地獄少女宵伽第10話
#10「黒の轍」
劇メーションは、きくりの不運から始まり、輪入道による本編への導入語りで終わります。
輪入道「あの事件、やっぱり忘れられねえなあ」
2006.12から2008.11まで、二年間ブログ休止していた時期に放映された話数です。
当時、視聴作品は激減していましたが、地獄少女二籠だけは観続けていました。
二期である「二籠」の#12に当たる「黒の轍」。
ああ、あれか。
すぐ憶い出せました。輪入道の過去が語られる「輪入道回」だったっけ。
「典型」を確立した一期を受けて、地獄少女という作品の方向性を模索していた時期の放映作品でしたね。
海辺の道路開発が進むなか、ただ一軒、ぽつりと残った古びた家があった。
独居老人、亀岡一人は、頑固に立ち退きを拒否している。
しかし、家は道路がヘアピンカーブに差しかかる直前にあり、非常に危険。
トラック運転手の伊藤道郎は、高校生の弟を事故で亡くしていた。
老人は、亡き妻や家にまつわる想い出ゆえに立ち退きを拒否していたのですが、立ち退き料吊り上げのために横車を通していると思い込んだ伊藤は、地獄通信にアクセス、老人を地獄流しにしようと。
しかし、彼が藁人形を手に入れたとき、老人は既に病死していた。
そして、遺された手紙により、老人の赤心があきらかに。
同時に、輪入道の回想も終わります。主人である姫君を護れなかった悔いが、永い時を経た現在でも、輪入道の心に刺さっているのですね。
「汚れたマウンド」の花笠や「昼下がりの窓」の戸高夫人は悪意の塊でした。ある意味流されて当然の悪行をおこなっており、勢い、一期シリーズ総体のテイストは勧善懲悪の趣があったのです。
ところが、亀岡老人は、どう見ても悪人らしくありません。頑迷かもしれないけれど、ふつうの老人です。
しかし、彼に悪意はなかったとしても、弟が事故死した事実は覆せない。行き場のない恨みを晴らすには、地獄へ流すしかない。弟を襲った悲劇を二度と起こさせないためにも。
流す相手が死亡した場合、地獄契約はどうなるのか?藁人形は?
そういう意味でも、一つのテストケースでした。
しかし、伊藤の恨みが暴発!家に向かってトラックを驀進させます。
輪入道が止めた!
ターミネーターみたいです。三藁パワーすごい。
あるじを喪った古家は、音も立てずに崩壊。あたかも鎮魂のように。
伊藤の恨みをも、静かに消し去りました。
あいちゃん「あるじの後を追いたかった?」
輪入道「そんなことしてたら、お嬢に逢えなかっただろう」
やりきれなさの内にも仄かな光を見せた本編の締め括りにふさわしい、情味の籠ったやりとりです。
幸薄かった姫への想いを遺しつつ、新たなあるじであるお嬢に仕えようという、輪入道の決意が窺えました。
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