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2017年9月17日 (日)

お気に入り記事七撰

ぎけんさんのブログ「物理的領域の因果的閉包性」の企画「お気に入り記事10選」に参加させていただきました。

せっかくの機会ですので、記事紹介に入る前に、「私見・アニメレビューとは」を披瀝してみたいと思います。

「うたかたの日々」開設が2005年。休止期間が6年ほどあったので、実質7年。それ以前のアニメ感想含む雑感ブログを加えると、通算9年程度でしょうか。
思えば遠く来たもんだ。けっこう永く、アニメブログ界隈でのたくってきたものです。
それなりに経験を積んできたつもりでも、いつまでも悩ましくて答えが出ない究極のエニグマ。それは。
「アニメレビューの理想形って、何だろう?」

「何でもアリ」でもいいのかな。アニメレビューってそんなに不自由なものじゃないし、「みんな違って、みんないい」で充分なのかもしれません。
じっさい、私自身の記事も、対象となる作品によって筆致や文体を使い分けています。
「プリンセス・プリンシパル」と「はじめてのギャル」では、アプローチの方法は当然変わってきますからね。

それでも、「規範はあるべき」だという想いは消えません。
文芸にしろ映画にしろアニメにしろ、批評をあまり読まない私が信頼している数少ない批評家。それが、すぐれた現代詩人にして芥川賞作家の松浦寿輝です。
彼が、理想の書評について定義しており、まったく同感できる趣旨なので、参考のためご紹介します。

①それがどんな本なのか、読者が分ること。評者の感想ばかりが綴られて、いったいどういう内容なのか最後まで読んでも分らない、そんな書評は落第。ただし、満遍なく要約するのも違う。その本をぎゅっと凝縮して、ほんの数滴のエッセンスを搾り出す作業。それこそが、書評家には必要である。

②内容説明だけではダメ。それはただの「紹介」で、「書評」とはいえない。その本にどんな意味が込められているのか、掘り下げて評定し、読み手に伝わるよう文章化しなければならない。

③読ませる文章であること。書き手の個性が押しつけがましくない程度に滲んで、控えめな洒落っ気が漂う、そんな文章であってほしい。

アニメレビューにもそのまま当て嵌められる定義だと思います。かなりハードル高いけどw
とはいえ、理想はあくまでも理想。そもそも私自身の記事にしても、この定義に必ずしも沿っていないものが見られるのは、ご覧のとおりです。
何しろ理想形なので、完璧に遵守しようとしたら、時間と根気がいくらあっても足りませんからね。他に生業を持っている身としては、そこまで無理はできません。
とはいえ、レビューを書くうえでの規範として、いつも心の片隅には留めています。

さて、お気に入り記事のご紹介です。
ぎけんさんのツイッターリプでも「どういう記事に興味があるのかが知りたい」とのことでしたので、「私がどういう部分(書き方や個性)に興味を覚えたか」を中心に短コメントを付しました。
私の観測範囲は限定的ですが、それぞれ個性的な方ばかりです。
優劣ではなく、比較ですらなく、あくまでも「私のお気に入り記事」として無作為に列挙しました。
敬称は「さん」で統一させていただきました。
紹介は順不同です。

◆Wisp-Blog(闇鍋はにわさん)
「プリンセス・プリンシパル5話」ツイート感想

考察系。
「2つが1つになる」をキーワードに据えて考察を演繹していく手つきがとても軽捷で、練達を感じます。はにわさんの批評ツールは恐らく「対比」。哲学を修めていらっしゃるかは分りませんが、きっとヘーゲルの「弁証法」「止揚」とかがお好みだろうな、と想像しています。
プリプリ感想にしろRe:Creators感想にしろ抜群の安定度で、どれを撰んでも遜色ありません。あえてこの5話感想をチョイスしたのは、ロジックの切れ味がひときわ快調に感じられたのと、締め括りの大胆ショットが私の琴線に触れたためであります。

◆物理的領域の因果的閉包性(ぎけんさん)
サクラクエスト第18話『ミネルヴァの杯』

考察系。
教授のモデルが文化人類学者の梅棹忠夫だと推測し、フィールドワーク理論と、サクラクエストにおける由乃たちの在るべき方向性とを巧みに結びつけた論旨に、あざやかさを感じました。由乃たちが歩き回って一つずつ経験を積んでいく過程こそが重要で、結果よりも過程を見てあげたい、評価してあげたい。そんな思い入れが伝わってきます。とても好感が持てるアプローチです。
アニメレビューにおいても、広汎な知識は解析に有効。その例証となり得ている記事でもあります。

◆こいさんの放送中アニメの感想(こいさん)
賭ケグルイ第10話『選択する女』皇伊月…何という小物界の大物。

ハイブリッド系。
ウィットに富んだ注記が、まず眼を引きます。「小物界の大物」という表現が巧い。この記事に限らず、ブログ全体に漂う諧謔の味わいが好みです。
ガチな考察もいいけれど、アニメ作品なんだから、愉しく視聴して愉しく感想を書こうよ。そんな遊び心が窺える気がして、大いに共感をそそられます。
さりげに点綴される考察部分も魅力です。

◆アニメガネ(MHさん)
サクラクエスト第24話 悠久のオベリスク 去就感想

短評系。
寸鉄人を刺す。辛口寸評が、もはや芸風になっている感じ。名調子です。
しかも、全編がツッコミかと思いきや、ときおり真顔のネタを挟んでくるので、油断がなりませんw
私もたまに暴発しますが、ブログ全体から見れば刺身のツマ、ちょっとした薬味みたいなもの。その点MHさんは、ブログ全体を通じてスタイルを徹底し、貫いている。そのことに拍手を送りたいと思います。

ここからは、「最近」の軛を外して、過去記事紹介になります。

◆メルクマール(メルクマールさん)
Angel Beats!第6話『Family Affair』感想

考察系。対象アニメによってはハイブリッド系も。
一言でいえば「思考が冴えている人に固有の、明晰かつ視野の広い文体によるアニメ感想ないし考察」。
純粋文系の私からすると、理系知識の博引傍証が驚異的でした。ことにSF系アニメ記事において顕著で、構造力学とか軽々と語る文章に羨望の念を抱いた覚えがあります。
私も当時Angel Beats!の各話感想を書いていましたが、作品の世界構造を説明するのに図示してみせるという手法は、この方ならでは。
そして、この記事に限らず、トラックバックの数が桁違いです。当時と現在とではアニメブログ界の状況が異なるとはいえ、これもまた驚異的。
2014.7を最後に休止されていますが、復活を希みたいブロガーさんの最右翼です。

◆妄想詩人の手記(おパゲーヌスさん)
さくら荘のペットな彼女第12話「愛のパワーin文化祭」

考察系。
この方も休止中。引用したのは、2012.12.26の最後の記事です。
特徴は、どの記事もほぼ考察系であり、長文であること。熱意が文体に反映されるタイプの方。インタビュー記事にも書きましたが、「アニメは芸術」を標榜されていることもあって、いつも気になる存在でした。
コメントのやりとりもさせていただきましたが、あるとき、指摘めいたコメントをいただいたことがあります。
大意、こんな感じ。
「考察を気持ちよく読んでいましたが、ラストでいきなり萌えネタになり、びっくりしました」
これは耳が痛かった。せっかく真摯な考察記事を書いていても、ヘンなオチをつけちゃうクセは当時からありました。リアルでもそうなんですが、マジメな議論をしている自分に気づくと、照れてついつい「打ち毀し」したくなっちゃうんですよね。
理路整然とか首尾一貫が好きな方たちには、奇妙に思えるのでしょう。
耳は痛かったけど、今でもスタイルが変わらないのは、基本的に反省してない証左かも(笑)。
お元気ですか?私はまだブログをやっていますよ?

◆うたかたの日々(SIGERUさん)
まどか★マギカ考察「クリームヒルト、そして」

待って!画面を閉じないで!チャンネルはそのままで!w
インタビュー記事で、「感想は肯定的な意味での自己満足」と書いたとおり、自分の記事にもお気に入りはあります。
地獄少女記事、ピングドラム最終話記事、Angel Beats特別企画記事などが思い泛びましたが、毎回感想ではなく、独立で読める「考察記事」から撰んでみました。
主人公まどかについて、客観的考察以上の「思い入れ」を籠められたのが、自分としては満足です。

最後にビミョーな受け狙いをしたところで、記事を終わります。ご清聴ありがとうございました。
こういう遊びをやっちゃうから、せっせと真摯な考察記事とか書いても、いまいち信用されないんだろうなあ、きっと(笑)。

【追伸】

空と夏の間(Yukiさん)」「二次元美少女の笑顔を守りたい(甘エビさん)」。
更新頻度が凄まじい。これだけアニメ視聴し、これだけ記事を更新している方がいるとは…。
いつも驚きを感じながら、記事拝読しています。お二方の、アニメ愛が伝わってくる暖かみのある文章が素敵です。

ぬる~くまったりと(てぃわはさん)」は、同じココログブロガーさん。
まず、あらすじ。そして感想。このスタイルを厳格に貫いていらっしゃるところに誠実を感じます。
余談ですが、ココログ同士なのにトラックバックがなかなか通らない。ココログの仕様がよく分りません…。

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コメント

こんにちは。
今回はお気に入り記事に選んでいただいてありがとうございます。
哲学は修めていないのですが、批評ツールが「対比」であるのはご推察のとおりです。描かれている人・物・事などで重ねられるもの、並べられるものを探すことから僕の感想書きは始まります。
プリプリ5話は良回揃いの本作の中でも特にお気に入りですし、選んでいただけて嬉しいですね。締めくくりの大胆ショットはちょっと気恥ずかしくもありますが(*ノェノ)キャー

今後も共に楽しく感想を書いていければと思います。お邪魔しました。

投稿: 闇鍋はにわ | 2017年9月18日 (月) 09時52分

闇鍋はにわさん、ようこそ!コメントありがとうございます!
ツイッターよりまず此方に先に気づくべきでした。ブログ記事への直接コメントは、ツイッターとも少し違う嬉しい味わいがあります。
「重ねられるもの、並べられるもの」探しをきっかけに記事を構築していく、なるほど納得です。
はにわさんの論理構成が整然としており、時にシンメトリーの美を感じることさえあるのは、そのためなんですね。
第5話、私も大好きなエピソードです。間然するところのない構成の、ステキちせ回でした。もちろん大胆ショットもお気に入りです。
そうですね、共にアニメ記事書きを愉しんでいければいいですね。こちらこそ、よろしくお願いします。

投稿: SIGERU | 2017年9月18日 (月) 13時23分

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