キノの旅第8話
#8「電波の国」
not guilty。罪に非ず。象徴的な英語タイトルでしたね。
安住できる国を探すシズたち一行が立ち寄った国は、経済は安定、移民歓迎、役所は親切という、良い事づくめの理想社会。
穏やかで良い国かと安心したのもつかのま、そこは何と「電波の国」だったのです。
電波が人を狂わせ、犯罪を誘発する。だから、犯人を裁くことはできない。この国に犯罪はあり得ない。
「平和の幻想」ってヤツでしょうか。全ての凶事を電波のせいにしてしまえば、人が人を憎む事もない。
性善説が皮肉られている気もするし、現実を受け入れられない事なかれ主義を揶揄しているとも解釈できます。
政府の全体化施策かと思ったら、署長を初めとして、人民たちは心から「電波塔の寓話」を信じ込んでいるらしい。
ここまで来ると、もはや狂信の域。善にせよ何にせよ、極端に偏る思考は怖いよというアレゴリーなのかもしれませんね。
「電波を最大出力にしてきた」」
シズが署長に仕掛けたフェイクが、吉と出るか凶と出るか。
「明日以降何も起きないとして、電波の影響などないって信じてくれるでしょうか?」
陸の台詞は、「電波の嘘」に人々が気づく契機となることを、あるいは犯罪抑止力となることを期待しているように受け取れますが、さて?
タガが完全に外れて、大量殺人や凶悪犯罪だらけの国になったりしてw
今まで以上に電波のせいにできますからね。人の心は測り難いものです。
国に関するエピソードは、いつもに比べ、あっさりと終わらせて。
むしろ、ティーと陸が心を通わせるさまが、じっくりと描かれていました。
いきなり手榴弾を出すプッツンは健在にしても、ピザやクロワッサンを黙々と食べる姿には、微笑ましいものがありました。
彼女の心象風景は、未だ分明ではありません。心を開いたようにみえて、まだまだ抱え込んでいる何かがありそうです。
黒い影を踏みながら歩き続ける。影が尽きたとき、「黒」も終わる。
「これで安心だ」
ティーが行ったメルヘンめく心的儀礼は、彼女の心の闇を表象しているのかも。
陸やシズとの交感をとおして、ティーの闇はいつか完全に払拭されるのでしょうか。
その瞬間を見たいものです。
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