地獄少女三鼎第11話感想
地獄少女三鼎#11「滲んだ頁」
久しぶりに、よく工夫が凝らされた展開とオチでした。
社会派的なテーマ。意外な地獄流しと、あざやかなどんでん返し。
そうか、だから予告では、恨み聞き届けたりの相手の名を、あえて伏せたんですね。
いきなり、猟奇的な場面から始まります。
闇に浮かび上がる高層ビルの屋上。さるぐつわの制服少女に結びつけられた鉄アレイ。そのアレイを投げ落とす犯人。引きずられて、少女も奈落の底へ…。
連続突き落とし殺人は、新人賞をとったばかりのミステリに、発想が酷似していた。
模倣犯罪ではないかとの噂が広まり、フリーの女性ライターが、記事にしようと作者に近づくのですが…。
上坂六郎(千葉進歩)市役所勤めのかたわら、暴力をテーマにしたミステリを書いている。
道生由比(升望) 連続突き落とし事件の最初の被害者の姉。妹の敵討ちを望んでいる。
浅羽須美(増田ゆき)フリー編集者。上坂の誠実な姿勢に感銘し、真摯な記事にしようとするが。
3人は、それぞれ裏切られました。
絶望に沈んだ彼らは、上坂の示唆により、地獄通信にアクセスします。あることを実行しようとして。
集団自殺ならぬ、集団地獄流し…。
道生が恨みの相手に選んだのは、嘘をついた犯人。浅羽は、自分を騙した編集長。
上坂は?
本を突きかえしてきた同僚を選びました。時流に迎合する人間は許せないという理由で。
事件を『模倣』した地獄コント。次々に落とされていく犠牲者たち。
果てしなく落下していく同僚クンを、最期までみつめるあいちゃんが怖い…。
地面に激突する直前まで、彼は目を閉じられなかった。想像すると、ぞっとします。
チャールズ・ボーモントの短編に、こんなのがありましたね。『夢と偶然と』だったかな。
全てが終わり、乾杯しようと飲み物を取り出そうとした上坂。その姿が忽然と消える。
犯人の母親が、彼を地獄へ流したのです。
地獄流しの舟の上で、上坂の本を読んでいるきくり。とつぜん、大粒の涙を流して。
「フリガナふっとけ!」
それで泣いてたのか…。
「おれはただ書きたいものを書いただけなのに!こんな事して何になるんだ!」
その通りです。その通りですが、深刻な理由もなく同僚を流した彼の抗議は、空しく響くだけですね。
4本並んだロウソクが超現実的……。
次回「真夏のグラフ」
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