し、無事に食糧生産施設に到着しました。
ナマの芋は一つしかなかったけれど、大量の粉が貯蔵されています。
芋の粉を焼く。砂糖は豊富。塩もある。
チトが、天啓のように思い出した!
芋はレーションの材料!
さっそく、巨大な窯でレーションを焼きます。出来上がりは香ばしく、美味しそうです。
「焼けてる!」
「おいしい…」
おじいさんの元を離れて以来、砂糖にも縁がなかった二人。
糖分は、脳の活動にも不可欠な栄養素。
大量に摂取した二人の脳内には、幸福物質が生成されたはず。
「甘いって、幸せだよね」
「そうだな」
人はパンのみにて生きるにあらず。
甘いレーションは、心の栄養です。
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