TARI TARI第7話感想
#7「空回ったり 見失ったり」
紗羽ちゃんったら、危惧したとおり、ムリなダイエットに奔ってしまったのですね。
あれほど止めたのに…。('A`|||)
今回、彼女の行動の是非について、さまざまな議論があるようです。
「花咲くいろは」との比較論も絡めて、語ってみたいと思います。
この作品は、ヒロイン複数制を採用しています。
当番回が廻ってくると、そのコが台風の眼になって事件発生、みたいな構造になっています。
そこが、お騒がせ屋の緒花を中心に揺るぎなく回転していた「花咲くいろは」と異なる点です。
いわば、彼女たちは「交替制で緒花を演じている」状態なのです。ある意味、不安定です。
そこで肝要になるのは、不安定さを支えるための、脚本と演出の力量。すなわち、視聴者を思わず首肯させてしまう魔法をかけられるかどうか。
極端な行動をさせても、視聴者に「これもアリだな」と思わせてしまえば、制作側の勝ちです。「花いろ」がそうだったように。
逆にいえば、その辺の手続きが上手くいかないと、魔法が解けてしまう=視聴者に不満が遺る、わけですね。
紗羽ちゃんの例でいえば、視聴者に「でも、どうして騎手じゃなきゃいけないんだろう?」って興醒めさせてしまったら失敗。
魔法が解けて、彼女の行動の不自然さばかりが屹立してしまうわけです。
その視点から眺め直すと、気がつくのは、騎手の夢に関して、紗羽ちゃんが「予め失敗するように設定されている」としか思えないことです。
まず眼につくのは、紗羽ちゃんと、父住職さんとの、至近距離でのガチ殴り合いにも似た対立が、さほど深刻に見えない点。
父親の主張も、確かにテンプレっぽくてイマイチですが、それよりも、紗羽ちゃんの「せいねんの主張」が、あまりに不用意でガードが甘すぎるのです。
①騎手になるには競馬学校入学が必須。その資金は、バイトして貯める。まだ少ししか貯まってないけど。
→父親の反駁にキレて、服を脱いで売ればいいんでしょ的な空騒ぎ発生。
②入学案内を取り寄せてみて、体重要件に気づき、強引なダイエットを敢行。
→体力消耗して落馬事故に。
そもそも、来夏ちゃんや和奏ちゃんの目標と違って、紗羽ちゃんの場合、騎手という特殊な職業を望んでいる。
非常に具体的なだけに、進路は競馬学校の一択しかなく、しかも、年齢からいって準備期間が殆ど遺されていない。
競馬学校の応募要件の一つに、「年齢」があります。
中卒以上20歳以下となっていますが、現実には、高卒の頃には身体の柔軟性が失われるため、高卒者の合格は至難とされているようです。
要するに、あらゆる意味で無理筋なのです。
あれこれ考え合わせると、制作側の演出が、意図的に誘導しようとしているとしか思えません。
だとすると、これはもう、紗羽ちゃんが幼稚すぎるとか父親が頑迷すぎるとか云々する以前の問題です。
想像ですが、制作側は、紗羽ちゃんは騎手には挫折するけれど、より実現性の高いアマチュア馬術(あるいは流鏑馬)の道に進むという流れに持っていきたいのでしょう。
ママが趣味でサーファーを続けているように。
結果として、視聴者に「魔法をかける」ために不可欠な、紗羽ちゃんの想いや行動へのシンパシーづくり、「共感」の醸成が欠けていた。
したがって、視聴者にとっては、紗羽ちゃんの行動の未熟さ、不自然さばかりが拡大されて映り、不満が遺ってしまった。紗羽ちゃんファンとしては、とても残念です。
演出側はやはり、以下のような「王道」で行くべきだったのではないでしょうか。
①騎手になろうという真率な意思と、ふさわしい入念な準備
②にもかかわらず、何らかのアクシデントにより断念
③新たな道を見出す
それが、私の結論です。
次回「気にしたり 思いっきり駆け出したり」
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コメント
いつも御訪問などありがとうございます。
トラバがうまくできないので、コメントで失礼します。
妖精帝國 臣民コンソーシアム 2012年03クール 新作アニメ TARI TARI 第07話 雑感
http://tdragon2000e.blog7.fc2.com/blog-entry-3095.html
投稿: t_dragon_2000 | 2012年8月15日 (水) 00時03分