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2011年12月 3日 (土)

輪るピングドラム第21話感想

#21「僕たちが選ぶ運命のドア」

The Fall of the House of Takakura.
高倉家の崩壊。

高倉家の秘密が、白日の下に曝されました。
冠葉と晶馬は、同じ日に生まれただけの他人。
そして、冠葉と夏芽真砂子は、実のきょうだいだった。
冠葉の父の葬儀における回想場面。
「冠葉、おまえを選ぶんじゃなかった。私は家族に失敗したよ
親は子を選べず、子は親を選べない。屡々、言い慣わされる台詞ですが、この父親は、子どもを選んだと言うのか?しかも失敗だったと。
冠葉こそが、そんな暴言を吐く父親をmissしたと謂えるのではないのか。
だからこそ、剣山の真率な言葉が、冠葉の心を搏った(うった)のですね。
「おまえを息子に迎えた日の事を誇りに思ってるよ」
家族とは、血の繋がりなのか、心の繋がりなのか…。

多蕗が、荒廃した「リナちゃん」を訪れました。
そこに見出したのは、K・高倉の縫い取りがある、ダウンジャケットをまとった骸骨。
ケンザン・タカクラか。地獄少女三鼎の、もう死んでいた薄倖の少女、御景ゆずきを想い出させます。
それにしても、ピンドラはフェイクに充ち充ちていますねえ。油断も隙もない感じ。
K・高倉が「カンバ・タカクラ」だったとしても、もはや駭きませんww
時籠ゆりが、そっと寄り添います。帰りましょうと慫慂しながら。
「私たちの復讐は、おわっていたのね」
多蕗・ゆりの線はこれにて落着、なのかな。

サネトシの恩師である、鷲塚医師が登場し、証言します。
「南極環境防衛隊」がピングフォースの原型?サネトシもそこにいた。
彼は、非合法なグループの首魁となり、事件を起こして、そして死んだ。
サネトシは語ります。
16年前は桃果に邪魔されたけれど、再チャレンジする。子供たちに、意志が引き継がれる。
「僕は幽霊なんです。呪いと言ってもいい」
剣山は幽霊でした。サネトシもまた…?
医学者である鷲塚は、幽霊のような非科学的な存在を否定するのですが、サネトシの態度がまた微妙ですね。

中国に、こんな説話があります。
幽霊なんて信じないと嘯く論客の男のもとに、蒼ざめた顔の男があらわれ、幽霊は実在する、と論を挑んできました。
白熱の議論の果てに、ついに男を言い負かしてしまいます。
すると、男は口惜しそうに「私がその幽霊なんだ」と言い遺して消えました。
論客の男は、それからどっと患いつき、程なくして死んでしまったとのことです。

かりに幽霊だとしても、何がサネトシを現在世界に固着させているのか?
革命の亡霊?テロへの妄執?
黒田喜夫の不気味な詩「毒虫飼育」を想起しました。

老母と四畳半のアパートで暮らしている、もと革命家の主人公。
ようやく職にありつき、その記念にと、老母は蚕を飼おうとします。
かつて、彼女は故郷の村で、桑畑を営んでいたのです。
しかし、孵った虫は蚕ではなく、脈動する背に棘のある異様な姿をしていました。

三十年秘められてきた妄執の突然変異か
刺されたら半時間で絶命するというジギヒトリに酷似している

おかあさん革命は遠く去りました
革命は遠い砂漠の国だけです
この虫は蚕じゃない

だが嬉しげに笑う鬢のあたりに虫が這っている
肩にまつわって蠢いている
そのまま迫ってきて
革命ってなんだえ
またおまえの夢が戻ってきたのかえ
それより早くその葉を刻んでおくれ

他ブログを廻っていて気づくのは、高倉家に象徴される「家族」の在り方について、さまざまな意見が寄せられている事実です。
家族の再生の可能性を論じる人もいれば、子どもブロイラーに着目し、「人間の生そのものに仕掛けられた装置」だと述べる人もいます。
私は前者の立場をとります。ピンドラの物語は、たとえ親がどれほど否定的に描かれようと、「家族の物語」だと思うからです。それは、陽毬と晶馬との交情の美しさや、苹果ちゃんを始め、多蕗とゆりなどの情感を籠めた描き方を見れば分ります。
後者の、家族再生を信じない立場のひと。その人はおそらく、「家族にさせられた」意識しかなく、「家族となることへの能動的な意思」が欠落しているのでしょう。
子どもは、誰もが成長儀礼として、「家族への不信」というイニシエーションを通過します。
しかし、やがては、家族やおのれの立場を肯定するようになります。それが成長というものです。
だって、親子に限らず、家族や係累を否定して生きることは不可能なのだから。

私たちは孤独ではない

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