サクラクエスト第18話
美しい着地でした。よく眼くばりの効いた、考え抜かれた脚本だったと思います。
路線バス廃止反対運動が勃発。
かつて高見沢運転手が提案したデマンドバスは、電話コールを受けるための人件費がかさむため却下。
独居高齢者がSNSを使いこなせるようになった。
SNSによるコールでコストを最小限に。
デマンドバス実現。祭具も発見。
まさに「腑に落ちる」流れでした。
「ここのお年寄りはネットを使える。そのメリットは、とてつもなくでかい」
高見沢さんの云うとおり、このイノベーションはバス問題の解決のみならず、さらに活用領域の拡大が見込めるのかもしれません。
バス路線のエピソードと祭具クエストが、どのような繋がりをみせるのかに注目していたのですが、ラストの映像は、実現したデマンドバスにより巨大祭具を運搬するシーンでした。ほぼドアツードアに近いデマンドバスならではの巧妙な使い方です。
祭具探索に始まり、路線バス問題を経て、バスで祭具を運ぶ。
その「対比」がお見事でした。
もう一つの対比は、高見沢運転手と鈴原教授のことば。
「自分の生まれ育った町が廃れていくさまを見て、何とも思わないヤツがいるかよ」
「限界集落と呼ばれる地域にも貴重なモデルケースを得ることができた」
地元民と外様との物の観方の対比。微妙に違って微妙にいい。この両面性を生かしていくのが必要なのかも。
立役者の一人だった鈴原教授は、ベートーヴェンの第九と粉雪とに見送られて、卒然とこの世を旅立ちました。
地方に隠棲し、大好きなウイスキーと学究の日々とで静かに老いていく。いいなあ。男としては、こういう「終活」に憧れます。
さりげにサービスシーンも。入浴中の由乃を覗きしようとしたのは、くだんのおしり老人。
まさに「瘋癲老人日記」ってヤツですね。気持ちはよく分かるw
「マヨネーズって、意外と塩分すくないんですよね」
おばあちゃんの知恵袋ならぬ国王の知恵袋。
由乃ちゃん、ネットで独居老人のためのクッキングコーナーを立ち上げたらいいかも。
予告編のサンダルさんの台詞にも注目です。
「人の魂はどこへ帰っていくのでしょう?」
思わず、中原中也の美しい詩の一節を連想しました。
「しかはあれ この魂はいかにとなるか? うすらぎて 空となるか?」(「臨終」)
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