キノの旅第7話
時計塔からずっと。
ボブ・ディラン「見張り塔からずっと」を、もじってみました。特に意味はありませんw
「テロリストのメルヘン」ともいうべき寓話。
反権力・反体制のために、高い塔に立て籠もって戦い抜き、勝利を収める。
敵が、腐敗し切った警察権力ということもあって、視聴者にとってもカタルシスたっぷりの痛快な物語でした。
今回も、キノ自身の物語ではなく、師匠の過去譚でしたね。前回と趣向は同じで、最初と最後にキノが登場し、お話を纏める構成です。
メルヘンだと云ったのは、仮にも一国を相手にして、たった二人の叛逆者が武力で圧勝してしまったから。
いくら火器や弾薬が潤沢に使えるにしても、です。
実際、二人と警察との対決は、スラップスティックなギャグとして描かれていました。
視聴者の皆さん、ここは笑うところですよ?
そんな制作側の意図が透けてみえる演出と作画でした。
もちろん、時計塔の最上階を撰んで陣取り、戦いを挑んだ戦法自体はリアルで、師匠の作戦勝ちです。
古来、あらゆる戦場において、高所に陣を確保するのが圧倒的に有利な戦法とされています。
弓矢や銃、砲撃などを使える場合は猶更です。
最近でも、ラスベガスにおいて、高層ホテルの上階からイベント会場に向けて銃を乱射し、大量虐殺をおこなった犯人がいました。遮る物とてない広場で高所から狙い撃ちされたら、逃げ場のない人々はひとたまりもありません。それと同じ理屈ですね。
「歴史のある国」というタイトルも、大いなる皮肉です。
二人の叛逆者は、時の流れの中で、腐敗した国を正常化した二人の勇者として石碑まで建立され、顕彰されていました。
この国の歴史を誇らしげに語ってくれた老人は、松葉杖を突いています。
目ざといキノは、老人がかつて、師匠たちに脚を撃ち抜かれた警官たちの一人だと看破し、問わず語りに揶揄します。
図星をさされて慌てる老人が滑稽で、しかも哀しい。
人間なんて、こんなもんさ。
そんな声が聞こえてくるようです。
醒めた世界観と、的確きわまる人間観察。それを具体化する演出力とヴィジュアル。
それらが相俟って「キノの旅」の魅力を支えているのですね。
師匠(Lynn)
相棒(興津和幸)
老師匠(沢田敏子)
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