少女終末旅行第3話
「地図を失う」というちいさくておおきな絶望
3話目にして、二人の少女以外で初めて登場した人間、カナザワ。
地図を作製しながら、終わった世界を彷徨っている、もっさりした雰囲気のメガネさんです。
三人で協力し合い、昇降機で上層階に昇って、そのまま去ったカナザワ。
まさに一期一会。ただひとときの邂逅です。
カナザワの登場には、どういう意味が、役割があったのでしょうか。
私には、彼が「二人の身代わりとして絶望を体現した」存在と思えました。
「地図をなくしたら死んでしまう」とまで云っていたカナザワ。
その彼が、彫心鏤骨の思いで作成した地図を、すべて失くしてしまった。
絶望する彼に、ユーリは、さりげにフルーツ味のバーを差し出します。
「うまい…」
どれほど絶望しても、食べ物はおいしい。人の生って、そういうものなのかも。
二人の少女の前途に、ひとつの示唆を与えてくれた。そんな気がします。
上層階には、無数の街灯がともる都市風景が拡がっていました。彼方には、ひときわ明るい場所が。
二人の少女は、引かれるように進んでいきます。
まるで、明かりを目指して盲目的に飛んでいく虫のように。
カナザワは北へ去っていきました。
お礼だといって、写真機を二人に遺して。
「記録する」ことに執着するチト。写真機は、彼女にとって重要なアイテムになりそうです。
カナザワを当てたのは石田彰。しぶい演技が光っていました。
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