« ちはやふる2第2話感想 | トップページ | 1111111達成 »

2013年4月 7日 (日)

惡の華第1話感想

●ハナガサイタヨ

とんでもないものが来ちゃったな
土曜の深夜、缶ビール片手にゆったり視聴していた私の脳を直撃したアニメ。それが「惡の華」でした。
深夜アニメという緩い括りを逸脱し、作品として屹立させようというスタッフの強烈な意志が、まさに波紋のように伝わってきたのです。
「不穏」「ノイズ(NOISE)」というキーワードが、ツイッターのTLに溢れています。
ぬるぬるした動き、醜さをも厭わない精密な美術、耳障りな効果音。すべてが、「不穏」を志向しています。
予定調和を破壊する手法「ノイズ」は、かつて、現代美術や現代音楽を席巻しました。アニメでノイズを体現した作風といえば、私などはまず「lain」を想起してしまいます。
調和の破壊によって、いっけん平穏な世界に、あえて揺らぎや亀裂を生じさせる。
輓近のアニメが、どれほど血みどろや近親相姦や酸鼻やを描いても、「快楽というコード」は不変でした。どれほど極端なものでも、そこに快楽が感じられるからこそ、視聴者の支持を得てきたのです。
ところが、「惡の華」を通底するコードは、まさに、不快であり不穏。「ハナガサイタヨ」のEDが象徴しています。
これは、瞠目すべきコペルニクス転回です。

●ぬるぬる動くよロトスコープ
にわかに脚光を浴びた、ロトスコープ。
でも実は、実写を下敷きにして画を起こすロトスコ(ライブアクションとも謂う)は、アニメ草創期の技術でした。「惡の華」の作画は、いわば「先祖返り」なのです。
「省略の美学」を標榜し、独自の進化を遂げた、日本アニメの作画技術。
それに慣れていた私は、ディズニーの「白雪姫」や「バンビ」を観て、軟体動物のようにぐにゃぐにゃ動く作画に違和感を覚え、「ぬるぬるって、こういうことか。だったら日本の方がいいや」と思ったことを覚えています。
ちなみに、「ぬるぬる動く」が、みごとな作画の美称として誤用されるようになったのは、京アニ辺りが、ロトスコ的な動きを時折見せていたためなのですね。
「アニメは錯覚の芸術」というマニフェストを信奉し、「それでいいんだ」と思い為していたところに、今回のこの衝撃。
正直、混乱しています。なぜ今ロトスコなのか?その必然性は?表現上の戦略とは?
「惡の華」が、1秒12枚のフルアニメでなく、1秒8枚のリミテッドアニメにせよ、ロトスコには、かなりの人的資源と経費とが割かれているはず。
なぜロトスコなのか。全13回という「惡の華」が、いずれその意味を闡明してくれるのを愉しみにしています。

●表現主義の果てに
このアニメが、あらかじめ「媚び」を排斥しているのは顕かです。あまりにも潔いほどに。
けれど、媚びなければ作品として屹立できるのかといえば、そんな単純な二元論ではないだろうというのも、また真実。
それでも、スタッフの作家主義を応援したいと思います。「表現の冒険」には、いつもワクワクさせられます。

「われわれは高く翔ばないかもしれないが、誰よりも遠くへ行くだろう」(アポリネール)

|

« ちはやふる2第2話感想 | トップページ | 1111111達成 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 惡の華第1話感想:

» 惡の華 TokyoMX(4/06)#01新 [ぬる~くまったりと]
第1話 運命の出会い 登校する春日高男。佐伯奈々子が気になる春日、目が合うと逸らしてしまう。友人と帰宅、途中で一人本屋に寄る。父親に本の所持を訪ねる。 翌日、登校する。惡の華が育っていた。授業中もボードレールの惡の華を読む春日。小テストを返される。佐伯は最高点の91点。仲村は最低点の0点、白紙の答案だった。教師に説教される。うるせえ、クソムシが。教師に向かって何事だ、あとで職員室に来い。 帰りの道で仲村の話をする。痛快だったな。あいつ友達居ない。俺は佐伯さんが良いなぁと友人。実は数がも好きなのか? ... [続きを読む]

受信: 2013年4月 7日 (日) 19時08分

» 惡の華 #01 「運命の出会い」 [戯れ言ちゃんねる]
きっかけは悪意の芽生え  どうも、管理人です。本来ならば、そろそろ大詰めに向かってエンジンフルスロットルという頃合いなのですが、ようやくエンジンかかってきたという有様…。果たして本当に〆切に間に合わせられるのか、本格的に怪しくなってきましたぜorz  さて、ここ数日立て続けにお届けしてる春アニメ感想ですが、第4弾はこちらのタイトル。しかし、予定通り且つ想定通りの流れとはいえ、ここまで来て若干やりにくさが否めないと言うのは困りものな気がしてならんです。何にしても、全力を尽くすほかないです..... [続きを読む]

受信: 2013年4月 7日 (日) 20時31分

» 惡の華 第1話「」 [ゆらゆら気ままに]
惡の華(1) (少年マガジンKC)(2010/03/17)押見 修造商品詳細を見る というわけで、春の新アニメ第1作品目から色々と魅了されちゃいました~。 これは見るしかないっ!(色んな意味で) 実写みたいな映像...... [続きを読む]

受信: 2013年4月 9日 (火) 23時27分

» 惡の華 第1話 感想 [感想を簡潔に【アニメ感想】]
惡の華 第1話「運命の出会い」 今期注目株の一つ、惡の華! ということで見てみたけど、 えっ!?なにこれ??? ずっと日常の描写で、てか、なんか動きとか変な感じだし! ?????? ...... [続きを読む]

受信: 2013年5月 4日 (土) 09時26分

« ちはやふる2第2話感想 | トップページ | 1111111達成 »