逝ける出崎監督のためのパヴァーヌ
出崎監督の逝去について。
まだ実感がない。あのひとはもう地上にいないんだ、ということが想像すらできない死が、まれにある。出崎監督の場合がそうだ。
いま、東京MXで、『雪の女王』が再放映されているのだけれど、鎮魂のうた(レクイエム)となってしまったのはかなしい。
巨星墜つ。アニメ界に、巨大な穽がぽっかり空いた。これから、アニメはどうなるんだろう?嘆く声も多い。
でも、いい。もういい。あの御影石に刻まれたような立派な仕事は、永遠に残るのだから。
訃報に接して咄嗟に想起したのは、あの白い鳥たちは、何処へ翔び去ったのか?ということ。そう、劇場版エースをねらえのOPや、ベルサイユのばらのクライマックスシーンで彼方へ飛翔した、出崎演出の象徴ともいえる鳥たちだ。葛藤からの解放の象徴、いつもそんな気がしていた。
あの闊達な監督にも、桎梏はあったのだろうか?それは分らないのだけれど。
「白鳥は 悲しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよう」。
出崎監督は、いまは現世の桎梏から放たれて、蒼のあわいを軽やかに漂っているのだろうか?そうだったらいいな。
合掌。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント