魔法使いの嫁第3話
絶海の孤島で魔法使い同士の死闘が見られるかと思いきや。
チセが子ドラゴンたちと戯れ、老いたドラゴンと心の交流をする抒情エピソードでした。
絶滅危惧種であるドラゴンと魔法使い。アイスランドは、危惧種同士のいわば居留地。
水の底には、年老いたドラゴン、ネヴィンが。老いたドラゴンは、稠滅して木や草に還る生命サイクルを辿るらしい。
いのちの最期に際して、チセを諭すネヴィン。きわめて饒舌です。おもに語りでお話が進んでいきます。
「もしかして、わたしの記憶を…」
ネヴィンはチセの心を読み、それに基づいて語っていたのですね。
チセの謎過去が、再び暗示されました。繰り返される、スレイベガという出自。
いちばん肝心なところを伏せつつお話を進める手法は、作劇術としてアリではあるけれど、どちらかと云えばサスペンスやミステリ系の作品に有効な手法です。
「まほよめ」の場合、チセの過去を前提として感情が吐露されるので、前提がもう少し視えないと、視聴者にとってはキツイ。語りに乗れない。
「生きるために…。これが自然か」
「通りすがりに優しくしてもらっただけのひとだったし。でもやっぱり、あの穏やかな還り方はうらやましい」
チセのモノローグに深い葛藤が込められているのは推察できますが、あくまで推察止まり。視聴者である我々には、彼女の内心の苦悩が響いてこない。彼女の抱えた傷や、背負う運命の重さやらが伝わらないからです。極言するなら、「チセの一人芝居」に視えてしまっています。
アニメとしての質の高さを保持しながら何故か地味地味に見えてしまうのは、この「朦朧体」とも云える作劇術のせいもあるのではないでしょうか。
暗示や余情に頼る作風なのだから仕方ないっちゃ仕方ないのだけれど、勿体ない気がします。
どうしてもサプライズを演出したいのなら、私だったらいったん過去(仮)を明かしておいて、後でひっくり返します。中途半端な現在の状態より、その方がサプライズとしても生きてくるのではないでしょうか。
チセを攫ったのはリンデル。魔法使いにして、ドラゴンの巣の管理者です。挙動がいちいち胡散臭いのがカワイイ。
エ「こんななりでも、僕よりずっと年上のイタズラじじいだから」
リ「きさま!」
エリアス竹内良太35歳。リンデル浪川大輔41歳。
確かに浪川が年上だが、「ずっと」というのは可哀そう…(笑)
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