氷菓第3話感想
#3「事情ある古典部の末裔」
竟(つい)に「氷菓」が浮上してきました!
古典部文集の表題だったんですね。
第2号に、伯父さんのことが書かれていた。
45年前、「英雄から伝説になった」という関谷先輩。それが、えるちゃんの伯父さん。
しかし同時に、「郡山養子」というPNの筆者により、こうも書かれている。
「争いも犠牲も、先輩のあの微笑さえも、時の彼方に流されてゆく」
「すべては歴史的遠近法の中で古典になっていく。時効ってことさ」
ところが、詳細が記されているはずの創刊号が欠本!
古典、という呼称に、奇妙な含みがあるのが面白いですね。
ミステリとしての結構が示されました。
「彼女は何を聴いた(見た)のか?」という謎の設定は、クリスティーなどが頻回に用いる、有効な手法です。
些細な謎と推理を積み重ねて、やがて大きな謎に至る。日常系ミステリの醍醐味ここにあり。
えるの伯父さんは、現在、インドで行方不明。
「レインボーマン」からこっち、「インドに行ってる」ネタは、アニメでも特撮でも花盛り。
行方不明の方々は、全てインドに集結している感があります。
伯父さんも、きっとインドで修業しているんでしょう。なんちってw
えるちゃんは、奉太郎を「推理の神」として全幅の信頼を置いている。
7年前、幼かった彼女は、伯父さんに文集記事について質問をし、その答えに泣き出してしまった。
結果、「記憶の空白」が生じて、何を聴いたのか忘れてしまった。
「7年前、わたしは伯父さんから何を聴いたのでしょうか?」
とんでもないムチャ振りです。でも、奉太郎への信頼のあらわれとみれば、理解できる気がします。
奉太郎は、推理力に加えて、判断力、行動力も抜群。
文集が格納されている薬品金庫は、前の部室である生物準備室にあり、壁新聞部の遠垣内将司が管理しているらしい。
喫煙行為が露見するかと邪推し、金庫の存在を匿そうとする遠垣内に巧みにブラフをかけ、まんまと文集を手に入れます。
どうして、面倒くさがりの省エネ野郎とは思えない切れと冴えですね。
忠臣蔵の大石内蔵助めいた、昼行燈実は頭脳明晰というキャラ立てです。
生死不明のまま7年を経過すれば、申請に基づく家裁の失踪宣告により、死亡認定される。
伯父が「死亡」となる前に、謎を解きたい。
「わたし、気になります」の、えるちゃんの単なる好奇心?
それとも、財産絡みとか、事件性が表出?
それともあるいは…。
謎が大きくふくらんできました。
解明の期限を伯父の葬儀までと区切るのも、緊迫感を醸成するのに巧みな手法です。
アイリッシュ「幻の女」(1942)、ジョナサン・ラティマー「処刑6日前」(1935)などで、効果的に使用されていた手法。
是非に上手く使いこなしてほしいです。
奉太郎の姉も気になります。文集と薬品金庫の情報を、遠隔の地から提示してきた姉が。
すべてが壮大なフェイクという可能性も無視はできないのですが…。
謎の魅惑が光を放ち始めたのと反比例するかのように、1、2話で見せた、派手な映像演出が徐々に影をひそめてきました。
いいと思います。制作が、これでいけると判断したのでしょうから。
アニメは、映画に比肩する「総合芸術」。視聴者も、どうせ語るのなら、総合的に斟酌できる構えがほしいところ。
作画を語るのはいいのだけれど、作画しか語らない(語れない)というのでは、偏頗すぎる批評態度だと思うので。
次回「栄光ある古典部の昔日」
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» 氷菓 第3話 [あ゛ぁやっちゃったなぁ… ぉぃ… な毎日w]
「事情ある古典部の末裔」
全ては歴史的遠近法の彼方で古典になっていく…
=時効…
奉太郎のえるへの励まし方がよいですね
えるの告白… 彼女の諸事情…
古典部絡みだとは思っていたけれど、ホントに諸事情だった(゚Д゚*)
子供なだけに好奇心旺盛、叔父さ... [続きを読む]
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» 氷菓 第3話 「事情ある古典部の末裔」 [つれづれ]
きっと十年後、この毎日のことを惜しまない。
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第3話 事情ある古典部の末裔 公式サイトからイケメン先輩、遠垣内将司、登場。遠垣内から文集のバックナンバーを手に入れるために追いつめて行く奉太郎。後がない遠垣内の理性が壊れた!? 喫茶店に呼び出された奉太郎。千反田えるが話す告白とは・・・私的な事ですが、話だけでも聞いてもらえませんか?関谷純と言う叔父さんが居たのです。何を言われたか思い出させてほしいのです。7年前にインドに出かけて行方不明。 伯父が好きで良く懐いていたが、ある日 ある本の事を尋ねると答えを渋った。そして泣きだしてしまった。何故答えを... [続きを読む]
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» 「氷菓」第3話 [日々“是”精進! ver.A]
文集、発見…
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すこんぶ?古典部? [続きを読む]
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» 氷菓 第3話「事情ある古典部の末裔」 [MAGI☆の日記]
氷菓の第3話を見ました
第3話 事情ある古典部の末裔
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「はい。本当ならこれは私だけの問題ですか...... [続きを読む]
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氷菓 第二話「名誉ある古典部の活動」です。 はいはい、今週も待っていました『氷菓 [続きを読む]
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ただならぬ雰囲気… えるが何を言い出すかと思ったら… 私、折木さんに頼みがあるんです! まあ、そんな事だとは思ったよw 若干、拍子抜けの様子の奉太郎。 まずは話を聞いてくれませんかと言われて 断れるはずもなく、とりあえず話を聞くことに。 私には関谷純という伯父がいたのですが… 私がその伯父から何を聞いたのか、思い出させて欲しいんです! なんのこっちゃ? えるは改めて順を追って話し出す… 後は続きからどうぞ ... [続きを読む]
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